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GlobalFoundriesも身売りか?

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世界半導体産業のビジネス再編は止まらない。今度は、GlobalFoundriesをUAEアブダビの投資会社Mubadala Developmentが手放す、という噂が出ている。それを巡る憶測も飛び始めている。国内では、パナソニックが画像用半導体に再参入、と12月5日の日本経済新聞が報じた。

MubadalaはGlobalFoundries (GF) を150〜200億ドルで買い手がいるかどうかの議論を始めたとBloombergが報じている。ファウンドリ企業の買い手は、やはりファウンドリのSamsungとTSMC、さらにはQualcommも候補に上る、と米投資銀行W.R. Hambrecht+Coおよび株式調査会社Summit ResearchのアナリストであるSrini Sundararajan氏は見る(参考資料1)。「本命はSamsungだろう。Samsungはニューヨーク州アルバニーでGFのFab 8で共同開発している上、Apple向けのアプリケーションプロセッサで14nm FinFETプロセスでも共同で開発している。加えて、GFはIBMから工場やIP資産を入手しており、10nmおよび7nmプロセスノウハウを持っているというメリットもある」と同氏は見ている。実際、SamsungはIBM、GF、ニューヨーク州立大学SUNY Polyと共に7nmプロジェクトで共同開発していた7nmトランジスタチップの動作確認を発表している。

GF身売りの噂話をまとめたSemiconductor Engineeringは、中国紫光集団の最新の動きにも触れ、買収提案していたMicronから提案を拒否されたと報じた。さらに韓国のメモリメーカーSK Hynixに対しても共同提案をしたが、これも断られたという。

製造装置では、米国のMattson Technologyが北京のE-Town Dragon Semiconductor Industry Investment Centerに3億ドルで売却することで合意したと報じられた。

国内でもルネサスエレクトロニクスの株式の69%を所有する政府系ファンドの産業革新機構が一定期間株を売却できない「ロックアップ」が9月末に解除され、誰がその株式を買うのか、注目を集めている。7日の日経は、トヨタ自動車やパナソニック、Infineon Technologiesなどの名前が浮上していると報じた。すでにWall Street Journalが11月にInfineonの関心を報道したが、Infineonは何も語っていない。

ルネサスは、鶴岡工場をTDKに売却することを発表し、工場の建屋や設備に加え従業員270名もTDKが受け入れる。鶴岡の5インチラインを譲り受けると共に小型電子部品の生産に切り替えると1日の日経は報じている。高知工場に関しては2018年までに閉鎖すると発表した。

5日の日経によると、半導体ビジネスに再参入するパナソニックは、CMOSイメージセンサを開発するようだ。画像用半導体には、イメージセンサだけではなく、画像合成や補正、鮮明度向上、グラフィックス描画なども含まれているが、新聞ではイメージセンサしか述べられていない。CMOSイメージセンサはスマートフォンからクルマ用へと市場を広げ、今後期待されるICであることは間違いない。しかし、それ以外の画像処理ICも市場は多きいい。新聞が報じる「画像用半導体」とは何を指すのか明らかではないが、いずれにしても、ようやくパナソニックが半導体ICの重要性を認識したことは遅ればせながら、成長のエンジンを確保することを意味する。

シャープは、地域経済活性化支援機構と福山第4工場の半導体生産ラインの一部を売却する交渉を始めた、と7日の日刊工業新聞が報じた。コモディティとなっている液晶ドライバICを切り離すという。シャープの半導体部門(電子デバイス事業)の2014年度の売り上げは4414億円と大きく、カメラモジュールなどのセンサが好調である。同年度は6億円の黒字だが、ドライバICを売却することで黒字幅を大きくする方向。

一方、SamsungとAppleは長年、特許論争を繰り広げてきたが、このほどSamsungがAppleに5億4800万ドルを支払うことで合意したと米特許専門メディアFOSS Patentsが報じた。しかし、今回の合意で決着した訳ではなさそうだ。今後の評決によってはAppleからの返済あるいは償還を得る権利をSamsungは持つと表明している一方で、Appleはこの権利について反論しているという。


参考資料
1. The Week In Review: Manufacturing, Semiconductor Engineering (2015/12/04)

(2015/12/07)

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