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スマホビジネスの変調でも独自技術で強さを発揮する部品メーカー

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スマートフォンビジネスが急激な変化を遂げているが、スマホ用部品ビジネスは堅調に推移している。Qualcommが社員15%の削減策を計画しているという報道が相次ぐ一方で、中国市場で小米の伸びが鈍り、スマホトップのSamsungが世界市場でも苦しんでいる。この中で日本の部品ビジネスは好調、半導体後工程のディスコも好調な業績を発表した。

スマホビジネスの世界市場では、Samsungがまだトップであるが、今年の第1四半期に中国市場では第4位に転落した。またこれまで急伸してきた小米科技も勢いを落とし、前年同期と比べAppleに抜かれてしまった。アプリケーションプロセッサのトップメーカーQualcommも変調が表面化した。同社の第3四半期(5月期)の売り上げは、前年同期よりも10億ドル少ない58億ドルにとどまった。純利益は前年同期比47%減の12億ドル、であった。

この結果を受けて、Qualcommはリストラ計画を打ち出し、2016年9月末までに社員の15%をカットするだろうという観測が広がっている。Qualcommの社員は世界で3万1300名いると言われ、15%は約4700名に相当する。23日のセミコンポータルでも報じたように(参考資料1)、今年の第1四半期における同社のアプリケーションプロセッサの市場シェアは、前年同期の55%から47%へ低下した、と英市場調査会社Strategic Analyticsが明らかにした。

Qualcommは、ベースバンドICのトップメーカーで、アプリケーションプロセッサや、CPUやGPUにベースバンド回路を集積したアプリケーションプロセッサが得意な企業だ。しかし、近年台湾のファブレスMediaTekや中国のSpreadtrum社が伸びており、それぞれ独自のプロセッサを設計、Android向けに出荷してきた。また、Apple社のiPhone用プロセッサのレイアウト設計や製造などを手掛けてきたSamsungも独自のプロセッサを、自社のGalaxyなどに載せてきた。アプリケーションプロセッサ市場では、こういった競争が激化した。

スマホビジネスは、IDCの調査によると、2014年は27.6%伸びたが、2015年は11.3%の伸びにとどまると5月に予測している(参考資料2)。この数字の絶対値にはほとんど意味はないが、伸びが以前よりも緩んできたことは確かだ。実際、23日に発表された2015年第2四半期のスマホ市場の伸びは11.6%であった(参考資料3)。

伸びが緩む中でも電子部品業界は、独自技術を持っているだけに強い。22日に日本経済新聞が報じたところによれば、電子部品大手6社の受注総額は2015年4〜6月期に前年同期比17%増で、4四半期連続で2桁増と依然として好調だ。6社の受注総額(一部は売上額)は1兆3200億円だとしている。部品大手はスマホだけではなく、クルマ向けの電子部品にも力を入れており、スマホの減速を補完している。

6社のうちの1社の日本電産は、これまでHDD(ハードディスク装置)用の小型モータを主力製品としてきたが、HDD市場の成熟によって、クルマや家電向けにも力を注ぎ、これらの売り上げがHDD向けを上回ったという。TDKは2014年度に売り上げの17%しかなかったクルマ向け製品を17年度に30%へ高めるとしている。

技術の優位性も高める。NECトーキンは、キュリー温度が400℃と高い磁性材料「センフォーリッジ」を開発、2016年度内に量産開始する、と21日の日刊工業新聞が報じた。この材料は、フェライト技術を応用した軟磁性金属材料で、1MHz以上の高周波スイッチングに対応する高温仕様なので、SiCやGaNなどの高温・高耐圧半導体と共に使うことができる。インダクタのコア材料に加え、積層樹脂基板に埋め込む用途にも使える。

半導体後工程の中でもウェーハを「切る、削る、磨く」という加工で、伸びているディスコの2015年4~6月期の業績が発表され、売上額は前年同期比7%増の293億円、純利益は同31%増の60億円になった。半導体ウェーハの切断装置や替え刃などの交換部品も伸びたとしている。地域別では欧米と国内が好調だったという。


参考資料
1. スマホ用アプリケーションプロセッサでQualcommに陰り (2015/07/23)
2. Global Smartphone Growth Expected to Slow to 11.3% in 2015 as Market Penetration Increase in Top Market, According to IDC (2015/05/26)
3. Worldwide Smartphone Market Posts 11.6% Year-over-Year Growth in Q2, 2015, the Second Highest Shipment Total for a Single Quarter, According to IDC (2015/07/23)

(2015/07/27)

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