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2027年までのNANDフラッシュはCAGR6%で成長し続ける

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NANDフラッシュとDRAMは、2021年から2027年までにCAGR(年平均成長率)がそれぞれ6%、9%で成長、それぞれ960億ドル、1585億ドルに成長しそうだ。フランスの市場調査会社であるYole Developpementがこのような見通しを発表した。同社はメモリには組み込み方式を含めておらず、単独のメモリ製品の市場を対象としている。

2021-2027 evolution of the stand-alone memory market Yole Developpement

図1 2027年までのメモリの成長見通し 出典: Yole Developpement


メモリ市場はこのところ好調だ。貿易戦争や新型コロナ禍でも2020年は前年比15%、2021年は同32%も成長した(参考資料1)。メモリのような大量生産製品は、少しでも作りすぎると価格が低下し販売額が減少し、不足しすぎると価格が上がる。ただし、生産量が極めて多いだけに、その差の絶対値も大きい。このため浮き沈みが大きく、シリコンサイクルが顕著に見える。しかし大量生産品でなければメモリほどの浮き沈みは見えにくい。

2022年のメモリ市場も好調で、NANDフラッシュは前年比24%成長の830億ドル、DRAMは同25%成長の1180億ドルと予想されている。これらの数字は史上最高だが、メモリは着実に成長していく製品の一つだ。メモリにはほかにNORフラッシュ、SRAM/FRAM、EEPROM、X-Pointメモリのような新型不揮発性メモリ等があるが、市場規模はNANDとDRAMが圧倒的に大きい。メモリ全体としては2021年〜2027年の間のCAGRは8%と見ているが、2021年、22年を見ている限り、やや保守的な数字に見える。ただし、市場規模は2027年に2600億ドルにも達する見込みだ。日本円で33.8兆円にも上る。

NANDフラッシュは2Dから3Dへ、と技術の変化が起こり、高集積化の一途をたどってきた。DRAMと違って何度も書き換えるようなRAM動作はできないが、ストレージとして大容量化では類を見ないデバイスとなった。HDD(ハードドライブ)以外のストレージとして、NANDは光ディスクよりも容量は大きく、しかもアクセス速度は速い。

同じようなフラッシュメモリでもNOR型は、高集積化が難しく、その市場規模はNANDよりもずっと小さいが、それでも2021年は前年比43%増の35億ドルに成長した。NANDよりも高速処理が可能で、NANDと同様不揮発性であるため、1Gビット(128Mバイト)以下の容量ならNORフラッシュも使いやすいストレージとしてIoTや自動車、通信、インフラ市場などのデータメモリとして堅実に成長している。暗号化データや暗号キーの保管など数十MBもあれば十分な用途に向いている。

DRAMは今後、EUVリソグラフィによる微細化や3D-NANDのようなモノリシックな3次元化が提案されており、更なる大容量化にはモノリシックな3次元DRAMも2030年ころまでには実用化される可能性はある。UnisantisMonolithic3Dなどのスタートアップが活躍できる場となりそうだ。ただし、生産は3D-NANDほどの複雑なプロセスになり、難しそうではある。

参考資料
1. "NAND and DRAM are poised to hit new revenue records", Yole Developpement (2022/05/09)

(2022/05/12)

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