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日本の半導体ICメーカーの世界シェアは2021年も6%のまま

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2021年の世界半導体メーカーの国別市場シェアが発表された。市場調査会社IC Insightsによると日本の半導体ICの市場シェアは昨年と同じ6%であった。2021年で大きく変化を見せたのは中国の半導体である。中国のIC産業は前年5%シェアで間もなく日本を抜くかと思われていたが、4%に落ちた。特に、ファブレスのシェアは前年の15%から9%に落ちた。

Worldwide IC Company Marketshare by Headquarters Location / IC Insights

図1 世界の国別半導体ICメーカーの市場シェア 上は2021年、下が2020年である 出典: IC Insights


図1では、IDM(設計から製造までを手掛ける垂直統合型半導体メーカー)、ファブレス半導体メーカー、そしてその合計となる半導体ICメーカーの売上額を国ごとに足したものを表している。つまり、本社のある地域の半導体メーカーの市場シェアである。半導体メーカーのシェアを示すため、ファウンドリの売り上げは含めていない。ファウンドリの売り上げはファブレスやIDMにとってコストとなり、半導体市場を表さないためだ。

米国のIC企業は54%のシェアを取っており、続いて韓国が22%、台湾が9%シェア、欧州が6%、日本が6%、中国が4%となっている。台湾はIDMが少なく、ファブレスだけでビジネスを行っているようなもの。ファウンドリでは逆に台湾が世界のトップを行く。台湾のファブレスには勢いがあり、2020年に初めて欧州のシェアより大きくなったかと思うと、1年で差を大きく広げた。台湾と中国にはIDMがほとんどいない。また韓国はIDM形態をとるメモリメーカーが多いため、IDMのシェアが33%もある一方で、ファブレスは1%しかいない。

米国は対中政策上、半導体製造を強化しているが、実際には半導体産業で圧倒的に強い。先端の微細化プロセスでTSMCよりも遅れていることを強調することで議会から補助金を得ようとしてきた。しかし、米国はファブレスもIDMも本当は強い。IDMではIntel、Micron、TI、Analog Devicesといったビッグネームに加え、ON SemiconductorやPower Integrations などパワー半導体でも大きな存在感を示している。例えばPower Integrationsは、Navitasと並んでGaNパワー半導体のトップメーカーである。米国はIDMだけの市場でも47%シェアを持つが、ファブレスだけの市場では68%ものシェアを持つ。半導体市場では米国の強さは圧倒的なのである。

日本が今回も6%をキープできたのは、キオクシアやルネサスエレクトロニクス、ソニーセミコンダクタソリューションズ、ロームなどが半導体不足に対処しながらフル生産してきたからであるが、中国の売り上げが落ちたことも大きい。日本に売り込みに来ない外国企業ユーザーをどう取り込むか、今後の課題は多い。

参考資料
1. "Chinese Companies Hold Only 4% of Global IC Marketshare", IC Insights (2022/04/05)

(2022/04/08)

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