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半導体製造装置はデバイスの落ち込みとリンク、赤信号灯る

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日本半導体製造装置協会(SEAJ)が発表した半導体製造装置の9月の受注額はついに前年を割り、マイナス成長に陥った。販売額はむしろ増加しているため、その結果、B/Bレシオは0.69となった。4月をピークに受注額が下がり続けてきたため、要注意を警告してきたが、赤信号が灯ったといえそうだ。

図1 半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ

図1 半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ


これまでの半導体製造装置の受注額は4月をピークに落ち続けてきた。販売額は6月を底に増え続けているため、B/Bレシオは1.0を割り、さらに0.69まで低下してきた。B/Bレシオだけが先行指数ではないが、受注額が減り続けている状況は望ましくない。

SEAJのこの理由について全く触れていないが、今年の前半に期待されたWindows 10が不振を極めたことが大きい。市場調査会社のIDCが8月末に予測した2015年世界のパソコン出荷台数は、前年比8.7%減の2億816万台となっている。昨年は同2.1%減ですんだのだが、今年はさらに大きく落ち込むだろうとする。Windows 10はアップグレード可能なOSで展開しており、パソコンの買い替えを促さなかったことも大きい。この結果、DRAMの出荷量は減り、単価の下落と合わせるとDRAM販売額は10%を超す落ち込みとなりそうだ。モバイルDRAMはプラス成長を維持するだろうが、パソコン用のDRAMの売り上げ落ち込みが激しく、DRAM市場は大きくマイナス成長になりそうだ。

半導体デバイスの市場にもWSTSによると、6月ごろから陰りが見え始めている。5月までプラス成長だったが、前年同月比で6月1.7%減、7月4.4%減、8月3.1%減と連続前年月比でマイナスとなっている。これにリンクして、製造装置に対して設備投資を抑えているのであろう。ただ、1〜8月の累積ではまだ2.0%増のプラス成長となっているが、iPhone 6S効果が表れるのは、これからなので、推移を見守りたい。


図2 FPD製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ

図2 FPD製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ


フラットパネル製造装置は、一見好調のように見える。9月の販売額215億3400万円に対して、受注額は431億9900万円、B/Bレシオは2.01と以上に高い数字となっている。しかし、9月の販売額は前年同月比でわずか6.1%増にしか増えていない。3月の期末需要が3、4、5月と続いたが、これは3ヵ月の移動平均値という数字のマジックによるもので、4月から9月まで販売額は全く伸びていないと考えてよい。グラフで見る限り、2015年1月からこれまでの受注額増加に全く対応していない数字となっている。これは、二重発注を警戒して慎重なのか、ビジネス機会を逃しているのか、今の段階では判断できない。B/Bレシオでは推し量れない指数が必要かもしれない。

参考資料
1. 日本製半導体製造装置の受注が4カ月連続低下 (2015/09/17)

(2015/10/21)

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