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Appleが23位にランクインした2014年の世界半導体ランキング

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市場調査会社のIHS Technologyが2014年の半導体ランキングの確定値を発表した。それによると、昨年12月での見通しの速報値(参考資料1)と異なる点は、SK Hynixが5位から4位に上がり、Micronが4位から5位に下がった点だけである。ただ、23位にAppleがファブレス半導体メーカーとしてランクインしているのが興味深い。

表1 2014年世界半導体市場シェアランキング 単位:10億ドル 出典:IHS Technology

表1 2014年世界半導体市場シェアランキング 単位:10億ドル 出典:IHS Technology


IHSがコメントしていない点で最も興味を引いたことは、Appleをファブレスにカウントしている点である。ただし、2013年の300位から2014年に23位に入ったということについて、何もコメントしていない。2013年まではAppleのチップはSamsungが製造していたが、ネットリストから配置配線までの物理設計はどうやらAppleではなくSamsungだったと言われている。ところが、iPhone 6からのアプリケーションプロセッサ(APU)はTSMCも作るようになったため、Apple自身が設計したとみなされるようになったのかもしれない。物理設計をApple自身が行ったのか、あるいはTSMC傘下のデザインハウスであるGlobal Unichip社が行ったのかは、明らかではない。

SamsungはAPUを自社設計していると言われているが、Appleはスマホの競合であるSamsungから部品をできるだけ購入しないように努めてきた。DRAMもフラッシュも液晶パネルもみんなSamsung以外から購入するようになったが、APUだけは設計に3〜4年かかるため、しばらくSamsungにファウンドリを依頼していた。

2014年のランキングでは、Avago TechnologiesがLSIを買収したことで前年の23位から14位に急浮上した。MediaTekはM-Starを買収したことで2013年の15位から10位にのし上がった。

このランキングにはファウンドリは含まれていないため、合計すると純粋の半導体市場となる。IHSによると、2014年の半導体市場は前年比9.2%増の3545億ドル(42兆5400億円)となる。WSTS(世界半導体市場統計)の市場規模は、2013年が3055億8400万ドル、2014年は9.9%成長の3358億4300万ドルとなっている。ただし、WSTS統計の実データには、IntelやQualcommが含まれていないため、全体の数字は推定値となっている。WSTSかIHSのどちらが正しいかは判断できない。いずれも調査方法に差があるためだ。

2015年の数字はもっと大きく変動することが予想されている。それは、15位のNXPが18位のFreescaleを、13位のInfineon TechnologiesがInternational Rectifierをそれぞれ買収したからだ。前者を単純合計すると、NXPの売り上げは100億100万ドルとなる。後者はIRの財務資料をもはや公開していないため、明らかではないが、仮にInfineonの半分程度だとすると、合計金額は80〜90億ドルになり、やはりトップ10に入る可能性がある。

トップ25社のなかで前年からマイナス成長になった企業は4社あり、その内3社が日本企業となった。もちろん円安の影響もあるため、円ベースではルネサスを除きプラス成長になるだろうが、日本企業の試練となっている。世界的な企業と共に成長するためには相当なイノベーション、あるいは競争力を生み出すことが求められよう。

参考資料
1. IHSも2014年世界半導体ランキングの速報値を発表 (2014/12/22)

(2015/04/20)

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