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半導体工場関連:Biden大統領Samsung訪問、TI起工、Foxconn合弁、…

新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜20日午後時点、世界全体で5億2404万人に達し、7日前の午後から393万人増、前週比横ばいである。米国では新規感染が2月以来の水準に再び増加、我が国では夏場に向けてマスク着用の見直しがあらわされている。半導体工場を巡る動きが相次いで、以下取り出して注目している。まずは、Biden米国大統領の日韓訪問で、最初の韓国到着後のSamsungの京畿道平沢市にある半導体工場訪問の模様である。改めて、経済安保、supply chain強化が謳われている。Texas Instruments(TI)が、Sherman, Texasにて$30 billionのプロジェクトを起工、台湾・Foxconnがマレーシアで300mmのウェーハ製造拠点に合弁で取り組む計画と続く。TSMCのシンガポール工場の検討も、取り沙汰されている。

≪重み増す一途の半導体確保に向けて≫

就任以来初のアジア訪問で、韓国そして我が国を訪れるBiden大統領。最初の韓国に到着後すぐのSamsungのPyeongtaek(平沢)キャンパス訪問、米国大統領初の韓国の半導体工場訪問とのこと。関連記事が基本時間順に以下の通りである。

◇Biden to be 1st U.S. President to Visit Samsung's Massive Semiconductor Plant-Sources: Biden to visit Samsung wafer fab in Korea (5月18日付け KBS (Korea))
→米国のJoe Biden大統領は、金曜20日に韓国に到着してSamsung Electronicsの最大の半導体工場を見学、Washingtonが重要コンポーネントについてSeoulとのパートナーシップを優先していると見なされる動きの旨。水曜18日の業界筋によると、Biden氏はSamsungのPyeongtaek(平沢)キャンパスを訪問、米国大統領初の訪問となり、Lee Jae-yong(李在鎔)副会長がホストを務める旨。

◇米提唱のアジア経済圏発足へ、日韓参加、中国は警戒 (5月19日付け 日経 電子版 12:26)
→米国が主導するインド太平洋経済枠組み(IPEF:Indo-Pacific Economic Framework)が発足する旨。バイデン大統領が近く来日する際に宣言し、岸田文雄首相が参加の意向を伝える旨。韓国も加わる方針。環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を申請する中国を牽制する狙いもある旨。アジアでの米中の覇権争いが激しくなる旨。

◇20日来韓のバイデン氏 初日はサムスン電子半導体工場訪問 (5月19日付け 韓国・聯合ニュース)
→米国のバイデン大統領が訪韓初日の20日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領とソウル南方の京畿道・平沢にあるサムスン電子の平沢事業所を訪れる旨。米大統領が韓国の半導体工場を訪問するのは今回が初めて。
半導体分野における韓米関係を強化する歴史的な瞬間になることが予想されるため、サムスン電子は万全の準備を整える構え。
財界関係者によると、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長は18日に平沢事業所を訪れ、韓米首脳が訪れる当日の動きなどを確認した旨。李氏は事業所内を自ら案内する旨。当日は同社の役員約100人が平沢事業所に集まることが分かった旨。
今回のバイデン大統領の訪韓には、米半導体大手クラルコムのアモン最高経営責任者(CEO)が同行する旨。

◇米大統領来日、国務・商務長官同行、中国念頭に協力拡充 (5月20日付け 日経 電子版 05:23)
→バイデン米大統領は22日からの来日にブリンケン国務長官とレモンド商務長官を同行させる方針。両閣僚は日米が立ち上げる経済版の「2プラス2」の米側メンバー。日米両政府は外務・防衛担当閣僚の2プラス2とあわせた2つの閣僚間の枠組みで、中国を念頭においた協力基盤を強化する旨。

◇Biden Hails US-South Korea Alliance on Tour of Samsung Plant-President Biden tours a Samsung chipmaking complex in Korea (5月20日付け Bloomberg)
→*Biden大統領がソウル近郊に上陸した後、半導体複合拠点を見学
 *5日間のアジア旅行は、大統領として初めての該地域訪問

平沢キャンパス訪問時の状況が、以下あらわされている。

◇バイデン大統領「韓国と供給網強化で協力」 サムスン半導体工場を視察 (5月20日付け 韓国・聯合ニュース)
→韓国を訪問中のバイデン米大統領は20日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と共にソウル近郊の京畿道平沢市にあるサムスン電子の半導体工場を視察した旨。
バイデン大統領は視察後に演説を行い、「韓国のようにわれわれと価値を共有する緊密なパートナーと協力し、われわれが必要とするものを同盟とパートナーからより多く確保し、サプライチェーン(供給網)の回復力を強化することが重要だ」との考えを示した旨。
続けてロシアによるウクライナ侵攻について言及し、「われわれと価値を共有しない国々に経済と国家安保を依存しないためには、主要供給網を確保しなければならない必要性を浮き彫りにした」と述べた旨。侵攻によりウクライナの穀物輸出に支障が生じ、世界で食料危機が発生している状況を念頭に置いた発言とみられる旨。

◇バイデン氏「価値観共有する国と供給網」、韓国で演説−21日に米韓首脳会談、北朝鮮など議論へ (5月20日付け 日経 電子版 21:10)
→バイデン米大統領は20日夕、大統領専用機で韓国に到着した旨。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と同日に訪れたサムスン電子の半導体工場で演説し、価値観を共有する同盟国などとサプライチェーン(供給網)構築で協力する重要性を訴えた旨。中国への経済的な依存を引き下げる狙いがある旨。

◇尹大統領「韓米関係を経済安保同盟に」、バイデン氏が半導体工場訪問 (5月20日付け 韓国・聯合ニュース)
→韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は20日、同日来韓したバイデン米大統領と共にソウル近郊の京畿道平沢市にあるサムスン電子の半導体工場を訪れた旨。
尹大統領は工場視察後に行った演説で、「バイデン大統領の訪問は半導体が持つ経済・安保的意味はもちろんのこと、半導体による韓米の『グローバル包括的戦略同盟』の意味を再確認できるよい機会になる」と強調した旨。そのうえで、バイデン大統領に対し「きょうの訪問を機に、韓米関係が先端技術と供給網(サプライチェーン)協力に基づく経済安保同盟として生まれ変わることを願う」と述べた旨。

米国・Texas Instruments(TI)が、2021年11月に明らかにしていたSherman, Texasでの新たな300mmウェハ対応半導体工場の建設着工を発表、以下規模&概要が示されている。

◇Texas Instruments breaks ground in Sherman, commits to $30 billion and four chip plants-TI starts construction on its 300mm wafer fabs in Texas -The Biden administration has positioned developments like TI's planned four-factory campus in Sherman as critical to the future of the U.S. economy. (5月18日付け The Dallas Morning News)
→Texas Instruments(TI)が、Sherman, Texasにある最初の300-millimeterウェーハ製造拠点での作業を開始、同社は、該サイト上に4つの300mmファブを構築して運用することを計画、$30 billionのプロジェクトである旨。

◇Texas Instruments breaks ground on new 300-mm semiconductor wafer fabrication plants in Sherman, Texas-The landmark investment could reach $30 billion and create as many as 3,000 jobs over time (5月18日付け PR Newswire)

台湾・Foxconnが、マレーシアで現地投資持株会社との合弁で、300mmのウェーハ製造拠点の建設に取り組む計画である。

◇Hon Hai signs MOU to build joint wafer fab in Malaysia (5月17日付け Focus Taiwan)

◇Foxconn forms JV to build chip fab in Malaysia-Can't say when, where, nor price tag. Has promised 40k wafers a month at between 28nm and 40nm (5月18日付け The Register (UK))
→DNeXは、マレーシア北部で110-180nmのノードを対象とする8インチのウェーハファウンドリを運営するSilTerraの少数投資家である旨。

◇Taiwan's Foxconn planning to build chip fab in Malaysia-Foxconn and DNex plan wafer fab in Malaysia -Facility expected to produce 28nm and 40nm chips (5月18日付け Taiwan News)
→Foxconnが、マレーシアの投資持株会社、Dagang NeXchange Berhadとの合弁会社を設立、マレーシアにて300mmのウェーハ製造拠点を建設&運営する旨。このファブは、28-nmおよび40-nmのプロセスノードを提供、月間outputは40,000枚。

◇Hon Hai subsidiary, DNeX to build chip fab (5月18日付け Taipei Times)

我が国では、ルネサスエレクトロニクスがパワー半導体製造に向けて、閉鎖されている甲府工場を再稼働する取り組みである。

◇Renesas to Invest and Restart Operation of Kofu Factory as 300mm Wafer Fab Dedicated for Power Semiconductors (5月17日付け Benzinga)

◇Renesas to boost power semiconductor production capacity-Renesas will reopen a closed fab for power chips (5月17日付け New Electronics)
→Renesas Electronicsが、山梨県甲斐市の閉鎖されたウエハー製造拠点を再利用、約$700 millionを投じてパワー半導体製造用の300ミリウエハー工場を建設する予定。

◇半導体大手ルネサス、閉鎖の甲府工場を24年再稼働、900億円投資 (5月17日付け 朝日新聞DIGITAL)
→ルネサスエレクトロニクスが17日、2014年に閉鎖した甲府工場(山梨県甲斐市)を、2024年に再稼働すると発表、900億円ほどかけて生産ラインを整備する旨。
つくるのは電源の制御を担う「パワー半導体」。電気自動車(EV)向けなどに需要が伸びている旨。工場が本格稼働すれば、ルネサス全体のパワー半導体の生産能力は2倍になる旨。

◇Renesas to Invest and Restart Operation of Kofu Factory as 300mm Wafer Fab Dedicated for Power Semiconductors (5月18日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇Renesas to reopen Kofu factory as 300mm wafer fab dedicated for power semiconductors (5月19日付け DIGITIMES)

韓国・SK Hynixは、インテルからフラッシュ関連を買収した中国・大連にて新しいウェーハ工場の展開である。

◇SK hynix builds new wafer factory in NE China's Dalian-SK Hynix will break ground for new wafer fab in Dalian, China (5月17日付け Global Times (China))
→SK Hynixが、中国遼寧省の大連のファブを含むインテルの中国におけるフラッシュドライブおよびデータストレージ事業を買収した後、大連にさらなるウェハ製造拠点を展開する旨。Intelは、3年後に設定された買収取引の第2段階が完了するまで、大連のウェーハ工場を運営する旨。

台湾・TSMCが、シンガポールでの工場建設を検討、と以下の取り沙汰である。引き続き注目するところである。

◇TSMC Looks to Build Multibillion-Dollar Chip Plant in Singapore-Report: TSMC considers Singapore for a wafer fab-Taiwan semiconductor giant is adding capacity in U.S., Asia to address global shortage (5月19日付け The Wall Street Journal)
→TSMCが、シンガポールを先端ウェーハ製造拠点として検討している旨。

◇Taiwan's TSMC considers Singapore chip fab-Chipmaker looking into feasibility of setting up facility to produce 7nm, 28nm chips (5月20日付け Taiwan News)

◇TSMCがシンガポール工場の建設を検討しているウワサ。半導体不足の解消のため【Gadget Gate】 (5月20日付け phileweb.com)
→iPhoneやMac向けのチップ等を製造する台湾TSMCが、世界的な半導体不足に対応するため、シンガポールに新工場の設立を検討しているとの噂が報じられている旨。まだ最終決定はされておらず、計画の詳細も議論中ながらも、同社はシンガポール政府と交渉中とのこと。
米The Wall Street Journalは、この新工場がレガシー(旧型)チップ、つまり最先端技術を使わない半導体に対応したものと伝えている旨。計画に詳しい関係者は、TSMCは7-28nmのチップ生産ラインの実現可能性を検討している、と述べているそう。

現下の活発な生産投資、そして半導体capacity関連の状況が、以下の通りである。

◇半導体工場、国内で巨額投資続々、政府は経済安保観点からも支援 (5月16日付け 朝日新聞DIGITAL)
→大規模な半導体工場をつくる動きが広がっている旨。スマートフォンや家電、自動車などあらゆる製品に使われる半導体は世界的に不足しており、争奪戦が激しい旨。企業は巨額の投資をし、政府は経済安全保障の観点からも補助金を出して、生産力を高めようとしている旨。

◇Wafer Shortage Improvement In Sight For 300mm, But Not 200mm -Analysis: 300mm silicon wafers may soon be in short supply (5月19日付け Semiconductor Engineering)
→サプライヤーが新しい300mmのcapacityに投資しているが、おそらくそれだけでは不十分の旨。そして、200mmの需要が急増しているにもかかわらず、Okmetic(Vantaa, Finland)と中国の新しいプレーヤーだけがcapacityを追加している旨。

◇Six-inch fab capacity to stay full utilized through 3Q22-Sources: Industry slowdowns won't crimp 6-inch fab capacity through Q3 (5月19日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Mosel VitelicやNuvoton Technologyなどの6インチICファウンドリーが、LCDドライバ半導体やその他の民生用ICの注文が最近減速しているにもかかわらず、引き続きフル稼働率でファブを動かしている旨。

世界の政治&経済情勢が絡んでくる半導体製造&供給網強化の動き、そして進展状況に目が離せないところである。


コロナ対応のなかなか完全には収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□5月15日(日)

米国はじめ同盟国と中国・ロシアの対立、解離が深まる一途の現状が、以下に色濃くあらわされている。

◇Nations Aim to Secure Supply Chains by Turning Offshoring Into ‘Friend-Shoring’-US, allies protect supply chains via "friend-shoring" -U.S. officials and allies around the world are looking to establish friendly supply routes for key goods amid a war and global pandemic (The Wall Street Journal)
→パンデミックやロシア・ウクライナ戦争が世界のサプライチェーンにもたらした課題を踏まえ、米国と欧州、アジアおよび太平洋地域の同盟国は、相互供給協定を強化し、独裁的な政府との取引を回避する"friend-shoring"と呼ばれる取り決めを進めようとしている旨。
Janet Yellen財務長官は、「信頼できる多くの国々へのサプライチェーンの"friend-shoring"を促進することで、市場アクセスを安全に拡大し続けることができ、我々の経済だけでなく、信頼できる貿易相手国のリスクも低下させる」と述べた旨。

□5月16日(月)

◇データ流通網、中国・ロシア外し 日米韓などで枠組み (日経 電子版 02:00)
→日本や米国、韓国、台湾など7カ国・地域は、個人データの移転ルールを現在のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の枠組みから独立させることで合意した旨。APECにはロシアと中国が加盟しており、データが流れることへの懸念があった旨。中ロを外し、一定の信頼関係のある国・地域の枠組みを新たにつくり、APEC非加盟の南米などにも広げる旨。

□5月17日(火)

出だし上げたものの半ば以降大きく下げて、世界大恐慌のとき以来90年ぶり、8週連続下落となった今週の米国株式市場である。

◇NYダウ小幅続伸、26ドル高、ハイテク株には売り (日経 電子版 05:34)
→16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に続伸し、前週末比26ドル76セント(0.1%)高の3万2223ドル42セントで終えた旨。原油高を受けて石油株が買われ、ディフェンシブ株の一角も上げた旨。ダウ平均は前週まで7週連続で下げており、押し目買いも入りやすかった旨。ただ、米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締めへの警戒からハイテク株や消費関連株は売られ、相場の重荷となった旨。
中国・上海市が6月に都市封鎖を解除する方針を示したのを受け、米原油先物相場が一時、ほぼ2カ月ぶりの高値を付けた旨。

◇ロシア撤退300社に、紛争長期化、マックは事業売却 (日経 電子版 08:10)
→欧米企業で、ロシア事業からの撤退を具体化する動きが相次いでいる旨。米マクドナルドが16日、ロシア事業を売却すると発表したほか、仏ルノーもロシア自動車大手アフトワズの保有株を売ると表明した旨。ウクライナ紛争が長期化するなか、米エール大の調査によるとロシアからの事業撤退を決めた企業は310社を超えた旨。

◇日米、中国を「共同抑止」、首脳声明へ明記調整【イブニングスクープ】 (日経 電子版 18:00)
→日米両政府は23日の首脳会談でまとめる共同声明に、中国の行動を共同で「抑止し対処する」方針を明記する調整に入った旨。米国の「核の傘」による日本防衛や両国の安全保障戦略の共有も打ち出す旨。米国はインド太平洋の新たな経済枠組みを発足すると表明しアジア関与を明確にする旨。

□5月18日(水)

◇NYダウ続伸、431ドル高、堅調な小売売上高で心理改善 (日経 電子版 05:51)
→17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比431ドル17セント(1.3%)高の3万2654ドル59セントで終えた旨。朝方発表の4月の米小売売上高が消費の堅調さを示し、消費関連株や景気敏感株への買いを誘った旨。投資家心理が改善し、ハイテク株にも買いが広がった旨。

この第一四半期、またマイナスに転じた我が国のGDP、そしてインフレ&物価高の世界経済減速、と現下の実態である。

◇1〜3月GDP1.0%減、2期ぶりマイナス、コロナ制限響く (日経 電子版 11:13)
→内閣府が18日発表した1〜3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.2%減、年率換算で1.0%減、マイナス成長は2四半期ぶり。感染力の強いオミクロン型の新型コロナウイルスの拡大で、飲食店の営業などを制限するまん延防止等重点措置が適用され、個人消費が伸び悩んだ旨。

□5月19日(木)

◇世界景気、物価高で減速、日米欧の成長下振れ (日経 電子版 05:15)
→世界景気の減速懸念が強まっている旨。ロシアのウクライナ侵攻で拍車がかかる物価高が重荷となり、新型コロナウイルス禍からの回復シナリオは見直しを迫られる旨。日米欧とも1〜3月の成長率が低下し、4〜6月期以降の見通しも下方修正が相次ぐ旨。中国のゼロコロナ政策が供給網の混乱要因となり、米国の利上げが金融市場の火種になるリスクもくすぶる旨。

◇NYダウ1164ドル安、約2年ぶりの下げ幅、業績悪化懸念 (日経 電子版 07:44)
→18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は急反落、前日比で1164ドル52セント(3.6%)安の3万1490ドル07セントで終え、年初来安値を更新した旨。下げ幅は2020年6月以来、約2年ぶりの大きさとなる旨。小売り大手の決算が市場予想を下回り、インフレに伴うコスト増が企業収益を圧迫するとの見方が強まった旨。

□5月20日(金)

◇NYダウ236ドル安、連日の年初来安値、企業業績に懸念 (日経 電子版 05:52)
→19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落、前日比236ドル94セント(0.8%)安の3万1253ドル13セントで終え、連日で年初来安値を更新した旨。今週は低調な小売り決算が相次ぎ、インフレが企業業績を圧迫するとの懸念が売りを誘った旨。ただ、ダウ平均は前日に今年最大の下げとなった反動で押し目買いも入り、下げ渋る場面もあった旨。

□5月21日(土)

◇NYダウ、90年ぶり8週連続下落、引き締め警戒で株安続く (日経 電子版 07:28)
→20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に反発し、週間では934ドル(2.9%)安になった旨。8週連続の下落で、金融情報会社リフィニティブによると1932年以来90年ぶりの連続下落記録となった旨。約40年ぶりの高インフレ抑制をめざす米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和から引き締め方向に急旋回し、景気の過度な冷え込みを警戒する投資家の売りが広がっている旨。


≪市場実態PickUp≫

【ロックダウンの影響】

中国の都市封鎖(ロックダウン)の影響が、引き続き以下いろいろな切り口で打撃となっている。上海の封鎖6月解除が行われるかどうか。

◇A semiconductor CEO explains how Shanghai's 7-week lockdown is crippling his supply chain and fueling inflation (5月14日付け Fortune)
→自動車、産業機械、およびコンピュータに使用される様々な半導体を製造するMicrochip Technology社のCEO、Ganesh Moorthy氏が、「当社の製品の多くは、上海で製造されていないか、上海から容易に出荷できないために入手できない」と語る旨。Microchip社は複雑なグローバルサプライチェーンを構築しているが、主要なサプライヤーの多くは上海地域にある、とMoorthy氏。「該業界は完全に引き伸ばされており、こうしたことに対処するためのバッファを持たない時期に、すべてが起こっている。」と指摘する旨。

中国・SMICの業績について、以下の通り。

◇Top China chipmaker outlook hit by lockdowns (5月14日付け Taipei Times)
→中国最大の半導体メーカー、Semiconductor Manufacturing International Co(SMIC, 中芯)が、第二四半期の見通しを下方修正、この2年間で最悪のCOVID-19の発生を抑えることを目的としたロックダウン(閉鎖措置)による影響について警告するメーカーのリストに加わった旨。同社は、上海での1ヶ月に及ぶ閉鎖が部品不足と物流の混乱に拍車をかけ、第二四半期の生産量の約5%を消失させる可能性があると見積もっている旨。

◇Demand for PC and smartphone chips drops 'like a rock' says CEO of China's top chipmaker-SMIC CEO: Demand dropping for phone/PC chips in China -Markets outside China are doing better, but at home vendors have huge component stockpiles (5月16日付け The Register (UK))
→Semiconductor Manufacturing International Corporation(SMIC)のCEO、Zhao Haijun氏が、PCやスマートフォンのmicrochipsに対する業界の需要が中国で劇的に減少していると述べている旨。そのような展開にもかかわらず、SMICの第一四半期の売上高は$1.84 billionで、前年同期比67%増となった旨。

◇SMIC Revenue Soars as Chinese Market Sours (5月18日付け EE Times)
→Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)が、国内市場である中国の需要が弱まっていることを警告したため、今年の最初の3か月間に売上高が66%以上増加した旨。

◇中国景気、ゼロコロナの傷深く、4月生産・小売り悪化−4〜6月マイナス成長も (5月17日付け 日経 電子版 05:11)
→中国政府が新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で、中国景気の傷が深まってきた旨。4月は物流の混乱などで生産、小売り、雇用が軒並み悪化した旨。共産党の習近平(シー・ジンピン)指導部はゼロコロナ政策を堅持する方針で、民間予測では4〜6月のマイナス成長を懸念する声も出始めた旨。

台湾の主要ITメーカーの業績にも、打撃があらわれている。

◇台湾IT、半年ぶり減収、4月、中国の都市封鎖打撃 (5月18日付け 日経産業)
→世界のIT企業に多くのデジタル製品や半導体を供給する台湾メーカーの業績に陰りが見え始めた旨。関連の主要上場19社の4月売上高の合計額は前年同月比で2%減った旨。前年実績を下回るのは6カ月ぶり。中国の新型コロナウイルス感染拡大や相次ぐ都市封鎖(ロックダウン)により、生産・販売の両面で打撃を受けている旨。

半導体製造装置メーカーでのインパクトである。

◇Applied Materials forecasts gloomy current quarter as supply chain woes persist-Applied Materials offers a downbeat forecast on IC shortages (5月19日付け Reuters)
→Applied Materialsが、第三四半期の売上げと利益が見積もりを下回ると予測しており、中国でのCOVID-19の封鎖によって悪化した供給のボトルネックが、半導体製造ツール向けの需要を満たす能力を妨げることを示している旨。

【米欧連携協議】

半導体生産強化を大きな論点の1つとして、米国-EU貿易技術協議会の第2回会合が開かれ、関連内容が以下の通りである。中国そしてロシアへの対抗が主題である。

◇U.S, E.U will seek to head off subsidy race over chip production, official says-US and EU will cooperate on subsidizing chip production (5月15日付け Reuters)
→Biden政権によると、欧州連合(EU)と米国は、半導体生産の拡大促進について協力していく旨。パリで今週開催される米国-EU貿易技術協議会の第2回会合に先立ち、政権高官が「供給の安定を確保するための半導体投資に対する大西洋横断的アプローチを発表することになるだろう」と述べた旨。

◇US, EU to boost coordination on semiconductor supply (5月17日付け Taipei Times)
→米国とEUが昨日、半導体供給の途絶を特定し、ロシアの偽情報に対抗することを目的とした共同の取り組みを発表している旨。米国高官が、フランスの科学の中心地、Saclayを訪れ、中国がその技術的影響力をますます発揮する中で昨年設立されたTrade and Technology Councilの会合に出席している旨。

◇米EU、ウクライナ危機対策を協議、食料安定供給で協力 (5月17日付け 日経 電子版 13:58)
→米国と欧州連合(EU)は15〜16日、経済協力を話し合う閣僚級会合をパリ郊外サクレーで開いた旨。ロシアのウクライナ侵攻で乱れる食料の供給網安定などに向けて協力することで合意、中国との技術開発競争を意識し、人工知能(AI)分野などでも連携を深める旨。
 「米EU貿易・技術評議会」はトランプ前米政権時にこじれた両者の関係を修復する狙いで発足、2021年9月に初会合を開き、2回目となる今回はウクライナ危機への対応も主要テーマとなった旨。

【JEITAの戦略提言】

電子情報技術産業協会(JEITA)の半導体部会が、いまが「日本の半導体、最後のチャンス」として、経済産業省に半導体戦略の提言書を提出している。充実した支援を得て、ステップを踏んで我が国のプレゼンス回復を図っていく、まさにここ30年にも及ぶ悲願である。

◇日本の半導体「最後で最大のチャンス」、JEITAが戦略提言 (5月19日付け 日経 電子版 14:19)
→電子情報技術産業協会(JEITA)の半導体部会は19日、経済産業省に半導体戦略の提言書を提出したと発表、各国・地域が半導体の産業政策を強化する中で「日本の半導体の復権も、この2025〜30年が、最後で最大のチャンス」として支援の充実を求め、次世代技術を担う研究開発体制の整備などを提言した旨。
提言は東京理科大大学院の若林秀樹教授を座長として、JEITA半導体部会に参加する各企業の委員が参加するタスクフォースでまとめた旨。

◇電子情報技術産業協会の半導体部会「日本の半導体、最後のチャンス」 (5月20日付け 日経)
→電子情報技術産業協会(JEITA)の半導体部会は19日、経済産業省に半導体戦略の提言書を提出したと発表、「この2025〜2030年が最後で最大のチャンス」とし、供給網の安定化に向けた同盟国連携の推進や、ベルギーのimecや米国防総省高等研究計画局(DARPA)のような研究・開発機関の設置などを提言した旨。

◇「半導体産業へ手厚い支援を」JEITAが提言、経産省に提出 (5月20日付け 日刊工業)
→電子情報技術産業協会(JEITA)は19日、同会の半導体部会が「国際競争力強化を実現するための半導体戦略2022年版」と題する提言書を経済産業省商務情報政策局情報産業課に提出したと発表した旨。
サプライチェーン(供給網)強靭化のための同盟国による連携支援のほか、デジタル化、グリーン関連投資を支えるキーコンポーネントとしての支援を要望。国家安全保障の観点から主要国・地域が進める半導体産業の維持、強化に日本が出遅れることのないよう、それら主要国・地域の補助金に比肩する支援も求めた旨。

【最先端技術関連】

史上初という6G通信についてのフォーラムを、Samsungが開催している。

◇Samsung holds first-ever 6G forum to discuss next-gen communications tech (5月13日付け Yonhap News Agency)
→Samsung Electronics Co.が金曜13日、6Gの研究開発と標準化の主導に向けて、通信技術の将来について議論するために学界と産業界の専門家との最初の6Gフォーラムを開催した旨。"The Next Hyper-Connected Experience for All"というタイトルの該フォーラムでは、世界の業界専門家が6G airインタフェースと6G用のAIベースのintelligent networksのトピックについてプレゼンテーションとディスカッションを行った旨。

ハワイで6月半ば開催のVLSI Symposia。Samsungそしてインテルの発表内容から。

◇Samsung Has 18 Talks at the VLSI Symposia in June, Including 3nm GAAFET LDO (5月16日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→6月12日〜17日にホノルルのHilton Hawaiian Villageで開催されるVLSI Symposia、先日、そのメディア関係者から、来たる論文を紹介するTipsheetが公開された旨。
Samsungが発表する18件の論文のうち、3件がTipsheetに記載されている旨。DRAMメモリ部門では、第15セッション(C15-1)でSamsungが「A 16 GB 1024 GB/s HBM3 DRAM with On-Die Error Control」を発表し、最初に挙げられている旨。
Samsungの第3世代10nm DRAM(1z)は、車載、産業、およびデータセンター用途をターゲットに、システムのreliability, availability, and serviceability(RAS)を高めて性能を向上させたものである旨。

◇Intel Has 13 Talks at the VLSI Symposia in June, Including Intel 4 (5月3日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→VLSI Symposiaが、来たる6月12日から17日にホノルルのHilton Hawaiian Villageで開催、最近、メディア関係者が、今後の論文のいくつかを説明するtipsheetをリリースした旨。
インテルが該conferenceで発表している13の論文のうち、3つがtipsheetに記載されている旨。Advanced CMOSカテゴリでは、インテルは最初のセッション(T1-1)で最初に登場、“Intel 4(前Intel 7-nm) CMOS Technology Featuring Advanced FinFET Transistors Optimized for High Density and High-Performance Computing”の旨。

またぞろリードを広げる動き、TSMCの1.4-nmプロセスへの取り組みである。

◇TSMC Initiates Development of 1.4-nm Chip Fabrication Process (5月17日付け Business Korea)
→TSMCは、1.4-nm半導体製造プロセスを開発する活動の開始を発表することにより、技術競争を再び引き起こしている旨。その結果、世界のファウンドリー市場でTSMCにしっかりと付いているSamsung Electronicsは、該リーダーの動きに対応せざるを得ない旨。
TSMCは、6月に3-nmプロセスR&Dチームを1.4-nmプロセスR&Dチームに転換すると報じられている旨。
Samsung Electronicsは、Samsung Foundry Forum 2021にて、2025年に2-nmプロセスを使用して半導体を大量生産する計画を発表、TSMCは、Samsungに先駆けて1.4-nmプロセスの開発を開始することでさらに一歩進んでいる旨。

【中国のIC生産】

中国政府が自国の製造業発展に向けて2015年に打ち出した経済戦略、「中国製造2025(Made in China 2025)」について、IC生産の目標達成は到底ほど遠いとされているが、現下の実態がIC Insightsにより以下の通りあらわされている。

◇China-Based IC Production to Represent 21.2% of China IC Market in 2026-Foreign companies (e.g., Samsung, SK Hynix, TSMC, etc.) are expected continue to comprise more than 50% of IC production in China through 2026. (5月18日付け IC Insights)

◇Chinese chip companies supplied 6.6% of China market in 2021-IC Insights: China's chipmakers to supply more of China's chips by 2026 (5月19日付け Electronics Weekly (UK))
→中国を拠点とするICの生産は、2026年には中国市場の21.2%を占める、とIC InsightsがThe McLean ReportのMay Q2更新版にて。

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