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米国のHuaweiに加えSMICへの輸出規制、波及する多様なインパクト

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新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜2日お昼前時点、世界全体で3409万人を超え、1週間前から約200万人増と同じペースの勢いが続いている。地域別では中南米が最も多く、アジア、北米、そして欧州と続いている。トランプ米国大統領が感染、大統領選はじめ先行きへの不透明感が高まる現時点である。米国が中国・Huaweiに対する輸出規制を厳しく強化したのに続いて、中国のトップ半導体メーカーでファウンドリーのSemiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)について米国半導体会社に対し技術輸出の場合、連邦政府からlicenseを受けなければならない、と同様の通告を行って、世界の関係各方面に多様&深刻な影響を引き起こしている。

≪相次ぐ規制強化、我が国にも余波≫

この9月15日に発効、中国のテレコム最大手、Huaweiでは必須の半導体が手に入らない事態となる新しい米国の対中貿易制裁に続いて、先行きが案じられていた中国・SMICであるが、大方の見方通りに同社に生産委託、すなわち技術輸出する場合は連邦政府のlicenseを受ける必要との通告が米国の半導体会社に対して行われ、以下の取り上げ、そして波紋を生じている。

◇US tightens trade restrictions on Chinese chipmaker SMIC-The new rule requires US firms to get a license before importing products to the company (9月26日付け The Verge)

◇U.S. Places Restrictions on China’s Leading Chip Maker-The export controls follow a review in which the United States concluded that Semiconductor Manufacturing International Corporation's chips may be used by the Chinese military. (9月26日付け The New York Times)

◇China must prepare for 'long tech march' following U.S. restrictions on SMIC: Global Times-SMIC is now under export controls by the US government (9月27日付け Reuters)
→米国商務省が、アメリカの半導体会社に対し、中国最大のファウンドリー、Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)に技術輸出したい場合、連邦政府からlicenseを受けなければならない、と通告の旨。「今や中国は、半導体業界のリサーチ&生産chainsのすべてを制御し、米国への依存を除く必要がある。」と、国家支援のtabloid、Global Timesにおけるunsigned論説記事。

◇米、SMIC向け輸出規制、中国半導体大手、事前許可制に、FT報道 (9月28日付け 日経)
→米商務省が中国半導体受託生産の中芯国際集成電路製造(SMIC)に米国企業などが特定製品を輸出する場合に、事前に同省の許可を得るように求めていることが26日、分かった旨。英フィナンシャル・タイムズ(FT)など複数の欧米メディアが報じた旨。

中国半導体最大手、SMICへの打撃の影響のほどがあらわれている。

◇中国の半導体生産に暗雲、米、対SMIC輸出を許可制に (9月27日付け 日経 電子版 22:00)
→米商務省の輸出規制は中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)の生産に打撃を与える可能性がある旨。米国企業から製造設備などを輸入できなくなる恐れがあるため。生産が滞れば中国のハイテク産業に加え、半導体の自給率を引き上げ、米国依存の脱却を図ってきた中国政府の戦略にも影響が及びそう。

中国の軍事行動に向けたSMICのリスクが取り上げられている。

◇U.S. Sets Export Controls on China's Top Chip Maker -Commerce Department letter says exports to SMIC risk being used for Chinese military activities (9月28日付け The Wall Street Journal)

◇US Reportedly Restricts Exports to SMIC (9月28日付け EE Times)
→Reutersなどnewsメディア発。米国政府が、供給された装置が軍事目的に使われる受け入れられないリスクがあると結論づけ、Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)への輸出を制限の旨。Reutersが見たという商務省からの手紙では、SMICへの製造装置のサプライヤのいくつかはこんどは個々の輸出licensesを申請しなければならない旨。

我が国への余波が次の通り見込まれている。半導体製造装置への影響である。

◇中国、半導体生産に暗雲―日本企業にも余波 (9月28日付け 日経)
→SMICへの輸出規制は日本勢が強みを持つ半導体製造装置などへ影響を与える恐れがある旨。これまで米中ハイテク摩擦の日本勢への影響は華為技術(ファーウェイ)と直接取引するソニーなどが中心だったが、広がる懸念が出てきた旨。
日本勢はエッチング装置や成膜装置大手の東京エレクトロンと、洗浄装置大手のSCREENホールディングスがSMICと取引している旨。さらにニコンやキヤノンが中国で半導体の回路パターンを転写する露光装置の受注に力を入れている旨。

◇US imposes restrictions on equipment exports to Chinese chipmaker SMIC (9月28日付け Taipei Times)

◇米のSMIC向け輸出規制、日本の半導体製造装置に影響 (9月29日付け 日刊工業)
→米商務省が、中国の半導体受託製造大手のSMIC(中芯国際集成電路製造)に対する輸出規制を強化し、日本が強みを持つ半導体製造装置業界へ影響が及ぶ懸念が出てきた旨。米現地メディアによれば、同省は米国企業などが同社に特定製品を輸出する場合は、同省の事前許可を得るように求めた旨。さらに規制強化が進めば、米企業の技術を使った製品を日本などの外国企業が輸出する際にも適用される可能性がある。
国内大手証券のアナリストによると「SMICは親日的な半導体メーカー」といい、多くの日本の半導体製造装置メーカーがSMICや周辺の半導体後工程請負業(OSAT)と取引があるとみられる旨。

SMICにおけるこの事態から生産委託を台湾・UMCに振り返る動きである。

◇UMC-affiliated IC design firms queuing up for capacity support-Sources: UMC affiliates place more orders for capacity (9月30日付け DIGITIMES)
→業界筋発。United Microelectronics(UMC)関連の台湾のIC design housesの多くが、中国・SMICが米国の貿易制裁に直面する様相の報道の渦中、海外の主要半導体メーカーが有利な大型発注をもってUMCに活発に向かっており、UMCのファウンドリー・サポート殺到で軽んじられる圧力に直面している旨。

SMICへの材料供給元についての動き、状況である。

◇SMIC supplier moves China one small step closer to chip self-sufficiency with purchase of used ASML system (10月1日付け South China Morning Post)
→*Suzhou(江蘇省蘇州市)の化学サプライヤが、韓国・SK HynixからのASML(オランダ)製lithography machineの購入に$11 million超支払いの旨。
 *中国は、半導体製造で用いられるhigh-end photoresist材料では輸入にもっぱら頼っている旨。

次に、先に規制強化を受けているHuaweiに関する動きから。

ドイツは、5GについてHuawei製品採用を制限しようとしている。

◇ドイツ、5Gでファーウェイ制限、現地報道 (9月27日付け 日経 電子版 05:17)
→ドイツ政府が次世代通信規格「5G」について、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)製品の採用を制限する方向で検討に入った旨。名指しで排除することはないが、検査を厳しくすることで、採用のハードルを高くする旨。独経済紙のハンデルスブラットなどが報じた旨。

Huaweiに製品を販売しているKioxia(前東芝メモリ)では、先行きへの不透明感から10月6日に予定していた東京証券取引所への上場の延期を迫られている。その際の第3位株主になる予定の韓国・SK Hynixにも見込み違いの影響である。

◇キオクシア、上場延期へ、米のファーウェイ規制影響 (9月27日付け 日経 電子版 14:09)
→半導体メモリ大手のキオクシアホールディングス(HD、旧東芝メモリホールディングス)は10月6日に予定していた東京証券取引所への上場を延期する方針を固めた旨。大口取引先である中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)に対する米政府の取引規制で先行きへの不透明感が高まっているため、上場の時期を慎重に検討する旨。米中摩擦の影響が、日本企業の資金調達など経営戦略にも及び始めた旨。

◇Japanese chipmaker Kioxia shelves $3.2 billion IPO amid U.S.-China tensions-Kioxia postpones $3.2B IPO as trade war rages (9月28日付け Reuters)
→Kioxia(前東芝メモリ)が、中国と米国の間の貿易摩擦の高まりから来週予定していた$3.2 billion initial public offering(IPO)を無期限延期の旨。Kioxiaは、投資家から実際の関心を得ていたとしている旨。

◇SK Hynix's bid for chip alliance hits snag on Kioxia's stalled IPO-Kioxia's postponed IPO stalls SK Hynix's plans-Chipmaker working on borrowed time against resurgent Chinese competitors (10月1日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Kioxia HoldingsのIPOが進んでいれば、SK HynixはBain Capitalおよび東芝に次いでKioxiaにおける第3位の株主になる位置づけにあった旨。

◇「メモリ2位連合」足踏み、韓国SK、キオクシア上場延期で、14.96%出資の時期遠のく (10月1日付け 日経)
→半導体メモリ世界2位の韓国SKハイニックスの連合構想が足踏みしている旨。同業のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)が10月上場を延期したため。SKはキオクシア上場後に同社株14.96%を取得する予定。出資の時期は見通せないが、猛追する中国勢をかわすため、NANDに強いキオクシアへの出資に活路を求める旨。

Huaweiの中国の中での立場固めである。

◇Sanctions-hit Huawei ramps up investment in Chinese tech sector-Huawei invests in Chinese tech firms (9月28日付け Reuters)
→世界最大のテレコム装置メーカー、Huawei Technologiesが、米国からの圧力に直面してsupply chainを強化、中国の半導体会社などハイテクビジネスにおけるstakesを築き上げの旨。

IntelおよびAMDは、米国政府からHuaweiへの販売のライセンスを一部受けたとされているが、Micronはいまだのもようである。

◇Micron yet to regain license to sell to Huawei, pressuring sales-Micron execs: Company not licensed to sell to Huawei; sales to drop (9月29日付け Reuters)
→Micron Technology社のexecutives、火曜29日発。同社は、中国のHuawei Technologies Co Ltdへのメモリ半導体の販売に必要な新しいlicensesをまだ得ておらず、向こう2四半期にわたって売上げが切られる旨。

Huaweiは何でもさらけ出す、と同社イタリア子会社の声である。

◇Huawei ready to reveal inner workings to show no security threat-Huawei says yes to close inspection of network gear (9月30日付け Reuters)
→Huawei Technologiesのイタリアの子会社のpresident、Luigi De Vecchis氏。同社は、networkingシステム、特に5Gワイヤレスnetworksの外部の調査を進んで受ける旨。「我々は内部をオープンにして、この政治的圧力のすべてに対応するよう解剖される用意がある。」と同氏。

HuaweiとIntelが、次世代サーバの打ち上げを行っている。

◇Huawei, Intel Jointly Launch the Next-Gen FusionServer Pro V6 Intelligent Server -Intel unveils a server model in partnership with Huawei (9月30日付け The Fast Mode)
→Huawei TechnologiesおよびIntelが、FusionServer Pro V6 Intelligent Serverをお披露目、heterogeneous computing向け。該サーバには、4個のGen3 Xeon Scalableプロセッサ、48個のDDR4 dual in-line memory modules(DIMMs)および11個のPCIe slots、そしてartificial intelligence(AI) trainingおよび推論モジュールcapabilitiesがある旨。

英国政府関係のレポートが、Huawei技術の欠陥が見い出されたとしている。

◇UK found flaw of 'national significance' in Huawei tech, says report-Report: Significant flaw found in Huawei technology-Huawei criticised over security and software engineering in report from security evaluation center. (10月1日付け ZDNet)
→Huaweiのソフトウェア技術およびcybersecurity practicesが、英国政府が設立したHuawei Cyber Security Evaluation Centre(HCSEC)からの年間レポートで批判されている旨。

ソニーとキオクシアも、Huaweiとの取引再開申請を米国政府に提出しているとのこと。

◇ソニーとキオクシア、ファーウェイ取引許可を米に申請 (10月4日付け 日経 電子版 02:00)
→米商務省が実質的に禁止した中国華為技術(ファーウェイ)向けの半導体製品の供給を巡り、ソニーと半導体メモリ大手のキオクシア(旧東芝メモリ)が3日までに取引再開を申請したことが分かった旨。両社は次世代通信規格「5G」機器など米中が競うハイテク製品向けに部品を納めている旨。米政府が申請を認めなければ業績下振れの要因にもなりかねない旨。

このような情勢のもと、中国は半導体自給自足に向けて全力をあげている、と次のあらわし方である。

◇China eyeing self-supply more on 5G base station and server chips-Sources: China wants to make more 5G, server chips (9月28日付け DIGITIMES)
→業界筋発。中国が、5G基地局およびサーバ用半導体ソリューションに重点を置いて半導体自給自足を高めるようアクセル全開で動いており、具体的な成果が早くて2021年後半に見られる様相の旨。

台湾の難しい位置づけの評論が繰り返されている。

◇In U.S.-China Tech Feud, Taiwan Feels Heat From Both Sides-Taiwan is caught in between the US-China tussle (10月1日付け The New York Times)
→台湾最大の半導体メーカー(TSMC)が、米中両方に切望のパートナーであるが、国家主義増大が中立の立場の維持をより困難にしている旨。

Huawei→SMICインパクトの広がり&深まりに当分目が離せないところである。


コロナ禍のもと、収まらない状況推移に対して当面の警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□9月28日(月)

シリコンバレーの依然厳しい状況が、引き続きあらわされている。

◇Coronavirus roundup (update): Pandemic keeps hammering local hotels | County Covid response leader departs (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→*ホテルはCovid-19 pandemicのためにCalifornia中で悪い状況、しかしBay Areaでは一層悪い、とhospitality業界アナリスト。
 *Santa Clara CountyのDeputy ExecutiveがSan Franciscoでの新しい仕事へ、人種平等への彼の取り組みがCovid-19 pandemicへの該countyへの反応を如何につくったか。

□9月29日(火)

◇Coronavirus roundup (updated): Palo Alto district wants to reopen schools - parents, teachers say no (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Californiaの健康当局トップが、Covid感染の10月における増加の可能性を警告の旨。どうしてもパーティとなれば、来るholidaysを安全に祝うためにBay Area健康officersによるガイドがある旨。

米国株式市場は、以下の通り上げ下げを経て、トランプ大統領感染の週末に至っている。

◇NYダウ3日続伸、410ドル高、追加経済対策に期待 (日経 電子版 05:36)
→28日の米株式相場は3日続伸。ダウ工業株30種平均は前週末比410ドル10セント(1.5%)高の2万7584ドル06セントで終えた旨。追加の米経済対策への期待や、アジアと欧州の株高を背景に景気敏感株を中心に買いが優勢となった旨。

□9月30日(水)

◇Two airlines to resume San Jose-Hawaii service Nov. 1 (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Hawaiiに到着する航空機乗客の検疫規則が緩和、HawaiianおよびAlaska Airlinesともに、11月1日にSan Jose to Honolulu直行便を再開する旨。

◇Coronavirus roundup (updated): UCLA report says California economic recovery could take up to 2 years (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→*Californiaの経済回復にはしばらくかかる可能性
 *San Joseが中小事業へのlifelineを延長
 *Palo Alto学校区が、教師&親たちの懸念にも拘らず、生徒たちを戻す計画に承認

◇NYダウ反落131ドル安、コロナ感染の再拡大を警戒 (日経 電子版 05:53)
→29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落、前日比131ドル40セント(0.5%)安の2万7452ドル66セントで終えた旨。欧米で新型コロナウイルスの感染が広がる中、金融株やエネルギー株が売られて相場を押し下げた旨。ダウ平均は前日までの3営業日で820ドル上昇した旨。29日夜に米大統領選候補の討論会を控え、積極的な買いは入りにくかった旨。

□10月1日(木)

◇Coronavirus roundup: Santa Clara County stays red while business, faith groups push for looser restrictions again (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Santa Clara Countyは、orange tierに上がっていくには感染数およびテスト陽性率をまだ改善できていない旨。

ニューヨークも不安含みの状況である。

◇NY市レストラン、半年ぶり「店内」解禁、感染増懸念も (日経 電子版 07:37)
→ニューヨーク市内のレストランで30日、新型コロナウイルスの感染を防ぐため禁じられていた屋内飲食が解禁された旨。3月半ばの外出禁止令から約半年ぶりとなる旨。市民は久々の屋内での飲食を楽しんだが、感染が再び広がることへの懸念も根強い旨。

◇NYダウ反発、329ドル高、追加経済対策の合意期待で (日経 電子版 06:24)
→30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比329ドル04セント(1.2%)高の2万7781ドル70セントで終えた旨。追加経済対策で米与野党が近く合意するとの観測が強まり、買いを誘った旨。主力ハイテク株に加え、業績が景気に左右されやすい金融や素材など景気敏感株にも幅広く買いが入った旨。

□10月2日(金)

◇Coronavirus roundup: Downtown SJ restaurants pin hopes on expanded fall dining deals (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→San Joseダウンタウンのレストランが、今秋の売上げを高めるためにDine Downtown promotional改訂プログラムに期待の旨。

◇NYダウ続伸、35ドル高、追加経済対策の協議見極めで (日経 電子版 05:38)
→1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に続伸、前日比35ドル20セント(0.1%)高の2万7816ドル90セントで終えた旨。米国の追加経済対策の合意期待で朝方に260ドル近く上昇したが、協議を見極めたい雰囲気が次第に強まり、午後は下げに転じる場面もあった旨。業績が景気の影響を受けにくい主力ハイテク株には買いが続き、相場を支えた旨。

トランプ大統領の感染がインパクトとして加わった週末である。

◇トランプ大統領夫妻、コロナ感染、「直ちに自主隔離」 (日経 電子版 14:42)
→トランプ米大統領は2日、ツイッターで新型コロナウイルスに感染したと明らかにした旨。大統領の主治医は1日付で公表したメモで、同日夜に感染を確認したと説明した旨。新型コロナへの危機管理の不備が露呈し、11月3日に迫った大統領選に向けた選挙活動にも影響が及ぶのは確実。
トランプ氏はメラニア大統領夫人も感染したとツイッター上で説明し、「ともにこれを乗り越える!」と書き込んだ旨。

◇Trump has the coronavirus - here’s what happens next-Washington preps after president's positive COVID-19 test (CNBC)
→Donald Trump大統領とMelania Trump夫人がCOVID-19テストで陽性判定。この展開から生じ得るシナリオのいくつかについて。

□10月3日(土)

◇NYダウ反落、134ドル安、トランプ氏コロナ感染で (日経 電子版 07:57)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比134ドル(0.5%)安の2万7682ドルで取引を終えた旨。トランプ米大統領の新型コロナウイルス感染で大統領選の先行きに不透明感が強まり、取引開始直後に400ドル超下げた旨。午後にかけて追加経済対策の合意への期待が高まり持ち直した旨。


≪市場実態PickUp≫

【Intel関連】

Intelが、Omni-Path Architecture高速interconnect技術による事業を分離している。

◇Intel Spins Out Omni-Path Interconnect Business Into Stand-Alone Company-Intel makes Omni-Path interconnect unit a spinoff (9月30日付け CRN (US))
→IntelのOmni-Path Architecture高速interconnect技術が、Intelからスピンアウトされたstand-alone会社の下で第2の人生を得ており、venture capitalで$20 millionを調達、パートナーにふたたび今やNvidia所有のMellanoxのInfiniBand代替を与えている旨。

先のArchitecture Dayにて披露されたIntelのロードマップについて、さらに内容があらわされている。

◇Intel's Roadmap: A Closer Look at Process Technologies and Production Plans (10月1日付け EE Times)
→clientおよびサーバCPUsの抑え気味の改善に合わせて新しいプロセス技術の遅れで、Intelが青ざめて見える旨。しかし、大会社である風格があって、Intelのロードマップが市場シェアおよびmind shareを取り戻す道筋を披露の旨。以下の内容項目:
In search of new Intel Process technologies: 10nm evolution
 10nm SuperFin platform: for Tiger Lake, Xe-LP GPU, and Elkhart Lake SoC
 Process technologies: 10nm Enhanced SuperFin
 Process technologies: 7nm
 Chiplet designs change SoC methodology, devtime, and costs

IntelのArizona拠点拡張最先端fabが、ついに稼働している。

◇Intel's $7B expansion in Arizona finally operational, making it the chipmaker's largest U.S. factory              (10月1日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intel社の待望、完成に$7 billionのFab 42がついに稼働、数年かかっている該Chandler拠点は今や世界最先端半導体工場である旨。

Intelが、米国国防総省を支援するchiplet技術を軸とする先端実装開発の契約第2フェーズを獲得している。

◇Intel Wins US Government Advanced Packaging Project (10月2日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→米国国防総省が、IntelのState-of-the-Art Heterogeneous Integration Prototype(SHIP)プログラムの第2フェーズ、Intel Federal LLCを認めた旨。該SHIPプログラムにより米国政府は、ArizonaおよびOregonでのIntelの最先端半導体実装capabilitiesにアクセス、Intelのtens of billions of dollarsもの年間R&Dおよび製造投資によりつくり出されるcapabilitiesを利用できる旨。

◇Intel wins second phase of contract to help Pentagon develop chips-Intel gets more Pentagon funding to develop chiplets (10月2日付け Reuters)
→Naval Surface Warfare CenterのCrane Divisionが、先端IC実装の1側面、chiplet技術の開発継続に向けてIntelに対するfollow-on契約を認めた旨。VLSI ResearchのCEO、Dan Hutcheson氏は、Intelがchipletsに取り組んでいる唯一の米国半導体会社、と特に言及の旨。

【Samsung関連】

米中摩擦の渦中、注目されるSamsungの業績であるが、力強い第三四半期の見方となっている。

◇Samsung tipped to log strong Q3 earnings on solid chip biz, mobile sales recovery (9月28日付け Yonhap News Agency)
→17のbrokerage housesからのデータをまとめるYonhap News Agencyのfinancial news部門、Yonhap Infomax発。Samsungの7-9月販売高見通しが63.95 trillion won($54.5 billion)、前年同期比3.1%増、一方、operating profitは同33.7%増の10.4 trillion wonと急増の評価の旨。

裏づけるように、スマホでのHuaweiから首位を取り返して差を広げる状況が以下の通りである。

◇Samsung tops global smartphone market in Aug.: report (9月29日付け Yonhap News Agency)
→業界tracker、Counterpoint Research発。Samsung Electronics Co.が、8月のスマートフォン・トップベンダーに。pandemicの渦中、中国・Huawei Technologies Co.との差を広げている旨。

◇サムスン、中国勢の逆風尻目にスマホで漁夫の利 (10月2日付け 日経 電子版 05:33)
→韓国サムスン電子のスマートフォン部門が横綱相撲を演じている旨。1台20万円のハイエンドから1万円台の廉価モデルまでをそろえて幅広い地域で顧客を獲得する旨。同社も感染症の影響は避けられないものの、米中摩擦や中印紛争で打撃を受ける中国勢と比べると相対的に優位な立場にある旨。逆境下でも市場ニーズに合わせた製品を展開する正攻法でシェア拡大策を進める旨。

【東芝関係】

現下の先行き懸念から、東芝が、システムLSI半導体事業の撤退を決めている。収益性が見込めない判断となっている。

◇Toshiba plans to exit money-losing LSI chip business-Toshiba to discontinue unprofitable LSI chip business (9月29日付け Reuters)
→東芝が、利益の出ないシステムLSI半導体事業の撤退を決定、770人の従業員に早期退職optionsを提示、$111.77 millionかかる動きの旨。他の製品の中では、該事業部門はトヨタ自動車向けに画像認識プロセッサを作っており、東芝は現状顧客向け販売およびサポートは継続する旨。

◇東芝、LSI新規開発撤退、米中摩擦・コロナで、770人を人員整理 (9月30日付け 日経)
→東芝は29日、システムLSIなどの新規開発から撤退すると発表、撤退に伴い、希望退職と東芝グループ内での配置転換で約770人を人員整理する旨。開発コストに見合うだけの収益性が見込めず、米中貿易摩擦や新型コロナウイルスによる影響で先行きが見通せないことから判断した旨。既存製品の販売や顧客サポートは続ける旨。

ポスト半導体としてデータサービスに主眼を置く今後の方向性である。

◇東芝、狙うデータカンパニー、ポスト半導体の本命−光るか東芝 データで再起動(上) (9月29日付け 日経 電子版 02:00)
→東芝の再起動が始まった旨。総合電機から「インフラサービスカンパニー」への脱皮を宣言したが、カギを握るのがデータサービス。あらゆるモノがネットでつながるIoTで日立製作所や独シーメンスが先行するなか、後発の東芝は消費者データと直接接点をもてるPOSレジシステムを軸に戦略を練る旨。かつて収益の牽引役だった半導体メモリのキオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)の上場が延期する難問が浮上するが、ポスト半導体の育成は急務。

【半導体M&A】

今年の半導体M&Aを一気に盛り立てたNvidiaによるArmの買収提案である。

◇Deals That Change The Chip Industry-Analysis: Arm-Nvidia deal will change the chip business -Nvidia-Arm is just the beginning; more acquisitions are on the horizon. (9月28日付け Semiconductor Engineering)
→NvidiaによるArmの$40 billion買収提案は半導体の世界に大きなインパクトをもつと見込まれるが、この取引の効果が完全に理解されるまでに何年かかかる旨。

市場の飽和感の中、M&Aの嵐が吹きまくった2015年の最高規模を、今年が上回る可能性も、との見方があらわされている。

◇Two Acquisitions Make 2020 Second-Highest Year for Semi M&As-After a slow start, Analog Devices's agreement to buy Maxim and Nvidia's deal to acquire ARM raise the total value of M&A deals this year to more than $63.0 billion. (9月29日付け IC Insights)

◇2020 second-highest year for semi M&A, says IC Insights-IC Insights: Chip M&A rises to $61.3B in 2020 (9月30日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。今年は半導体業界におけるmergers and acquisitions(M&A)取引について2番目の規模の年になってきており、大方はNvidiaによりArmの$40 billion買収合意およびAnalog DevicesによるMaxim Integrated Productsの$21 billion買収提案による旨。残るところ3ヶ月の今年は、2015年のM&A総計、$107.7 billionを上回る可能性の旨。

【メモリ関係評論】

セキュリティ問題対応によるメモリ設計の複雑化である。

◇Memory Only a Piece of the Security Puzzle-Security issues lead to more complex memory designs (9月27日付け EE Times)
→cybersecurityの警戒が次世代メモリ半導体設計に焼き固めされており、数年は続いていく流れの旨。「抜け穴すべてを経て閉めるには、中心に置いた超几帳面なIT personあるいは部門を実際に必要とする。」と、SSDおよびメモリベンダー、Virtiumのvice president of marketing、Scott Phillips氏。

在宅リモート勤務が焚きつけるメモリ需要の見方である。

◇Remote Work Spurs Desktop Performance Increases (9月29日付け EE Times)
→PCsが再びメモリ需要を引っ張るのか?それとも5G-enabledスマートフォンがremoted workersにとって直結の機器になるのか?workstationsには多くのお金が要るが、今後のall-purpose機器はスマートフォンかもしれない旨。

新分野、新常態の展開がもたらすメモリ市場へのインパクトである。

◇The Memory Market (9月30日付け EE Times)
→メモリICs市場はつねにdynamicであるが、edge computing, artificial intelligence(AI), 5Gおよび自動運転がすべて立ち上がって、メモリ技術需要が拡大とともに進化してきている旨。加えて継続するpandemicから仕事およびビジネスの世界で劇的な移行があり、メモリ業界にはいままでより多くの打開すべき課題がある旨。


≪グローバル雑学王−639≫

我が国が科学技術で今後の世界を引っ張っていくために次世代半導体材料、GaNに賭ける熱い取り組み、思いに

『次世代半導体素材GaNの挑戦−22世紀の世界を先導する日本の科学技術』
 (天野 浩 著:講談社+α新書 825-1 C) …2020年4月13日 第1刷発行

より触れてきたが、最終章に入っていくことになる。GaNが創り出す多彩な応用分野が2回にわたって紹介されていく前半である。光り、大電力そして高周波領域での優位性を遺憾なく発揮、電気自動車の軽量化、自動運転車、ハイブリッド電動航空機など、省エネルギーと地球温暖化ガス削減を実現し、IoTやIoEの社会で応用展開が期待されるGaNが語られている。


第五章 GaNが創る未来のかたち …前半

■高効率なGaNの特性
・私には、GaNによって省エネルギーと地球温暖化ガス削減を実現し、世の中の役に立ちたいという思い
 →GaNは、光るデバイスや大電力のパワーデバイス、高出力の高周波デバイスと、様々な分野で利用できる潜在能力の高い材料
・この章では、IoTやIoEの社会でGaNはどのような使い道があるのか、語る

■AI活用の実験シミュレーション
・高い品質の材料を作るプロセス技術や結晶成長技術の研究
 →異なる分野の先進技術を取り入れた、革新的な取り組み
  →「AIを活用したシミュレーションで効率的に行う」ことができるように」
・例えば条件の異なる数通りの実験データを取得
 →AI機能を組み込んだシミュレータに入力すれば、他の条件での実験結果を、シミュレーション上で導き出せる
・プロジェクション・マッピングの技術を応用
 →材料を作る装置の内部を透視しているかのように示す技術
 →AIを活用し、実験中の材料の状態をシミュレーション
 →結果を映像にして装置本体に投影
  →結晶成長中の炉内の状態をイメージしながら実験を行うことができるように

■需要拡大が確実な半導体とは
・再生可能エネルギーは、昼夜の差、日照条件、あるいは風の強弱により、出力が揺らぐエネルギー資源
 →安定した運用が求められる配電系統や送電系統に接続するため、まずはパワーコンディショナーが必要に
  →パワーデバイスによるインバーター(電力変換器)やコンバータを中心に、回路システムが構成されている
・この際、パワーデバイスには、高い電圧に耐え、大きな電流を流すことができ、さらに電力損失が小さいことが求められる
 →現在は主にシリコンのパワー半導体が用いられているが、ワイドバンドギャップ半導体を採用すれば、将来のエネルギーシステム全体の高効率化につながる
  →シリコンより高温で使うことができるため、放熱構造を小型化、軽量化することも期待できる
  →さらに、ファンを用いない設計にする可能性も
・GaNはじめワイドバンドギャップ半導体のパワーデバイス実用化に向けた精力的な研究開発が行われている

■直流給電システムで省エネを
・省エネルギーを実現させるには、高効率な給電システムも整備していかなくてはならない
・直流給電・配電のシステムは、機器の入力電圧に合わせて電圧変換を行う必要
 →電力が損失しにくいワイドバンドギャップ半導体のパワーデバイスが期待
 →直流の配電で課題となる機械式スイッチのアーク放電対策にも、ワイドバンドギャップ半導体のパワーデバイスが使われる可能性

■EV軽量化でGaNが果たす役割
・GaNを含むワイドバンドギャップ半導体は、具体的にどんなものに用いられていくか
 →まずは電気自動車(EV)
 →モーターを回すため、バッテリーから供給される直流電力を周波数可変の交流に変換するインバータが搭載
・いずれの方式のEVでも、求められる特性はインバータを含む駆動系の小型化・軽量化
 →ワイドバンドギャップ半導体の出番
 →電力が低損失で発熱が小さい。加えて比較的高温でも動作
 →空冷による軽量なモーターシステムを実現できる可能性
・ワイドバンドギャップ半導体のパワーデバイスは、モビリティ社会の省エネルギー化に貢献できる

■名大とトヨタが創るEVの姿
・技術革新によって各種部品の小型化が進む一方、その部品は、なるべく狭い空間にコンパクトに配置されるように
 →発熱の原因になるパワーデバイスには、デバイス自体の発熱が小さい(動作時の損失が低い)という特性が求められる
・GaNのデバイスを用いたEVの研究
 →名古屋大のトヨタ先端パワーエレクトロニクス寄附研究部門にて
 →GaNの優れた性質を可能な限り活かしたEV
・EVとして最大の課題は、車体重量の約2割を占めるバッテリーの軽量化
 →次世代の固体電池の実用化に期待するとともに、GaNトランジスタ(パワーデバイス)による電力の低損失化を目指す
 →高性能なGaNパワーデバイスは、EVを通して将来の物流分野の高効率化にも貢献できる

 ■高齢者のための無人自動運転車
・名古屋大のCOI(Center of Innovation)事業「人がつながる"移動"イノベーション拠点」
 →車を運転しない高齢者に向けたモビリティサービスの社会実装の取り組み「ゆっくり自動運転(R)」
 →時速20km以下という、ゆっくりした速度で走る無人の自動運転車での移動サービスの提供
 →速度を下げることと、公道でも走行地域を限定
・将来のモビリティサービス
 →社会実装を支えるものとして、ワイドバンドギャップ半導体のパワーデバイスが重要

■航空機はどのように進化するのか
・航空機の世界では、電動モーターによるトルクアシスト技術の研究が続いている
 →ジェットエンジンのガスタービンを、電動モーターの回転力を補助動力として加えて回す技術
・飛行機は、離陸から上昇し、水平飛行高度に移るまでに大量の燃料を消費
 →それを改善するために、離陸時に電動モーターを使って加速の補助をする仕組みが検討されている
  …「トルクアシスト」
 →消費燃料を抑えるハイブリッド電動航空機
 →2030年ごろには運用の検討が始まるのではないか
・実現に向けては、トルクアシスト用に追加されるモーターとインバータシステムが軽量であること
 →インバータにおける高速のスイッチング動作が有効
 →GaNのパワーデバイスが採用されることに

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