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年初早々の激動&注目:Samsung業績、続アップル衝撃、インテル技術

年初早々のこと、半導体業界には米中摩擦の渦中にて相次ぐ激動そして注目である。現下の史上最高、熱い活況の半導体販売高を牽引するメモリ半導体を引っ張るSamsungの2018年10-12月四半期業績が、DRAM価格の低下から2年ぶり減益となり市場にショックを与えている。また、アップルは新型iPhoneについて10%程度の減産が明らかにされて、年明けすぐからの衝撃が続いている。年初恒例のConsumer Electronics Show(CES) 2019(1月8日〜11日:Las Vegas)では、CPU供給不足そして先端10-nm品開発後れへの対応が問われているインテルが当面の技術対応を打ち上げて注目を引いている。

≪市場景観への大きな揺さぶり≫

予想されていたとは言え、売上高、営業利益、それぞれ前年同期比11%減、29%減と大きく下回るSamsungの2018年10〜12月期連結決算の速報である。
SamsungグループがGDPの約2割を占めるという韓国からは、敏感な反応があらわされている。

◇サムスン2年ぶり減益、DRAM下落で、10〜12月期 (1月8日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が8日発表した2018年10〜12月期連結決算の速報値。売上高が前年同期比11%減の59兆ウォン、営業利益が同29%減10兆8千億ウォン(約1兆500億円)。同社の四半期ベースの営業利益が前年同期を下回るのは、2016年7〜9月期以来、約2年ぶり。稼ぎ頭で、サーバなどのデータを一時保存するDRAMの価格が下落に転じたことが響いた旨。2018年10〜12月期の純利益や事業部門別収益は、1月下旬に発表予定の確報値で公表する旨。

◇「韓国半導体ショック」はるかに深刻−サムスン電子第4四半期「アーニングショック」 (1月8日付け もっと!コリア)
→サムスン電子の昨年第4四半期の営業利益は予想を大きく下回る10兆8000億ウォンにとどまり、「アーニングショック」を記録した旨。米国と中国の貿易紛争の激化と世界的な景気低迷による需要減少で、メモリ半導体「超好況」がくずれ、スマートフォンさえも収益性が悪化して期待以下の成績表を提出した旨。輸出の支えだったメモリ半導体の需要鈍化は今年の上半期中まで続く見通しで、韓国経済にかなりの負担になる見通し。

◇Samsung Warns of Weak Chip Demand (1月9日付け EE Times)
→韓国・Samsung Electronicsが、第四四半期の利益見通しを大きく削減、弱含みの半導体需要を警告の旨。

◇サムスン、2本柱揺らぐ、10〜12月営業減益、半導体・スマホ不調、AI期待も収益化まだ先 (1月9日付け 日経)
→半導体メモリとスマートフォンを柱とする韓国サムスン電子の業績が揺らいでいる旨。8日発表した2018年10〜12月期の営業利益は約2年ぶりに減益。AI(人工知能)事業などに次の成長を求めるが、収益貢献はまだ先。
2019年は半導体ラインの一部稼働停止や電池の開発体制縮小といったコスト削減策でしのぐ我慢の年になりそうな旨。

メモリ半導体の高値で半導体業界の売上高トップベンダーに躍り出たSamsungであるが、DRAMおよびNANDフラッシュともに引き続く値下がりの現況が以下の通りである。

◇DRAM、3カ月連続下落、大口価格、サーバ向け需要停滞 (1月8日付け 日経)
→データの一時保存に使う半導体メモリ、DRAMの大口需要家向け価格が3カ月連続で下落。指標となるDDR4型の4ギガビット品の2018年12月の大口価格は1個3.75ドル前後。前月と比べ約3%安い旨。DDR3型の4ギガビット品も前月比3%下落し同3.4ドル前後で決まった旨。DRAMはサーバ向け需要の停滞などを受け、供給過剰感が出ている旨。足元では米インテル製CPU不足によるパソコン向け需要の減少も懸念されている旨。

◇NAND型下落続く、需要停滞、荷余り感一段と (1月11日付け 日経)
→データの長期保存に使うNAND型フラッシュメモリの大口需要家向け価格が一段と下落、需要の停滞を受け、荷余り感が強まっている旨。市場では今後も値下がりが続くとの見通しが多く、メモリメーカーの収益悪化要因となりそうな旨。指標となるTLC(トリプル・レベル・セル)の128ギガビット品は、12月の大口価格が1個2.8ドル前後、11月と比べ約7%安い旨。大口価格は2018年2月から下落が続いている旨。

年明け早々、2002年以来ぶりとなるAppleの販売高予測の下方修正が行われて、世界市場に大きなインパクトを与えたばかりであるが、裏付ける追い打ちとして、昨秋発売の新型iPhoneの10%程度の減産が打ち出されている。

◇アップル不振、企業に打撃、新型iPhone減産へ (1月9日付け 日経 電子版)
→米アップルはスマートフォン「iPhone」の新型3機種の生産台数を1〜3月に当初計画から10%程度減らす。その余波が電子部品メーカーなど取引先企業に広がってきた旨。日本企業を含む関連銘柄の株価は昨年10月から軒並み下落し、工作機械受注にも影を落とす旨。世界最大の中国のスマホ市場での販売減が、iPhoneの売上高だけで年間約18兆円に上る「アップル経済圏」を揺るがしている旨。

◇iPhone3機種生産、10%下方修正、アップル、中国で苦戦 (1月9日付け 日経 電子版)
→米アップルが2018年秋に発売した新型3機種のスマートフォン「iPhone」の生産台数を下方修正することが分かった旨。2019年1〜3月期の生産量を当初計画から10%程度減らす見通しで、部品などを担う各メーカーに通達した旨。重要市場の中国を中心に販売が低迷しているため。生産減は製造拠点でもある中国経済に与える影響も大きい旨。

iPhoneのsupply chainで大きな比率を占める台湾の政府からは、クレーム&警告のコメントがあらわされている。

◇Lackluster iPhone sales seen to affect Taiwan export, economy (1月11日付け DIGITIMES)
→めずらしい動き、台湾の経済企画トップが、新型iPhonesの精彩を欠く売れ行きは1つに該機器のイノベーションの不足にあるとし、2019年における台湾のsupply chainパートナーの売上げに直接インパクトを与える可能性の旨。台湾・National Development Council(NDC)が、10日の閣議にて2019年の変化する経済条件への対策報告でこのように述べている旨。

以上の激動とともに注目されるのが、Consumer Electronics Show(CES) 2019(1月8日〜11日:Las Vegas)におけるインテルからの最新技術プレゼンであり、以下業界各紙があらわす概要である。

◇Intel reveals its 10nm Ice Lake Core and stacked Lakefield CPUs, and 'Project Athena' for laptops (1月7日付け PCWorld)

◇Intel Tips 'Ice Lake' 10nm PC Processor (1月8日付け EE Times)
→Intelが、Consumer Electronics Showにて以下の発表:
 *同社初のvolume 10-nm PCプロセッサ、Ice Lake
 *単一system on a chip(SOC)に異なる型のCPUコアを組み合わせる新しいhybrid CPUアーキテクチャー
 *推論ベースAI応用を狙った新しい半導体の投入
 *5G基地局内でのedge computing duties実行に向けて特に設計された新しい半導体
 *同社第9世代iCoreプロセッサファミリーの6つの新メンバー
 *10 Gbps cable modemを開発するComcastとのコラボ
 *PC市場を拡げる新しい活動、Project Athena

◇CES 2019: Intel unveils 10nm PC products for AI and 5G-Intel's CES announcements included a new mobile PC platform using its Ice Lake processor; PC innovation program Project Athena; hybrid CPU client platform Lakefield; a neural network processor for training called Spring Crest; and a SoC code-named Snow Ridge-Intel debuts 10nm PC chips for 5G, AI at CES (1月8日付け ZDNet)
→Intelが月曜7日、10-nmプロセスで作られたXeon Scalable "Ice Lake"サーバプロセッサを披露、こんどの14-nm "Cooper Lake"プロセッサとコンパチ、来年出荷の旨。同社はまた、Project Athenaの一環、"Lakefield" PCプラットフォームおよび5G cellular通信およびartificial intelligence(AI)応用に向けたAtomおよびCoreプロセッサの1つのパッケージにおけるstackingを投入の旨。

◇Intel showcases technology for next era of computing at CES 2019 (1月8日付け DIGITIMES)
→Intelがpre-CES showにて、artificial intelligence(AI), 5Gおよび自動運転など成長分野多角化に向けたPCsおよび新デバイスに及ぶいくつかの発表を行った旨。以下の項目:
 New 10nm Platforms for Mobile PCs
 Project Athena
 Expanding 9th Gen Intel Core Processor Family
 Cloud, Network and Edge

◇インテル、10ナノCPU量産にめど、計画の2年遅れ (1月9日付け 日経)
→米インテルは7日、回路線幅を10-nmに狭めて処理性能を高めたCPUを2019年末までに発売すると発表、これまで量産体制を確立するのにてこずり計画の先送りを続けてきたが、2年遅れで量産のめどがついた旨。ただ業界ではすでに7-nm品のCPUもあり、競争力を維持できるかは課題も残る旨。
家電・技術見本市「CES」に先立つ記者発表で、グレゴリー・ブライアント(Gregory Bryant)上級副社長がノートパソコン向けのCPU「アイスレイク」を披露した旨。半導体は一般的に微細化が進むほど性能が高まり、新CPUでは人工知能(AI)を用いたデータ解析や画像処理性能などが向上する旨。

半導体業界の最先端技術をずっと引っ張ってきているインテルだけに、TSMCの7-nmとの実質的な相違が気になるところ。また、10-nm品発売も本年末という後れも、かつてISSCCで最先端技術を打ち上げて追っかけすぐ製品化が見られたころからは、大きな乖離を感じるところがある。一律にはいかなくなった現下の最先端の進む先に、いろいろ考えながらの注目である。

年初早々の激動そして混沌の様相で、半導体業界&市場の景観への大きな揺さぶりを感じるとともに、引き続きいっそうの注目&見極めを要するところと思う。


≪市場実態PickUp≫

【Consumer Electronics Show(CES)】

新分野の台頭で半導体業界のみならず景観が大きく変わったと感じるConsumer Electronics Show(CES) 2019(1月8日〜11日:Las Vegas)であるが、まずは米中摩擦で筆頭格のキーワードともなっている次世代の通信規格、5Gについて、今年、2019年は5G元年、という打ち上げが目につく以下の内容である。ただ、必要条件が相そろって素早い時間軸で広まるかどうか、疑問視の見解も半々で目に入ってくるところがある。

◇Qualcomm: Expect over 30 5G devices in 2019, ‘the year of 5G’-More than 30 5G devices coming this year, Qualcomm says (1月7日付け VentureBeat)
→QualcommのCESでの発表。今年30以上の5Gデバイスが市場投入され、2019年を"the year of 5G"と呼ぶ旨。同社は、これまでのところ該分野での5G装置に向けた契約の大方を獲得、としている旨。

◇5G・AI、実用化競争へ、CESが示す未来と課題 (1月10日付け 日経 電子版)
→10日から後半戦に入る米ラスベガスで開催中の世界最大の家電・技術見本市「CES」。会場は次世代の通信規格「5G」や人工知能(AI)の展示で埋まり、こうした技術が実用化の段階を迎えたことを印象づけた旨。技術は社会を大きく変える可能性を秘める一方、普及に向けた課題も浮かび上がっている旨。

◇5Gが変える未来、米見本市CES、構造転換促す、ARで脳手術、遠隔「頭脳」のロボ (1月11日付け 日経)
→米ラスベガスで開催中の家電・技術見本市、CESでは、高速通信規格「5G」が2019年の主役となった旨。現在の通信の100倍もの速度でデータをやりとりできる5Gは今年から実用化し、つながる車への活用などデータにまつわるビジネスに大きな商機を生み出す旨。産業構造を大きく変える可能性を秘める一方で、情報インフラを巡る米中の覇権争いが本格化する懸念もある旨。「5G元年だ」。韓国サムスン電子のキム・ヒョンソク家電部門社長は記者会見でこう宣言した。同社を含め、今年は5Gスマートフォンが世界で30種以上発売される見通し。米国や韓国で商用サービスが始まるからの旨。

次に、自動運転であるが、テレビのCESの報道でも自動車メーカーの展示紹介がメインとなっている。派手、分かりやすさからくると思うが、自動運転車のアプローチの現時点の実態がよく垣間見える以下の内容と感じている。

◇Nvidia, Mobileye Scheme ‘Level 2+’ (1月8日付け EE Times)
→今週のConsumer Electronics Showでは自動車業界の新しい標準が示されており、autonomous vehicle(AV)技術サプライヤが、Level 4/Level 5 driverlessの将来に向かってアクセルを踏むのではなく、Level 2 driver-assistance車に戻って、逆ギアに移行している旨。full autonomyを可能にするよう競っているハイテク大手2社、NvidiaとIntel/Mobileyeは、ほぼ同じpitchをLas Vegasに投じており、“何年も到来を待つのではなく、今現在の人々の生活を救っていこう”としている旨。advanced driver-assistance systems(ADAS) vehiclesに向けて開発しているrobocar技術を滴り落として、それに向け提案している旨。

◇7 Challenges Faced by Self-Driving Cars (1月8日付け EE Times India)
→CES 2019が今週開幕、車載技術の開発者でLas Vegasの舞台は混雑、それぞれのself-driving carの夢を生かそうと押しのけ合っている旨。以下の課題7項目:
 1. Can We Get Past Road Testing?
 2. ‘SAE Levels of Automation’ Can Lose Its Relevance
 3. Needs Independent Checks and Balances
 4. Let'5. Tech magic bullet on Horizon?
 5. Tech magic bullet on Horizon?
 6. Collaborating or Competing?
 7. Regulations, Anyone?

◇Is Robo-Pizza the Next Big Thing? (1月9日付け EE Times)
→今年のConsumer Electronics Showが指し示すもの、その自動車業界の要は明らかであり、自動運転車のまずは品物の配達、次にはrobo-taxiによる人々の移動である旨。Fordの以下の例:
 ・self-driving配達van…CESで展示
 ・Ford-Dominoのピザ配達試作車


上述の通り、CESにてインテルが当面の技術対応プレゼンを行なって改めて注目するところであるが、インテルの長年のライバルであるAdvanced Micro Devices(AMD)は、インテルに先行する色合いの7-nm製品を以下の通り、同社President and CEO、Lisa Su氏が打ち上げている。7-nm製造はTSMCがファウンドリー対応しており、最先端でのインテル対TSMCの立ち位置の実態確認をはたまた要するところでもある。

◇AMD shows off 7nm next-gen chips at CES, aims at Intel and Nvidia (1月9日付け Reuters)

◇AMD teases third-generation Ryzen desktop processors (1月9日付け VentureBeat)

◇AMD Takes Center Stage at CES-AMD's Su talks Ryzen chips, 7nm at CES (1月10日付け EE Times)
→Advanced Micro Devices(AMD)のPresident and CEO、Lisa Su氏、CES 2019(Las Vegas)での基調講演。新しいRadeon VII graphics processing unit(GPU)が2月に手に入り、第2世代Ryzenモバイルプロセッサが3月末までにgamingおよびultrathin laptopsであらわれるとし、そして、次期第3世代Ryzen desktopプロセッサおよび第2世代EPYCサーバ・プロセッサのいくらか詳細を披露、ともに7-nmプロセスでの製造の旨。
「AMDがIntelからリーダーシップの役割を奪うのはまったく劇的。」と、Tirias Researchのprincipalアナリスト、Kevin Krewell氏。

◇AMD backend orders for new 7nm chips split between 3 firms-AMD said to divide assembly orders for its 7nm chips among 3 firms (1月11日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCはAdvanced Micro Devices(AMD)が設計した新しい7-nm半導体のすべてをファウンドリー製造しているが、該半導体に向けたbackendサービスは他のIC組立&テストcontractorsの2社、Siliconware Precision Industries(SPIL)およびTongfu Microelectronics(TFME)と分けている旨。TSMCはAMDのデータセンターCPUsに同社chip-on-wafer-on-substrate(CoWoS)実装技術を用いている一方、SPILおよびTFMEはdesktop PCsおよびnotebook computers用の7-nm半導体にflip-chip実装を適用、と特に言及の旨。

【SEMI ISS 2019】

これも年初恒例、SEMI Industry Strategy Symposium(ISS)(2019年1月6-9日:HALF MOON BAY, Calif.)について、まずはアナリスト・プレゼンからGartnerの2018年半導体市場データ&ベンダーランキングである。トップ10ベンダーに我が国の顔ぶれが見られない、これも実態である。

◇Semis Hope for Soft Landing-Chip sales to slow, maybe contract in 2019-Gartner: Slower growth seen for chips in 2019 (1月8日付け EE Times)
→SEMIのannual Industry Strategy Symposium(2019年1月6-9日:HALF MOON BAY, Calif.)初日、アナリスト・プレゼンにて。Gartnerの評価では、昨年、2018年の世界半導体市場売上げが、2017年から13.4%増の$476.7 billion。2019年売上げは2.6%増、そして2020年半導体販売高は8.1%増と予測の旨。

◇Gartner Says Worldwide Semiconductor Revenue Grew 13.4 Percent in 2018; Increase Driven by Memory Market (1月7日付け Gartner)
→2018年世界半導体売上げ・トップ10ベンダー(金額:USM$):

20182017ベンダー2018201820172017-2018
順位順位売上シェア(%)売上伸び(%)
11Samsung Electronics
75,854
15.9
59,875
26.7
22Intel
65,862
13.8
58,725
12.2
33SK hynix
36,433
7.6
26,370
38.2
44Micron Technology
30,641
6.4
22,895
33.8
56Broadcom
16,544
3.5
15,405
7.4
65Qualcomm
15,380
3.2
16,099
-4.5
77Texas Instruments
14,767
3.1
13,506
9.3
89Western Digital
9,321
2.0
9,159
1.8
911ST Microelectronics
9,276
1.9
8,031
15.5
1010NXP Semiconductors
9,010
1.9
8,750
3.0
Top-10
283,088
79.3
238,815
18.5
Others
193,605
20.7
181,578
6.6
(outside top 10)
Total Market
476,693
100.0
420,393
13.4

  [Source: Gartner (January 2019)]

◇Semi market worth $476bn-Worldwide semiconductor revenue totalled $476.7 billion in 2018,a 13.4% increase from 2017, says Gartner. (1月7日付け Electronics Weekly (UK))

◇Chip Sector Sees Slowdown Ahead-Chip sales to slow, maybe contract in 2019 (1月9日付け EE Times India)
→VLSI Researchの予測。今年の半導体売上げは1%減、2020年には7%増と回復。

次に、若い人材を如何に半導体業界に引きつけるか、が議論され支援の輪が求められている。

◇STEM Effort Seeks Growth-Semi trade group calls for volunteers, sponsors (1月9日付け EE Times)
→SEMIのannual Industry Strategy Symposium(2019年1月6-9日:HALF MOON BAY, Calif.)にて、SEMIのchief executive、Ajit Manocha氏。若い人々を半導体業界に引きつける活動1年の進展を報告、スポンサー、mentorsなどボランティアの支援が必要の旨。

今回の全体テーマが次のようにあらわれている。

◇SEMI ISS 2019: Enabling the next industrial revolution (1月9日付け ELECTROIQ)
→今週開催のSEMI Industry Strategy Symposium(ISS)(2019年1月6-9日:HALF MOON BAY, Calif.)のテーマは、“Golden Age of Semiconductor: Enabling the Next Industrial Revolution”。このC-level executivesの会議では、グローバルelectronics製造業界の年初の包括的な概況が得られる旨。

今後に向けた広範な連携ということで、SEMIと欧州・Imecによる技術ロードマップおよび国際標準の推進を図る動きである。

◇SEMI, imec to drive industry roadmap alignment and innovation in healthcare, transportation and IoT (1月8日付け ELECTROIQ)
→ISS 2019(1月6-9日:HALF MOON BAY, Calif.)で発表されたMemorandum of Understanding(MoU)。SEMIとimecが、主要業界プレイヤーを一緒にしてヘルスケア, 車載および半導体製造にわたる新しいcapabilitiesを可能にするInternet of Things(IoT), artificial intelligence(AI)およびmachine learningなど最先端技術の推進を図っていく旨。該連携は、SEMIとimecのメンバー&パートナーに向けてビジネス改善を図る高速化も狙っている旨。

◇SEMI and Imec hook up for tech road maps-SEMI and Imec are joining forces to drive innovation and deepen industry alignment on technology roadmaps and international standards-SEMI, imec partner on tech roadmaps and standards (1月9日付け Electronics Weekly (UK))
→SEMIがimecとコラボ、医療技術および輸送など重要分野における技術ロードマップおよび国際標準を開発していく旨。両者の間のmemorandum of understanding(MoU)は、artificial intelligence(AI), internet of things(IoT)およびmachine learningでの技術に対応の旨。

今回ほどに混沌、激動に見舞われていることはない、とのSEMIのCEO、Ajit Manocha氏の率直なコメントを受け止めている。

◇Washington, Wall Street Squeeze Semis-Trade group aims to launch think tanks, investment funds-SEMI CEO looks to find a way through current troubles (1月11日付け EE Times)
→SEMIのCEO、Ajit Manocha氏がannual Industry Strategy Symposiumにて、米中貿易戦争およびそれによるsupply chain問題に向けた業界戦略を計画するいくつかのthink-tankセッションの初回を招集の旨。「この業界で40年、かくも同時に多くのdisruptionsは見たことがない。」と、インタビューで同氏。

【米中摩擦関連】

米中摩擦関連の年初の動きであるが、双方の貿易の減速が当然ながら度合いを高めている。

◇米中貿易、追加関税で急減速、2018年夏以降鮮明に (1月7日付け 日経 電子版)
→米国と中国の貿易が互いの追加関税で急減速している旨。増加が続く中国の対米輸出を追加関税の対象品目だけで集計すると、すでに前年同月比で減少に転じ、直近の下げ幅は産業用ロボットなど5割を超えるものもある旨。米国の対中輸出も大豆など対象品目は約4割減った旨。世界の二大経済大国の貿易量の減速はアジアなど世界市場の需給にも影響を及ぼす旨。

半導体はじめ新興途上の技術&情報について、米国が中国を念頭に流出規制をさらに厳格に取り締まる動きが続いている。具体的に検挙に至る事例が見られている。

◇米国:中国半導体企業の情報窃取疑惑で新戦略、刑事と民事両面で適用 (1月10日付け bloomberg.co.jp/news)
→米中両国が貿易戦争の終結を目指す中、米国は重要な争点の1つでもある企業秘密の窃取が疑われる問題について積極的に刑事訴追を進めている旨。訴追された中国国営の福建省晋華集成電路(JHICC)と台湾の聯華電子(UMC)は9日、サンフランシスコの連邦裁判所で無罪を主張するとみられている旨。米司法省は昨年11月に「チャイナ・イニシアチブ」を発表、企業秘密の不正取得に関する事案を優先させ、可能な限り早急に訴訟を起こす方針を示した旨。JHICCとUMCは同戦略で初めて起訴されたケースだった旨。

◇SIA files comments on “emerging” technologies (1月11日付け ELECTROIQ)
→SIAが“emerging”技術のルール作り案の事前通知に反応、米国商務省Bureau of Industry and Security(BIS)にコメントを提出、国防権限法の一環として法制化されるExport Control Reform Act of 2018(ECRA)の要求に一致して、BISはある“emerging and foundational technologies”についての輸出管理の構築が求められている旨。

◇米の技術流出規制一段と、中国念頭、日本の輸出にも網 (1月11日付け 日経 電子版)
→米国が先端技術の国外流出に幅広く網をかける旨。安全保障を目的とする国防権限法に基づき、人工知能(AI)やロボットなど先端技術に関して輸出と投資の両面で規制を大幅に強める見通しとなったため。将来の技術覇権を狙う中国を念頭に置くが、規制の対象国に線引きはなく、米中両国で取引がある日本企業も対象になる旨。日本政府は米政府に情報提供を求める方針。

◇中国に半導体技術漏洩、台湾、独BASFの6人逮捕 (1月8日付け 日経)
→台湾の内政部(内政省)刑事局は7日、半導体製造に使う特殊な化学品の技術を中国企業に漏洩した営業秘密法違反の疑いで、化学品世界大手のドイツ企業、BASFの台湾法人の技術者ら6人を逮捕したと発表の旨。製造業の強化を目指す中国はハイテク分野で革新のカギを握る半導体産業の育成を急ぐが、警戒する米国企業などからの技術獲得が難しくなり、台湾企業を狙った模様の旨。刑事局によると、漏洩したのは半導体の製造工程で使用する高純度の化学品の製造に関する技術。この技術は中国の化学品大手、江陰江化微電子材料(江蘇省)が最近、新工場を立ち上げた際に使われた旨。漏洩した技術の価値は1億ユーロ(約120億円)に相当する旨。

台湾発の米中摩擦についての見方である。

◇2018 review and 2019 outlook: Mixed impacts of trade war on East Asia IC firms-Analysis: East Asian companies and the US trade war (1月9日付け DIGITIMES)
→中国と米国の間の貿易戦争が貿易赤字問題を越えてエスカレート、Trump政権は中国の輸入半導体への依存削減を目指すMade in China 2025計画を躍起に窮地に追い込もうとしている旨。中でも米国司法省(Department of Justice)は11月、Fujian Jinhua Integrated Circuit, United Microelectronics(UMC)および3人の前Micron Technology台湾人従業員を起訴に追い込み、Micronの通商機密および独自固有のDRAM技術盗用を共謀とし、UMCはJinhuaとのDRAM協力生産プロジェクトを中止するに至っている旨。

【中国が牽引するデータ】

米国からの牽制が厳しくなる一途の中国であるが、半導体関連のデータで伸びを牽引しているのはやはり中国。fab capacity装備、そして専業ファウンドリー販売高について、中国が他の地域を引き離している以下実態である。

◇China Wafer Production Capacity Growth Fastest in World (1月7日付け SEMI)
→SEMIの2018 China Semiconductor Silicon Wafer Outlookレポート。中国のfab capacity装備が、2015年の2.3 million wafers per month(wpm)から2020年には4 million wpmへ、12%のCAGRで伸びる予測、ほかのすべての地域より急速の旨。

◇China market drives essentially all pure-play foundry growth in 2018 (1月8日付け ELECTROIQ)
→IC Insightsが今月後半発行、The McClean Report 2019での新しいfindings。中国におけるファブレスICメーカーの最近の増加で、中国でのファウンドリーサービス需要も増大の旨。2017年の中国における専業ファウンドリー販売高が30%増の$7.6 billion、該市場全体の伸び率9%の3倍。
さらに2018年ではなんと急増の41%、市場全体の5%増から8倍超の旨。

◇China market drives majority of last year's pure-play foundry growth-IC Insights: Pure-play foundry growth in 2018 came from China (1月9日付け New Electronics)

【Huaweiのサーバ半導体】

5Gの展開はじめ米国が最も警戒する中国メーカーのHuaweiが、Armコア搭載の7-nmサーバ半導体を以下の通り打ち上げている。上記のAMDと同様、TSMCの製造と思われるが、米中摩擦の中で複雑に絡み合う業界構図が浮き出てくるところがある。

◇Huawei Rolls 7-nm Arm Server CPU-Kunpeng 920 said to outperform ThunderX2, Ampere by 25% (1月7日付け EE Times)
→中国最大のシステムベンダー&半導体設計のHuaweiが、MarvellおよびAmpereなどのライバルを25%ほど凌ぐという7-nm 64-core Arm-ベース・サーバCPUを発表、該Kunpeng 920は、米国との貿易摩擦過熱の渦中で同社のますますの高度化を示している旨。Kunpeng 920は、2.6 GHz動作の64個のcustom Arm-v8コアを収容、最大2,933 MT/s動作の8個のDDR4 channels、2個の100G Ethernet ports, およびPCIe Gen 4をサポートの旨。

◇Huawei launches server chipset as it taps new growth channels-Huawei unveils a server chipset with a 7nm, 64-core CPU (1月7日付け Channel NewsAsia (Singapore))
→Huawei Technologiesが月曜7日、サーバ用の新しいチップセットを打ち上げ、中国が半導体製造capabilitiesを上げて、特に米国からの輸入品への過重な依存を減らすよう推進している今時点の旨。売上げの大部分がテレコム装置およびスマートフォン販売からきているHuaweiは、同社を巡る中国政府の影響に神経を尖らす西側の精査が装置事業に向く中、cloud computingおよびenterpriseサービスでの売上げの伸びを求めている旨。
Huaweiは繰り返しこの政府の影響を打ち消している旨。


≪グローバル雑学王−549≫

そのすべてに大きな魅力を感じるまさに愛すべき天才と最大限の賛辞をケント・ギルバートさんが送っている気象学者、藤田 哲也について、

『日本人だけが知らない本当は世界でいちばん人気の国・日本』
 (ケント・ギルバート 著:SB新書 443) …2018年8月15日 初版第1刷発行

より、小生の場合新たな認識である。福岡県で独学で始めた気象学をもとにアメリカに渡って、ダウンバースト(下降噴流)とトルネード(竜巻)の研究における世界的権威として知られ、その優れた業績から野茂投手ともう1人のMr. Tornado(ミスター・トルネード)、Dr. Tornado(竜巻博士)とも称されている。また観測実験で得た難解な数式なども、見やすい立体図などの図解にしてしまうことから「気象界のディズニー」とも呼ばれていたとのこと。エンターテイナーの素質もあったという超天才の人生の歩みに触れていく。


第一章 匠
―――世界に轟かせた「ひらめき」の妙 …その4

□気象による事故から世界を救った「ドクター・トルネード」
―――藤田哲也

〓奇想天外な着想、大胆不敵な行動の「稀代の天才」
・アメリカで話題になった日本人の「トルネード」
 →野茂投手だけではなく、もう一人の「トルネード日本人」が以前から存在
 →竜巻研究の第一人者、藤田哲也
  …アメリカで気象学者として尊敬され、「ドクター・トルネード(竜巻博士)」とも
・藤田は1920年、福岡県企救郡曽根町(現在の北九州市小倉南区中曽根)で誕生
 →「潮の満ち引きは月と太陽の引力で起こる」という父の言葉から天文学に興味を抱き、旧制小倉中学校(現在の小倉高校)へと進学、同校で初の理科賞を受賞
 →中学在学中に父が、その2年後には母が相次いで急死
 →明治専門学校(現在の九州工業大)の特別給費奨学生として進学
 →同学4年生のときには小倉中学校の代用教員を務め、卒業後すぐに明治専門学校の助手、そして早くも1ヶ月後には助教授に任命
・独学で始めた気象学
 →次第に本業よりもこの気象学に傾倒していくことに
・1947年、福岡と佐賀の県境にある背振山山頂の観測所で下降気流の存在を発見
 →観測所の隣にあったアメリカ軍のレーダー基地のゴミ箱でたまたま見つけた論文を頼り
 →アメリカ気象学会会長を務めるシカゴ大学気象学部主任教授、ホレース・ロバート・バイヤース(Horace Robert Byers)教授に、自分の研究論文を送りつけ
 →2ヶ月後、バイヤースから藤田の論文を高く評価するという返信
 →「研究助手として今すぐこっちへ来てくれ」という招待状まで
・彼の独創的な研究はアメリカでも驚きをもって受け入れられ、脚光を浴びることに

〓「フジタ・スケール」の偉大なる功績
・藤田が渡米した当時、アメリカではトルネードの発生回数は記録されていたが、その規模等は記録されていなかった
 →そこで藤田は、竜巻の規模を決める「フジタ・スケール」(Fスケール)を考案
  …ミズーリ州カンザスシティの気象予報センター長であったAllan Pearsonと共に
 →アメリカの国立気象局で1973年から採用、現在は国際的な基準として広く用いられる
 →藤田はアメリカ人から「ミスター・トルネード」と呼ばれ、尊敬を集めた
・竜巻の強さを評定するための尺度、「Fスケール」
 →建物の損壊程度や樹木損傷の状態から求め、F0からF5までの6等級
・フジタ・スケールの改良型、EFスケール(Enhanced Fujita[EF] SCALE)
 …地震の大きさ、マグニチュード(M)とともに、世界で使用される気象の指標の1つ
 →EFスケール   風速(m/秒)  典型的な被害
  ----------      -----------   ------------
  EF0       <29〜38    軽微な損害
  EF1        39〜49    中程度の損害
  EF2        50〜60    大きな損害
  EF3        61〜74    甚大な損害
  EF4        75〜89    壊滅的な損害
  EF5        90<     信じ難い損害
・2013年5月20日、アメリカ・オクラホマ州を襲ったトルネード
 →直径最大約3.2km、風速最大毎秒約90mで最大級の規模「EF-5」
 →死者24人という甚大な被害
 →日本ではこれまでに、F4以上の竜巻は観測されていない
・藤田が竜巻研究の第一人者となった要因の1つ
 →徹底した実証主義
 →被害現場に降り立ち、痕跡を撮影・観察、膨大なデータを集積して分析
・自分の推理を言葉で表現する能力にも長ける
 →「気象学のシャーロック・ホームズ」というニックネーム
・藤田は絵図を描くのが大得意
 →六色のペンを使ってカラフルに図をつくり、自然現象を明快にわかりやすく提示
 →「気象界のウォルト・ディズニー」とも
・調査・研究は藤田の天職

〓旅客機墜落事故の原因「ダウンバースト」を立証
・藤田は多くのトルネードを分析
 →トルネードとは、最初に親雲である積乱雲から発生した渦が、地形と気象の関連で地上に到達したとき発生することを推論
・1975年、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港での痛ましい事故
 …イースタンエアライン66便が着陸直前に墜落、112名もの命が失われた
 →航空会社が、藤田に事故原因の再調査を依頼
 →藤田は最終的に、航空機事故の原因が、上から下へ激しい突風をもたらす現象「ダウンバースト」(downburst:下降噴流)であったことを解明
 →当初、全米のほとんどの気象学者が「ダウンバースト現象」の存在を否定
 →結果的に、1976年、藤田はダウンバーストの存在を証明することに成功
 →66便の事故原因は、ダウンバーストであると結論付け
・1979年には、ドップラー効果による周波数の変化を観測するレーダーを使用することで、ダウンバースト現象が予測可能であることを立証
 →現在では、全世界の主要な飛行場にドップラーレーダー(音の伝播で距離を測定できるレーダー)が設置
・藤田は、トルネードの発生源である親雲の積乱雲の上方に、幾度もセスナ機で接近
 →それでも飽き足らず、最後は積乱雲の上空に突入してトルネードの発生源を探った
 →まさに命知らずの冒険野郎
・ついに藤田はトルネードを発生させる親雲である、回転する積乱雲を発見
 →藤田は航空業界の安全と安心に大きく貢献した、紛れもない偉人

〓エンターテイナーの素質もあった「藤田・テッド・哲也」
・誰に問いかけてもおおよそ一貫、藤田の人物像
 →革新的で、研究は道楽。自分の世界に入り込んで楽しむ、「オタク気質」を持った人物
・アメリカでは、「藤田・テッド・哲也」というミドルネーム
 →エンターテイナーとしての素質もあり、自己演出にも心を砕いていた
 →メディアの前に出るときなど、「カメラ・メガネ・七三分け」という「ザ・日本人」を意識した格好をわざと
・確固たる人物評がつけにくいほどの多才な科学者
 →最後まで研究一筋に生きた人であることも、多くの人が納得する藤田のイメージ
・なぜ、トルネードにここまで魅せられたのかとの質問に対し
 →「いつも違いがあるから。すべての嵐が同じではない。人間と一緒。毎回、違う場所に行き、違う竜巻に出会い、違う発見をする。」
・1998年11月19日、ミスター・トルネードこと藤田哲也は永眠、享年78才
 →葬儀には、当時のビル・クリントン大統領も弔問に
・まさに愛すべき天才―――そのすべてに、私は大きな魅力を感じる

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