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最先端の一桁ナノメートルプロセス技術を巡る連携、展望

半導体最先端の微細化が7nm、5nmと、一桁ナノメートルへのアプローチが行われている一方、Moore則の限界、はたまた終わりが取り沙汰されて半導体ロードマップもデバイス一辺倒からデバイスとシステムを合わせ分野ごとに描いていく新たな取り組みが始まろうとしている。この飛躍、転換の局面のもと、恒例のSEMICON West(2016年7月12日〜14日:San Francisco)が開催され、装置・材料など半導体製造分野の最先端が披露されるのに合わせるかのように、一桁ナノメートルプロセス技術を巡る連携、展望がグローバルに方々打ち上げられている。

≪相次ぐ取り組みの打ち上げ≫

プロセッサintellectual property(IP)のARMが、7-nm以降の半導体プロセスノードに向けての設計を目指すnanoelectroicsリサーチ機関、IMEC(ベルギー)のINSITE collaborativeリサーチプログラムへの参加を発表している。今後の方向性に注目である。

◇IMEC, ARM Collaborate on 7nm Design (7月11日付け EE Times)
→プロセッサintellectual property(IP) licensor、ARM Holdings plc(Cambridge, England)が、nanoelectroicsリサーチ機関、IMEC(Leuven, Belgium)での設計についてのINSITE collaborativeリサーチプログラム参加に調印の旨。該INSITEプログラムは2009年にスタート、現在10社以上が参加、7-nm以降の半導体プロセスノードに向けての設計可能化に重点を置いている旨。

◇ARM joins Imec programme for sub-7nm processes-ARM, imec to collaborate on sub-7nm chip design (7月11日付け Electronics Weekly (U.K.))
→ARMが、7-nm以降のfeaturesを擁する半導体開発の取り組みでimecに加わっていく旨。「先端プロセスノードは性能および効率を引っ張る上で重要であり、imecとのコラボで消費者が期待できるものの境界が先に押される。」とARMのCEO、Simon Segars氏。

◇Imec, ARM to work on 7nm and beyond (7月11日付け New Electronics)
→ARMが、imecのINSITEプログラムに参加、7-nm以降からのプロセスノードの電力、性能、面積およびコストに対する回路設計およびシステムレベルアーキテクチャーのインパクトへの対応に向けて該連携の中で活動する旨。

◇ARM joins Imec program for 7nm technology and beyond (7月13日付け DIGITIMES)

IMECはまた、Synopsysとコラボ、7-nmノード以降に向けたinterconnect resistivityモデルを発表している。

◇Imec and Synopsys collaborate on interconnect resistivity model (7月11日付け ELECTROIQ)
→imecおよびSynopsys社が、7-nmノード以降での代替interconnect metalsおよびliner-barrier材料のスクリーニング&選別をサポートするinterconnect resistivityモデルを発表の旨。

◇Imec and Synopsys announce interconnect resistivity model-Synopsys crafts an interconnect resistivity model with imec (7月13日付け Electronics Weekly (U.K.))

半導体メーカーで注目されたのがTSMC(台湾)であり、まず、Applied Micro Circuits Corporation(AMCC:米国)がTSMCの7-nm finFETプロセス技術の採用を明らかにしている。

◇AppliedMicro adopting TSMC 7nm finFET process technology (7月11日付け ELECTROIQ)
→Applied Micro Circuits Corporation(AMCC:Santa Clara, CA)が、cloud computingおよびnetworking応用に向けたシリコン製品を可能にするために、TSMCからの7-nmプロセス技術を採用する旨。

後で示す通り、第二四半期の好調な業績を発表したTSMCであるが、その場で5-nm半導体に向けた取り組みの展望を以下の通り表わしている。インテル、Samsungはじめ競合マップへのインパクトに注目である。

◇TSMC to Adopt Extreme Ultraviolet at 5nm-TSMC remains committed to EUV lithography, sees its use at 5nm node (7月14日付け EE Times)
→TSMCのCo-CEO、Mark Liu氏が、同社第二四半期業績発表の場にて。TSMCは、この10年の終わりまでに5-nm半導体を作るためにextreme ultraviolet(EUV) lithographyをフルに取り入れる旨。EUVは、5-nm立ち上げに間に合って、2020年までにhigh-volume製造に向けたコスト効率の良いtoolと評価しており、密度を改善、プロセスcomplexityを簡単化、そしてコストを減らすために、5-nmでは広くEUV lithographyを用いる計画の旨。

一桁ナノメートルとは表には謳っていないものの、最先端に向けたLETI(フランス)とKIST(韓国)のコラボが、以下の通り打ち上げられている。

◇LETI and KIST link for advanced projects-Leti to collaborate on R&D with Korean institute (7月14日付け Electronics Weekly (U.K.))
→LetiとKorea Institute of Science and Technology(KIST)が、超低電力半導体、spintronics, non-volatile 3Dメモリ, neuromorphicアーキテクチャーおよびmonolithic 3D半導体に一緒に取り組む5年プロジェクトに合意の旨。


≪市場実態PickUp≫

【SEMICON West】

上記に続いて、半導体製造の市場および技術の最新状況&情報を、SEMICON West(2016年7月12日〜14日:San Francisco)関連の記事から目につく範囲で取り出していく。まずは、M&Aも絡んだ欠陥検査分野についてである。

◇E-beam Vs. Optical Inspection-Updated: Wafer inspection market sparks to life as existing equipment struggles at 10nm.-Wafer inspection market heats up with new entries, mergers (7月11日付け Semiconductor Engineering)
→Applied MaterialsおよびKLA-Tencorが今週、新しいウェーハ検査システムを投入、electron-beamあるいはoptical inspectionのいずれが半導体上の欠陥を捉えるのに最善の技法であるか、業界の議論を改めて呼んでいる旨。一方、ASML Holdingはe-beam inspection装置サプライヤ、Hermes Microvisionを$3.1 billionで、Lam ResearchはKLA-Tencorを$10.6 billionで買収しようとしている旨。

SEMIによる恒例、半導体装置市場全体の見方である。

◇Chip equipment spending: SEMI forecasts flat 2016, rebound in 2017 (7月12日付け ELECTROIQ)
→SEMIが、SEMICON West expositionにてリリースしたSEMI Capital Equipment Forecastのmid-year版。半導体装置市場全体の見方:

2015年
2016年
2017年
$36.9 billion
$41.1 billion
3%減
1%増
11%増

◇Semiconductor Equipment Spending to Rebound in 2017-SEMI: Spending on IC gear to go up 11% next year (7月13日付け Electronics360)

◇Chip equipment spending to stay flat in 2016, says SEMI (7月13日付け DIGITIMES)

◇Chip Equipment Spending to Stay Flat in 2016 (7月14日付け EE Times)

Letiの3D Network-on-Chip(3D-NoC)技術の取り組みがアップデートされている。

◇Leti develops 3D network-on-chip to improve high-performance computing (7月12日付け ELECTROIQ)
→CEA Tech機関、Letiが、high-performance computing(HPC)を改善する新しいon-chip通信システムを開発、現状のソリューションより高速でエネルギー効率が高く、そして3Dアーキテクチャーコンパチの旨。

◇Leti Unveils New 3D Network-on-Chip-'Smart' Interposer drives high-perfomance, low-energy 3D IC (7月14日付け EE Times)
→CEA InstituteのLetiが今週のSemicon West(SAN FRANCISCO)にて、第2世代3D Network-on-Chip(3D-NoC)技術を披露、該新3D-NoC技術によりcomputing性能を大幅に高める一方、エネルギー消費を減らしているon-chip通信システムを開発の旨。Letiは、半導体をstackして1個に封入、該半導体をシリコンインターポーザ上に並べて、これを達成している旨。

IoTはじめ新分野の展開を受けて200-mm fabsが活気を取り戻し、2006年のピークcapacityに達する可能性がプレゼンされている。

◇200mm fabs reawakening (7月13日付け ELECTROIQ)
→SEMICON WestでのSEMI/Gartner market symposiumにて、SEMIのseniorアナリスト、Christian Dieseldorf氏の講演。中国における力強い投資が支えて、200-mmウェーハ生産が再び目覚めており、200-mm全体capacityが2019年までにこれまでのピークの2006年に匹敵する見込みの旨。向こう数年にわたって200-mm fabsの閉鎖はなく、実際新たな稼働開始のfabsがあって、ただただ驚いている旨。

来年には台湾と中国で世界のファウンドリーcapacityの4分の3を占めるという見方が表わされている。

◇China IC foundry capacity growing fast, says SEMI-Greater China to hold 75% of global foundry capacity in 2017, SEMI says (7月14日付け DIGITIMES)
→SEMI発。台湾と中国が、来年までに世界のシリコンファウンドリー生産capacityの4分の3を占め、2017年末までに台湾が55%、一方中国が20%のグローバルシェアと見る旨。

【TSMC、UMCの最高業績】

減速、低迷、マイナスなど歓迎できない見出しキーワードが続くなか、最高業績というここのところ耳慣れない表現が台湾のファウンドリー、TSMCとUMCにおいて見られている。まずは、UMCの6月売上げが月次最高を記録している。

◇UMC posts record June revenues-UMC gets $418.6M in June revenue, a record for the foundry (7月8日付け DIGITIMES)
→UMCの2016年6月連結売上げがNT$13.53 billion($418.6 million)で月次最高を記録、前月比6.5%増、前年同月比12.2%増。2016年第二四半期では約NT$37 billion、前四半期比7.5%増。2016年1-6月累計がNT$71.4 billion、前年同期比5.6%減。

TSMCについては、第二四半期業績について以下の通りいろいろな表現が見られている。営業利益が四半期ベースの最高を記録、アップルの低迷分を中国、インドなど新興市場で十二分にカバーする状況を受け止めている。

◇TSMC 2Q16 revenues beat guidance-TSMC posts Q2 revenue of $6.89B, above earlier estimate (7月11日付け DIGITIMES)
→TSMCの2016年第二四半期連結売上げがNT$221.81 billion($6.89 billion)、同社guidance、NT$215-218 billionを上回っている旨。TSMCの2016年6月売上げがNT$81.39 billion、前月比10.6%増、前年同月比35.8%増。第二四半期は、前四半期比9%増、前年同期比8%増となる旨。TSMCの2016年前半売上げはNT$425.31 billionとなり、前年同期比0.5%減。

◇TSMC's Outlook Tops Estimates as IPhone 7 Helps It Defy Slowdown-China orders for phone chips boost TSMC's bottom line (7月14日付け Bloomberg)
→TSMCの第二四半期の利益はアナリスト予測を上回り、第三四半期についても中国からのスマートフォン用半導体の需要増からアナリスト評価を上回る売上げを予測している旨。

◇UPDATE 2-Taiwan chip giant TSMC cuts global smartphone outlook, sees weaker high-end demand (7月14日付け Reuters)

net profitsについては、high-endから中位、下位への需要シフトがうかがえている。

◇TSMC 2Q16 profits fall 8.7% despite revenue growth (7月14日付け DIGITIMES)
→TSMCの2016年第二四半期売上げは前年同期比8%増えたが、net profitsは同8.7%減っている旨。

◇台湾・半導体受託生産TSMC復調、4〜6月最高益に、廉価スマホ向け拡大、年1兆円投資が原動力 (7月15日付け 日経)
→半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の復調が鮮明の旨。14日発表の2016年4〜6月期連結決算は、営業利益が前年同期比18%増のNT$91.3 billion(約3千億円)。1年ぶりの増益で四半期ベースの最高益となり、米アップルの失速による業績の谷を乗り越えた旨。年1兆円規模の大規模投資で受託製造の競争力を追求し、最先端品と廉価品の両面で効率よく稼ぐ収益構造になってきたことが原動力の旨。

第三四半期はさらに売上げが高まる強気の読みとなっている。

◇TSMC expects record 3Q16 revenues (7月15日付け DIGITIMES)
→TSMCが、2016年第三四半期売上げについて前四半期比14.5-16%増のNT$254 billion($7.95 billion)〜NT$257 billionと最高記録を見込む旨。同社の第二四半期売上げは前四半期比9%増のNT$221.81 billionで、これも同社guidance、NT$215-218 billionを上回った旨。

TSMC、UMCともに、2016年前半の売上げ累計は昨年前半を下回っており、引き続き目が離せないところがある。

【不透明感増す経済情勢】

現下の経済情勢について、我が国そして中国の政府発表から、共通する表現、キーワードが目立って以下の通りである。これを書いている時点でも、フランスそしてトルコから拍車をかける困った事態が続いている。

◇2016年度成長率、実質0.9%に下方修正、政府−世界経済に不透明感 (7月12日付け 日経 電子版)
→政府は今年1月に実質で1.7%と見込んでいた2016年度の経済成長率の見通しを、0.9%に下方修正する方針。2017年4月に予定していた消費税率の10%への引き上げを再延期し、消費の駆け込み需要を見込めなくなったための旨。英国の欧州連合(EU)離脱決定などで世界経済の先行きが不透明になり、輸出や設備投資が伸び悩むことも想定する旨。

◇中国GDP、4〜6月6.7%増で横ばい、投資や輸出振るわず (7月15日付け 日経 電子版)
→中国国家統計局、15日発。2016年4〜6月期の国内総生産(GDP)が物価変動を除く実質で前年同期比6.7%増、成長率は1〜3月期から横ばいだが、投資や輸出が振るわない旨。世界第2位の中国経済が力強さを欠き、英国の欧州連合(EU)離脱決定で不透明さを増す世界経済は牽引役が見あたらない状況の旨。

【本年の半導体市場予測】

これも予想通りというか、IC Insightsより2016年半導体市場について、前回のプラス2%から今回マイナス1%と予測の下方修正が行われている。ここでも世界の政治経済の不安定要因がキーフレーズとして登場している。

◇IC Insights Lowers Its 2016 Semiconductor Market Forecast to -1%-Weak global economy and poor DRAM market to drag down growth this year. (7月7日付け IC Insights)

◇Semiconductor outlook slashed-Market research firm reduces 2016 revenue forecast for chips (7月9日付け The Taipei Times (Taiwan))
→中国の経済成長鈍化およびDRAMの沈滞状況から、IC Insightsが世界半導体業界の2016年売上げ予測について、昨年の$353.6 billionに対し前回の4%増からこのほど1%減に下方修正の旨。Gartnerは0.6%増と予想の一方、TSMCは今年1%の伸びと見ている旨。

◇Global 2016 semiconductor market to fall 1%, says IC Insights (7月11日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。弱含みなグローバル経済およびDRAM市況低迷から、2016年半導体市場伸長予測をマイナス1%に下方修正する旨。DRAMを除く半導体市場はプラス2%に達する可能性の旨。

◇Brexit Vote Prompts Reduced Global Chip Market Forecast (7月13日付け EE Times)
→IC Insightsが、2016年半導体市場について2%の伸びから年間1%の低下に下方修正の旨。IC Insightsは、United Kingdom(UK)のEuropean Union(EU)離脱決定により、少なくとも向こう1-2年世界経済がマイナスのインパクトを受けるとしている旨。その主な理由として、UKの離脱の詳細を巡る不安定さおよびUKが他の国々に追随を急がすかどうかにある旨。

【最先端SSD】

テラバイトと聞くとどこまで行くのかとも感じるが、Samsungが4 terabytesのsolid-state drive(SSD)を展開する一方で、3D NANDでは遅れをとったMicronが750 GBのSSDを以下の通り市場投入している。単純比較では、5.3倍の容量に対して価格は7.5倍となっており、Micronの魅力もうかがえている。

◇Samsung Unwraps Massive 4 TB 850 EVO SSD: Speed And Space In One Package -Samsung adds 4 TB model in 850 EVO SSD line (7月12日付け Tech Times)
→Samsung Electronicsが、4 terabytesのデータを蓄積できる850 EVO solid-state drive(SSD)を展開、同社triple-level cell(TLC) V-NANDフラッシュメモリ技術を用いている旨。該新SSDは$1,499.99の価格の旨。

◇Micron's 3D NAND Innovative Fabrication Process -Micron loads $200 Crucial 750 GB SSDs with 3D NAND (7月13日付け EE Times/Blog)
→3D NANDを2番目に商用化する半導体ベンダー、Micronが、革新的なアプローチをとっており、コストを減らす可能性の旨。同社は、32 layer(32L) 3D NANDフラッシュメモリの生産を開始、Crucial 750 GB SATA 2.5インチSSDが、該デバイスが入る最初の商用downstream製品の1つである旨。該Crucial SSDは約$200の価格であり、laptopsには魅力的な選択肢となっている旨。


≪グローバル雑学王−419≫

分野別のM&Aの新たな潮流、続けて今回はIT及び小売り分野について、

『M&Aの「新」潮流』

 (山本 貴之 著:エネルギーフォーラム新書 036) …2016年1月15日 第一刷発行

より現下の流れに迫っていく。通信および情報サービスのここ数十年にわたるNTT民営化以降の拡大ぶりは、半導体業界もその時代の経過とともに密接な関係の経緯を辿っているところ。また、小売り業界も時代の要請、人々の嗜好など荒波を経ていることは、我々の普段の生活に密着して知るところとなっている。グローバル対応、事業環境への即応など、それぞれのM&Aの潮流の態様というものを受け止めている。


第12章 IT及び小売り分野におけるM&Aの新潮流

【IT分野におけるM&Aの新潮流】

■通信及び情報サービス分野の企業の事業環境
・通信サービス分野は、約30年前にNTT民営化による通信自由化以降、一貫して拡大
 →大手3社グループ(NTT、KDDI、ソフトバンク)の売上高の合計は約4倍に
 →成長を牽引してきた移動体通信は、音声通信からデータ通信にその収益源をシフト
  →アプリケーション分野を強化する状況に
・情報システム分野、すなわちソフトウェア・システムベンダー
 →2011〜2012年頃を境として環境は大きく変化
  →企業や政府による大型のIT投資による活況
   →メガバンクによるシステム統合案件
   →政府系プロジェクト、マイナンバー(社会保障・税番号制度)制度

■事業構造変化の圧力
・いずれの分野にも、継続的な構造変化の圧力
 →クラウドビジネスの進展
 →技術革新及び新規サービスの発生 …モバイルゲーム、アプリケーション開発
 →顧客となるユーザが一層グローバル化 …海外でのサービス提供を如何に進めるかに注力する必要

■個別企業のM&Aの新潮流
・大手通信会社、ソフトバンク
 →継続的にM&Aを活用した事業戦略の推進
  …2013年、米国携帯電話大手、スプリントを過去最大級の規模で買収
  …フィンランドのモバイルゲーム会社、スーパーセルの買収
・通信事業分野及び情報システム分野の双方で最大手クラスのNTTグループ
 →グローバル拠点の一挙拡大
  …2010年、南アフリカのディメンションデータを取得
  …2008年、SAPコンサルティング会社のアイテリジェンス(ドイツ)を買収
・日立グループ
 →グループ内での機能統合・効率化の推進
 →海外拠点の整備を推進する段階にステップアップ
  …フランス、イタリアでのシステム会社買収
・富士通
 →特に基盤のある欧州地域で、付加価値を高める形でのソリューションを有する企業をグループ内に取り込み
・M&Aの活用
 →1)通信事業者では、データ通信需要の取り込みやアプリケーション、ゲーム分野の取り込み
  2)情報システム分野では、統合的なクラウドサービスの提供を目指した付加価値分野の取り込みやグローバル化への対応

【小売り分野におけるM&Aの新潮流】

■小売り分野の企業の事業環境
・小売り業界は、コンビニエンスストア業態を除けば、厳しい事業環境が継続
 →業態内での再編や業態を超えた買収等の新たなM&Aの潮流が生まれている業界でも
・ネット通販の利便性や、専門店の質やスケールメリットの効果が、大量・多種の商品提供をビジネスモデルとする総合スーパーの規模メリットなどの優位性を揺るがしている
・コンビニエンスストア
 →大手は積極的な出店を継続
 →下位企業では撤退や上位企業のグループ入りが相次いでいる
・ドラッグストア
 →業界そのものの成熟化による立地の飽和及び他業態との競合が生じやすい事業環境に

■個別企業のM&Aの新潮流
・小売り業界においては、各業態内及び業態を超えたM&Aを通じて消費者ニーズの獲得やスケールメリットの確保を急ぐ動きが生じている
 →スケールメリットの追求と地域性の高い食品分野でのローカルな個性の追求の双方を目指している事例
・自社での力強い成長が期待できるコンビニ業態以外では、柔軟なM&Aの活用
・小売り業界における新たな流れ
 →1)業態を超えたマルチチャネルの獲得に向けたM&A
  2)業態内でのスケールや規模を確保しつつ新たな需要を掘り起こそうとするM&A

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