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7-nmを目指すTSMCはじめ最先端の取り組み、連携、ロードマップ

半導体市場の最先端を引っ張る微細化が、一桁nanometerを目指す世代を迎えている。TSMC Technology Symposium for North America(3月15日:San Jose Convention Center)では、向こう2年にわたって10-nmおよび7-nmノードを展開するロードマップがプレゼンされているのをはじめ、ベルギーのR&D機関、imecでは7-nm以降に向けたクリーンルームの増設が行われている。具体的な製品開発に向けて特に設計との連携が見られており、競合各社の取り組みを見比べながら、互いの凌ぎあいに注目である。

≪それぞれのアプローチ、展望≫

imecでの$1.1 billion以上を投入というクリーンルームの増設が、次の通り表わされている。

◇imec adds to its cleanroom space to push beyond 7nm -New cleanroom at imec will go to 7nm chips and beyond (3月11日付け New Electronics)
→$1.1 billion以上をかけた新しい300-mmウェーハクリーンルームspaceが、ベルギーのR&D機関、imecにてオープン、7-nmプロセス技術および将来のプロセスノードについてのR&Dに用いられる旨。

◇Imec opens new 300mm cleanroom (3月14日付け DIGITIMES)

AMDの向こう数年にわたるロードマップの表わし方である。

◇AMD roadmap for next-gen GPUs emphasizes cutting-edge memory and power efficiency -AMD makes strategic plans based on new next-gen GPU family (3月14日付け PCWorld)
→AMDが、向こう数年のロードマップ概要を説明、今年のPolaris GPU打ち上げに続いて、HBM2(第2世代「High Bandwidth Memory」)メモリを用いてVega GPUファミリーをリリースする、とAMDのRadeon Technologies Groupヘッド、Raja Koduri氏。

TSMC関係については、まず7-nm FinFETプロセスでのARMとのコラボが以下の通り発表されている。モバイル機器だけでなく次世代のネットワークやデータセンターに向けた半導体が具体的に引っ張っていく、としている点が注目されるところである。

◇TSMC, ARM Aim 7nm at Data Centers-Cloud computing the next process driver?-ARM, TSMC to work together on 7nm chips for data centers, networks (3月15日付け EE Times)
→TSMCとARMが、先端半導体プロセス技術について次の段階のコラボを発表、興味深いことには、7-nm FinFETノードの取り組みについてデータセンターおよびnetworking半導体が引っ張っていく旨。今までは、AppleのAシリーズ, QualcommのSnapdragonおよびSamsungのExynosなどのモバイルapplicationプロセッサが最初に新プロセス技術を用いるSoCsとなっており、64-ビットARM coresを用いるモバイル半導体のtape outsが16および10-nmノードの初期milestonesにあった旨。

◇ARM and TSMC team up to realise 7nm chips for next-generation networks and data centres (3月15日付け V3.co.uk (U.K.))

◇ARMとTSMC、高性能コンピューティングに対応する7nm FinFETプロセステクノロジーで協力する複数年契約を発表 (3月15日付け 4gamer.net)
→英ARM社(本社:英国ケンブリッジ)と、台湾集積回路製造(TSMC)(本社:台湾新竹市)は、低消費電力で高性能の未来のコンピューティングSoCを実現する設計ソリューションを含め、7nm FinFETプロセステクノロジーで協力する複数年契約を発表、新しい契約により、両社は長年のパートナーシップを拡大し、最先端のプロセステクノロジーをモバイルだけでなく次世代のネットワークやデータセンターにも普及させる旨。今回の契約は、ARM ArtisanファウンデーションフィジカルIPを使用した16nmと10nmのFinFETにおける従来の協力も延長する旨。

◇ARM and TSMC announce multi-year agreement to collaborate on 7nm FinFET process (3月16日付け ELECTROIQ)

◇ARM, TSMC announce 7nm FinFET collaboration agreement (3月16日付け DIGITIMES)
→ARMとTSMCが、7-nm FinFETプロセス技術でコラボする複数年合意を発表、今後の低電力、高性能compute SoCsに向けた設計ソリューションが入っている旨。

今回のTSMC Technology Symposium for North Americaの場では、7-nmへの備えが中心と感じさせる以下の記事内容となっている。Intelの14-nmプロセスとの違いは何なのか、という視線も表わされている。

◇TSMC Readies 7nm Chip Ecosystem, Infrastructure for 2017 (3月16日付け ELECTROIQ)
→火曜15日のTSMC Technology Symposium for North America(San Jose Convention Center)にて。

◇TSMC Details Silicon Road Map-FinFETs will fly from 16nm to 7nm-Progress and challenges at 7nm-Lots of growth at the fringes-The future and the big picture-TSMC shares its 2-year projected path for FinFETs move to 10nm, 7nm (3月16日付け EE Times)
→TSMCの約1,500人を集めたSilicon Valleyイベント(SAN JOSE, Calif.)にて。TSMCは、16-nmプロセスを立ち上げており、向こう2年にわたって10-nmおよび7-nmノードを展開する計画で進んでいる旨。TSMCの7-nmへのroad mapはIntelが現在Skylake CPUsを立ち上げている14-nmプロセスと一致するに過ぎない、としらける向きがあった旨。

Cadenceの設計ツールについてTSMCとの歩調合せが、次のように示されている。

◇Cadence design tools certified for TSMC 7nm design starts and 10nm production (3月16日付け ELECTROIQ)
→Cadence Design Systems社のdigital, signoffおよびcustom/analogツールが、TSMCより10-nm FinFETプロセスについてV1.0 Design Rule Manual(DRM)およびSPICE認証を獲得、両社はまた、7-nm技術進捗コラボを続けている旨。

◇Cadence design tools certified for TSMC 7nm design starts and 10nm production (3月17日付け DIGITIMES)

他の競合各社にも引き続き注目していくことになるが、半導体材料についてもここにきて時代、世代の大きな新しい波が訪れようとしている、と気づかされている。

◇New Materials: A Paradox of the Unknown (3月17日付け ELECTROIQ)
→1960年代から1990年代までは少数の材料が用いられ、とりわけsilicon, silicon oxide, silicon nitrideおよびaluminumであったが、まもなく2020年までに40以上の異なる材料がhigh-volume生産に入ってきて、hafnium, ruthenium, zirconium, strontium, complex III-Vs(InGaAsなど), cobaltおよびSiCのようなよりエキゾチックな材料が含まれる旨。


≪市場実態PickUp≫

【virtual-reality(VR)関係】

Qualcommが、自社のSnapdragon半導体に向けてVR開発者を支援するソフトウェア開発キットを打ち上げている。

◇Qualcomm to Launch VR SDK for Snapdragon Chips-Qualcomm releases SDK for Snapdragon chips to aid VR developers (3月14日付け eWeek)
→Qualcommが、GoogleのAndroid搭載スマートフォンおよびVR headsetsに向けてSnapdragon 820 system-on-a-chip(SoC)での開発を早められるvirtual reality(VR)ソフトウェア開発キット(SDK)を打ち上げ、該SDKは、第二四半期に出てくる旨。

Game Developers Conference(GDC:2016年3月14-18日:San Francisco)では、ソニーのプレステ4用のVR headset発表はじめVR関連市場の見方が表わされている。

◇PlayStation VR Launches in October (3月15日付け EE Times)
→Game Developers Conference(GDC:2016年3月14-18日:San Francisco)併催の特別イベントにて、ソニーが、PlayStation 4用の同社VR(Virtual Reality) headset、PlayStation VRの価格およびリリース時期を次の通り発表の旨。
 グローバルに2016年10月打ち上げ
  価格: 米国 $399
      欧州 399ユーロ
      英国 £349
      日本 \44,980

◇ソニー、仮想現実端末を10月発売、「PS4」接続 (3月16日付け 日経 電子版)
→ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が15日、ゲーム機「プレイステーション(PS)4」に接続して仮想現実(VR)の世界を体験できる頭部装着型の映像端末(HMD)「PS VR」を10月に発売すると発表、価格は399ドル(日本では4万4980円)と、競合製品より3割以上安い水準に設定の旨。世界で約3600万台が売れているPS4の顧客基盤を生かして市場を開拓する旨。

◇Smart Glasses May Replace Smartphones-VR/AR boom predicted at GDC (3月15日付け EE Times)
→Game Developers Conference(GDC:2016年3月14-18日:San Francisco)のパネル討議にて。依然prototypesおよびdeveloperキットの段階にはあるが、発生期にあるvirtualおよびaugmented reality headsets市場が2018年までに急増する旨。

◇After PCs and mobile, a chip battle for VR devices is brewing-Chip makers are facing off for a piece of the fast-growing virtual reality market-VR headsets represent new opportunity for chip vendors (3月15日付け PCWorld/IDG News Service)
→virtual-reality(VR) headsetsが半導体サプライヤにとって新しい成長opportunityを指し示しており、Gartnerは、その出荷が今年の1.4 million台から2017年には6.3 million台に増大すると予測の旨。
Intel, Advanced Micro Devices(AMD)およびQualcommからの関心を引いている様相の旨。

一方では、VRは標準化への備えがまだこれからという見方である。

◇VR Not Ready for Standards (3月17日付け EE Times)
→Game Developers Conference(GDC:2016年3月14-18日:San Francisco)にて、virtual reality(VR)はsub-trackを得るに十分大きくなってきているが、標準化へ備える域にはまだ達していない旨。

【M&A関連の動き】

MicrochipによるAtmel買収について、米国およびドイツの法制当局のOKが得られ、韓国を残すのみとなっている。

◇Microchip's Atmel Buy Clears Regulatory Hurdles-US, German regulators clear Microchip's Atmel buy (3月14日付け EE Times)
→Microchip Technology社(Chandler, Ariz.)によるライバル、Atmel社の$3.8 billion買収について、米国Federal Trade Commission(FTC)が3月11日、German Federal Cartel Officeが2月26日にそれぞれregulatory見直しOKとしている旨。Korea Fair Trade Commission(KFTC)が、公正取引の観点から該取引を依然見直している唯一の機関の旨。第二四半期にはすべて完了の運びの旨。

Western DigitalによるSanDisk買収については、両社株主の承認が得られている。

◇Western Digital acquisition of SanDisk approved by shareholders-Shareholders authorize $17B merger of SanDisk, Western Digital (3月15日付け San Jose Mercury News (Calif.))
→伝統のdisk driveストレージメーカーをSilicon Valleyのフラッシュメモリパイオニアと結びつける取引、Western DigitalおよびSanDiskの株主が火曜15日、$17 billion合併を承認の旨。

注目の中国の半導体投資ファンドの今までの出資状況および今後の資金積み増しが次の通り表わされている。

◇More cash promised to China's IC fund-China may add money to its semiconductor investment fund (3月16日付け Shanghai Daily (China))
→業界関係者、昨日発。中国が、国内半導体業界の発展を支えるために139 billion yuan($21.3 billion)国家integrated circuitファンドに進んでさらに資金注入していく旨。中国は革新で引っ張る成長モデルに移行、半導体業界は中国の経済的再構築の重要なプレーヤーである旨。該国家ファンドはすでに、integrated circuit材料&装置(AMECおよびSH Silicon), 設計(Unigroup), 製造(SMICおよびSilan)および組立テスト(Huatian)分野の各社に42 billion yuan以上をつぎ込んでいる、と該ファンドを動かすChina Circuit Industry Investment Fund Coのpresident、Ding Wenwu氏。

実装&テスト業界を引っ張るともに台湾のASEによるSPILへの株式公開買い付け入札の件であるが、台湾の公正取引当局の承認が得られず期限切れで失敗という結果になっている。

◇ASE fails to gain antitrust approval for SPIL bid (3月17日付け DIGITIMES)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)が、Siliconware Precision Industries(SPIL)における24.71% stakeを積み増す株式公開買い付けの期限、3月17日までに台湾での公正取引承認を得られない旨。ASEはすでにSPILの25%をもっており、約50%にstakeを高めることを狙う買い付けを2015年12月に打ち上げた旨。

◇ASE looking to form industrial holding company-ASE forms industrial holding company to build equity in ASE, SPIL (3月18日付け DIGITIMES)
→Siliconware Precision Industries(SPIL)の25%をすでにもっているAdvanced Semiconductor Engineering(ASE)が、SPILにおけるさらに24.71% stakeを求める株式公開買い付けの失敗を発表、それにもかかわらずASEは、SPILを買収する意図に変わりはなく、ASEおよびSPILの両方に別々に100% equity interestsをもつべくindustrial holding companyを設立する旨。

【特許関係】

久方ぶりという感じ方で特許関係の動き、データが見られており、まずはアップルの医療用モニター特許の申請である。

◇Apple Invents Emergency Alert System (3月11日付け EE Times)
→Appleが、ユーザの体温、心拍数、酸素レベルあるいは血圧における不規則性に基づいて警報を発する医療用モニターについての特許を出願申請の旨。

昨年、2015年をまとめた特許データの内訳に注目した2件の内容である。

◇U.S. Semiconductor Companies Dominate List of Top Patent Recipients (3月16日付け SIA/Blog)
→米国Patent and Trademark Officeからの最新データ分析。2015年米国特許取得の米国メーカー・トップ15社のうち5社(IBM、Qualcomm、Intel、Broadcom、Micron)が半導体メーカーの旨。

◇特許の国際出願、華為(Huawei)が2年連続首位、三菱電機は5位 (3月17日付け 日経)
→世界知的所有権機関(WIPO)が16日発表した2015年の特許の国際出願件数。
中国・華為技術が2年連続で首位になり、日本勢では三菱電機の5位が最高、日本企業は三菱電機とソニーが上位10社に入った旨。国別の出願件数は首位の米国に日本と中国が続き順位は動かなかったが、中国は前年比17%増と増加率で米国(前年比7%減)と日本(同4%増)を大きく上回った旨。
集計は特許協力条約に加盟する国に一括して出願する制度を利用したものを対象とする旨。

Apple対Samsung、長く揺れ動く侵害裁定へのじれた見方である。

◇Apple v. Samsung: Supreme Decision Ahead? (3月18日付け EE Times)
→Apple v. Samsung特許侵害係争における決定が両側に広く揺れており、裁判所が急速に動いていくハイテク分野に向けて明確な裁定を行えないことを示している旨。

【米国SIAの政策プラン】

米国Semiconductor Industry Association(SIA)が米国政府・議会に半導体業界のアピールをまとめて表わす時節であるが、今年は以下の8つの切り口での表わし方となっている。

◇The ‘Elite Eight’: A Policy Plan to Strengthen U.S. Technology Leadership-SIA proposes US policies in 8 critical areas (3月15日付け EE Times/Capitol Connection)
→SIAのPresident and CEO, John Neuffer氏記事。米国Semiconductor Industry Association(SIA)の2016年のこれからに向けた“Elite Eight”政策objectivesについて。次の切り口&キーワード:
 Trade…Trans-Pacific Partnership(TPP):Information Technology Agreement (ITA)
 China
 Research…Nanotechnology-Inspired Grand Challenge for Future Computing
 Tax
 Environment, health, and safety
 Export controls
 Anti-counterfeiting
 Intellectual property

【自動運転車およびdrones】

米国議会で自動運転車について、州ではなく国家規模でのルール作りが急ぎ要求されている。

◇Driverless Car Hearing: Did Right Qs Get Asked? (3月16日付け EE Times)
→火曜15日の米国上院聴聞会、“Hands Off: The Future of Self-Driving Cars”にて、上院パネルメンバーおよびautonomous car技術を開発している各社が、政策立案者に対して州ではなく国家規模のautonomous carsについての一様な道路規則を展開するよう督促の旨。

dronesについても自動(自律)飛行の課題への取り組みが進められている。

◇Drones' Challenge: Add 'Autonomy' in Flying (3月16日付け EE Times)
→Drones Data X 2016 Conference(6月3-5日:San Francisco)について。
dronesのautonomous flyingの課題に取り組んでいるのは、dronesおよび空中カメラの世界的大手メーカー、DJI(Shenzhen[深セン], China)および低電力computer vision SoCs設計のMovidius(San Mateo, Calif.)の旨。

商用drones向け半導体ソリューション市場の現状&今後の展開である。

◇Taiwan IC design companies to foray into solution market for commercial drones (3月16日付け DIGITIMES)
→MediaTekおよびRealtek Semiconductorなど台湾のIC design housesが、商用dronesに向けたチップセットソリューション市場、特に中国市場への攻略を進めている旨。Research and Marketsの評価によると、グローバルUAV(unmanned aerial vehicle)市場は2016-2020年についてCAGR(compound annual growth rate)が10.16%、この機会を認めてQualcomm, IntelおよびNvidiaなど大手グローバル半導体メーカーが台湾メーカーとともに該市場に挑んでいる旨。


≪グローバル雑学王−402≫

2020年の我が国の経済を活性化して再生させるアプローチを、

『大変化 経済学が教える2020年の日本と世界』
 (竹中 平蔵 著:PHP新書 1023) …2016年1月5日 第一版第一刷

より見ていく後半は、経済を羽ばたかせる起爆剤としての空港のあり方、そして「観光立国・日本」のまだまだ伸びる可能性に目を向けていく。「技術立国」として米国との貿易摩擦を引き起こしながら世界を席巻する勢いに溢れていた頃との落差を改めて感じるところであるが、いまや観光はじめ海外からの入国人数が出国のそれを上回るようになって、"おもてなし"の魅力を上げることが実体経済的にますます問われる現実がある。将来的にこれでよいのか、世界に乗り出してリードしていくパワーの育成の必要性は、教育論に立ち返って身近でも議論になるところである。


第4章 2020年、日本経済の再生なるか =後半=

3 空港が日本経済を羽ばたかせる起爆剤となる

■羽田空港を「片田舎の空港」から「世界のハブ空港へ」
・空の最大の玄関口、羽田空港のさらなる国際化
 →一つは空の規制緩和
  …都心上空の飛行は高度6000フィート以上
  →高度の規制を3000フィート以下まで緩和する計画
・深夜や早朝に発着する便、羽田は対応した交通インフラが不十分
 →深夜バスの運行
  →運賃の上限の規制の緩和

■成長戦略の目玉、空港の「民営化」が始まる
・もう1点、成長戦略の目玉として注目
 →国が所有権を持ちながら、民間企業が一体的に運営を担う仕組み、「コンセッション(Concession)」
  →2015年9月、その第一号として仙台空港の運営者
   …東急電鉄や前田建設などで構成された連合企業
  →これまですべて国家公務員が担ってきた管制塔の仕事
   →国家公務員法に特例をつくり、民間に出向できる道を開いた
・ネックになるのがメディアの姿勢
 →国民の多くの政策に対する理解の低さ、リテラシーの低さを生んでいると思う

■空港は地域活性化の原動力になる
・先行しているオーストラリアの事例
 →北部のゴールドコースト空港は、世界中の航空会社と交渉、発着便の数を3倍に
 →さらに面白いのは、搭乗券を持たない人でも出発ロビーの中に入れる
  …中に並ぶ店の利用
 →オーストラリアでは空港の管理会社がセキュリティチェックの責任を負う
・羽田空港の国際線到着エリアには免税品店がない
 …「免税品の購買は出国時に限る」という国際条約のため
 →ところが、シンガポールのチャンギ空港の到着エリアには存在
  →もはや有名無実化している該ルール
 →観光立国を目指すなら、もう少し柔軟に対応すべきでは

4 「観光立国・日本」の伸びしろはかくも大きい

■「日本版DMO(Destination Marketing/Management Organization)」が外国人観光客誘致のテコに
・ひと昔前、(著者が)小泉内閣の一人として「観光戦略を打ち出そう」と呼びかけても、誰一人として相手にしてくれなかった
 →そこで官房長官を議長とする小さな会議、「Visit Japan」を始め、今日まで続く
・2006年に初めて観光立国推進基本法の制定
 →当時、日本を訪れる外国人観光客は年間約500万人
 →2013年には1000万人に達し、2014年には1300万人、2015年には1973万7千人
  …主に観光ビザの発給要件の緩和と円安が奏功
・ただし、多くの観光客が訪れても、迎え入れるインフラがまだ不十分
 →街中や観光地で見かける中国語の看板はごく僅か
 →地域の観光に関するすべてを統括する組織、「日本版DMO」の設置
・観光の「質」向上に、本格的かつ早急に取り組む必要

■日本の世界遺産登録はまだまだ少なすぎる
・2015年7月、「明治日本の産業革命遺産」が登録
 →日本国内の世界遺産の数は19に
 →長い歴史文化も豊かな自然もあるのに、まだまだ少ない
・ユネスコ総会で世界遺産条約が採択されたのは1972年
 →この仕組みを提唱、最初に批准したのはアメリカ
 →日本がこの条約を批准したのは1992年、125番目の締結国
  …遺産の保全よりも、いかに鉄や自動車を大量に輸出するかということで意識が集中
・日本もようやく観光立国の道を歩もうとしている
 →「日本版DMO」
 →昨今は都心のホテル不足もよく取り沙汰
 →2020年の東京五輪に向けても、需要に追いつこうとする動き
・「Airbnb(エアビーアンドビー)」のような新サービスも登場
 …一般のマンションなどの空き部屋を旅館やホテルのように有料で貸し出すもの
 →日本の場合、立ちはだかる規制
  →例えば、「24時間開いているフロントが必要」といった基準
・日本は「おもてなし」(ホスピタリティ)が本当に高い国と言えるか?
 →「システムとしてのホスピタリティ」は決して高くない
  …入国管理が非効率で待ち時間が長い、空港アクセスが悪い、など

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