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7月まで最高ペースの世界半導体販売高、一方、台湾で続くM&A激動

米国Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高の発表が行われ、今回はこの7月についてである。前年同月比で見るとプラスの販売高がこのところ続いていたが、7月はマイナスに転じている。それでも本年の年初からの販売高累計は昨年同期を上回り、史上最高を記録している昨年を越える期待は残されている。世界経済の先行き、スマートフォンの飽和感などの懸念から、世界半導体業界にはシェア拡大、事業portfolioの拡充を狙ったM&Aが引き続いており、特に台湾で激しい動き、応酬が続いて見られる現時点となっている。

≪7月の世界半導体販売高≫

米SIAからの今回の発表内容が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
◯7月のグローバル半導体販売高、僅かながら減少−販売高鈍化につながる需要軟化、通貨切り下げ …9月3日付け SIAプレスリリース

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2015年7月の世界半導体販売高が$27.9 billion、前年2014年の7月の$28.1 billionから0.9%減少と発表した。2015年7月のグローバル販売高は、前月、2015年6月の$28.0 billionを0.4%下回った。地域別では、7月のAmericasの販売高は昨年に比べて大方フラット、一方、中国の販売高は約6%増えている。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。

「この夏のグローバル半導体販売高は、一部分は需要軟化、通常の市場の周期性およびいくつかの地域市場での通貨切り下げから、いくぶん鈍化している。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「これら逆風にも拘らず、今年の始めから7月までの累計グローバル販売高は、半導体売上げで最高の年となった昨年の同期を上回っている。」

地域別では、7月の販売高は前年7月に比べてChina(5.6%), Americas(5.6%), Asia Pacific/All Other(1.0%)およびAmericas(0.8%)で増加したが、Europe(-12.5%)およびJapan(-13.3%)では通貨切り下げが1つにあって減少した。前月6月と比べると、Japan(2.7%), China(0.6%), およびEurope(0.4%)では増加したが、Americas(-0.3%)およびAsia Pacific/All Other(-2.5%)では僅かに低下した。

【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域
Jul 2014
Jun 2015
Jul 2015
前年同月比
前月比
========
Americas
5.47
5.53
5.52
0.8
-0.3
Europe
3.24
2.83
2.84
-12.5
0.4
Japan
3.04
2.57
2.64
-13.3
2.7
China
7.75
8.13
8.18
5.6
0.6
Asia Pacific/All Other
8.63
8.94
8.71
1.0
-2.5
$28.13 B
$27.99 B
$27.88 B
-0.9 %
-0.4 %
--------------------------------------
市場地域
2- 4月平均
5- 7月平均
change
Americas
5.61
5.52
-1.7
Europe
2.89
2.84
-1.8
Japan
2.54
2.64
3.8
China
7.77
8.18
5.2
Asia Pacific/All Other
8.74
8.71
-0.3
$27.56 B
$27.88 B
1.2 %
--------------------------------------


「米国半導体業界における継続する強みを促進している重要な1つはリサーチであり、革新の原動力である。」とNeuffer氏は言う。「SIAとSemiconductor Research Corporation(SRC)は今週、伸展するInternet of Things(IoT)を進め、他のcutting-edge, semiconductor-drivenの革新を展開するためにリサーチ投資の緊急の必要性に焦点を当てたレポートをリリースしている。このレポートの推奨事項の実行が、米国が新技術を利用して世界のトップinnovatorであり続ける助けになる。」

※7月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/July%202015%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けて見られる業界紙の取り上げである。

◇Global semiconductor sales down slightly in July (9月4日付け ELECTROIQ)

◇Semi sales in Europe being driven by microprocessors-ESIA reports higher July chip sales, measured in dollars (9月4日付け New Electronics)
→European Semiconductor Industry Association(ESIA)発。欧州の7月の半導体販売高が$2.837 billion、6月から0.4%増、ユーロ換算では7月出荷は6月より0.3%減となる一方、前年同月比では7.1%増の旨。

今後に向けて経済情勢が気になるところであるが、注意信号から赤信号が点滅する以下、台湾、中国そして韓国の現時点である。

◇Taiwan key economic indicator continues to signal slow growth (8月31日付け DIGITIMES)
→台湾のNational Development Council(NDC)が現地経済見通しの最新調査を引用、台湾の経済状況が、弱含みな国際経済の影響を受けて依然軟化の旨。台湾政府の7月の経済monitoring指標が2ポイント低下の14、ここ3年以上で最低の水準、2ヶ月連続で"青信号"点滅の旨。
(注) NDCは国家経済健全性を示すのに5色のspectrumを用いており、次の通り:
 赤        …overheated
 yellow-red    …heating up
 緑        …steady growth
 yellow-blue    …slowdown
 青        …heading into a recession

◇中国製造業景況感指数、3年ぶり低水準、8月は50割れ (9月1日付け 日経 電子版)
→中国の製造業の景況感の悪化が鮮明になった旨。中国国家統計局と中国物流購入連合会が1日発表した8月の製造業購買担当者景気指数(PMI:Purchasing Manager's Index)は49.7と、前月より0.3ポイント低下、景気判断の節目となる50を6カ月ぶりに下回り、2012年8月(49.2)以来3年ぶりの低水準となった旨。中国景気の先行きの不透明感が増し、市場のリスク要因となっている旨。

◇韓国、8月の輸出15%減少…実物経済に広がるチャイナショック (9月2日付け 韓国・中央日報)
→「チャイナショック」が韓国の輸出にも影響を与え始めた旨。8月の輸出額は393億3000万ドルと、前年同月比14.7%減少、グローバル金融危機だった2009年8月(-20.9%)以来6年ぶりの減少幅、400億ドルに達しない輸出額も2011年2月(384億ドル)以来4年6カ月ぶりの旨。

半導体業界はどうなのかということであるが、M&Aの激動の渦中にある台湾のIC設計業界では受注の改善が見られているとしている。

◇Taiwan IC design houses see order visibility continue improving (8月31日付け DIGITIMES)
→業界筋発。台湾のIC design housesの受注visibilityが最近良くなっており、2015年第三四半期に向けた販売高目標を満たせそうな旨。MediaTekは、中国のスマートフォン分野からの受注状況から判断して第三四半期の前四半期比10-18%増の売上げが達成できそう、加えて、同社4G handsetソリューションについての受注が2015年後半に月ごと伸びている様相、としている旨。

中国のボード&カード業界では、通貨安を受けた値上げが行われている。

◇Vendors raising motherboard, graphics card prices in China to minimize exchange losses (8月31日付け DIGITIMES)
→マザーボードplayers筋発。Lenovoの8月末までのPC製品値上げ決定に続いて、中国の大方のマザーボードおよびグラフィックスカードベンダーも最近3-5%の値上げ、同国の通貨安からくるコスト上昇を反映の旨。

上記のSIA発表の中のpresident & CEO、John Neuffer氏が触れているSIAとSRCのレポートは、以下の通りである。

◇Tech, academic leaders call for robust research investments to bolster U.S. tech leadership, advance IoT (9月1日付け ELECTROIQ)
→Semiconductor Industry Association(SIA)およびSemiconductor Research Corporation(SRC)が主導、ハイテク業界およびacademiaからの指導層連立組織が、急進展しているInternet of Things(IoT)を進め、Americaのグローバル技術リーダーシップを今後に維持、強化する他の先端革新を開発するためにリサーチに力強く投資する緊急の必要性に焦点を当てたレポートをリリース、該レポート、“Rebooting the IT Revolution: A Call to Action”は、大規模官民リサーチinitiative、National Computing and Insight Technologies Ecosystem(N-CITE)を求めている旨。

今後に向けてプラス、あるいはマイナスの見方が入り交じる半導体業界の現時点である。

◇Inventory adjustments in semi industry coming to an end, says TSMC executive-TSMC exec: Chip inventory adjustments are ending (9月2日付け DIGITIMES)
→TSMCのsensor and driver business development、director、George Liu氏。半導体業界における最近の在庫調整はほとんど終わってきており、まもなく季節的な成長サイクルに戻していく可能性が高い旨。

◇Semiconductor outlook negative (9月3日付け Taipei Times)
→Taiwan Semiconductor Industry Association(TSIA:台湾半導体産業協会)、昨日2日発。滞るマクロ経済および長引く在庫調整の渦中、cell phones需要が縮小、今年の半導体業界は元気なく年間2%の伸びと見る旨。

◇IC demand unlikely to pick up until 2Q16, says TSIA chairman (9月4日付け DIGITIMES)
→Taiwan Semiconductor Industry Association(TSIA)のchairman、Nicky Lu氏(Etronのchairman)が、2015年後半の半導体市場について注意を表明、需要が持ち直してくるのは2016年第二四半期以降になる情勢の旨。

◇Semiconductor industry slows as phone sales decline-Slowdown in smartphone sales hits the chip business (9月4日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Applied Materials社、3日発。グローバル半導体業界は今年予想より早く鈍化、弱いマクロ経済が新しい電話を買い求める消費者のやる気に重く圧し掛かっている旨。

今年の半導体市場の地域別、システム分野別のデータの見方が更新されている。

◇Asia-Pacific to dominate IC sales across system categories in 2015, says IC Insights (9月4日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。IC販売高を支配する市場としてのAsia-Pacificの力が2015年に強まる見込み、該地域は$295 billionのIC市場の58.9%を占めると見る旨。このシェアは、Asia-Pacific地域が2014年につかんだ58.4%のシェアから0.5ppの増加となる旨。

◇Asia-Pacific to dominate IC sales across system categories in 2015 (9月4日付け ELECTROIQ)
→2015年システム分野別IC使用予測、下記参照。
http://electroiq.com/wp-content/uploads/2015/09/ic-sales-asia-pacific.png


≪市場実態PickUp≫

【FoxconnとSPILの戦略的提携】

台湾の半導体組立&テストの2大大手でライバル同士であるAdvanced Semiconductor Engineering(ASE)とSiliconware Precision(SPIL)の間で、ASEがSPILの最大25%株式を買収する提案が投げかけられたばかりであるが、この提案をはねのけるべく、こんどは同じ台湾の中でEMS(electronics manufacturing services)最大手のFoxconnが以下の経緯でSPILとの株式交換による戦略的提携を発表している。

◇Foxconn Expands Chip Business With White Knight Offer for SPIL (8月28日付け Bloomberg)
→Foxconn Technology Groupが、Siliconware Precision Industries Co.(SPIL)の21.1%を買収する計画、SPILの敵意のある入札はねのけを支援する一方、Foxconnの多角化する積極的取り組みを進めていく旨。

◇SPIL rejects ASE takeover bid, announces deal with Hon Hai (8月29日付け The China Post)
→Hon Hai Precision Industry Co.(鴻海)およびSiliconware Precision Industries Co.(SPIL)が昨日、Advanced Semiconductor Engineering社(ASE, 日月光)によるSPILの敵意のある企業取得を拒絶するよう、株式交換による戦略的提携を発表の旨。

◇SPIL, Foxconn to form strategic partnership to fend off ASE acquisition bid-Foxconn makes offer for SPIL shares, challenging ASE bid (8月31日付け DIGITIMES)
→Siliconware Precision Industries(SPIL)が、Foxconn Electronicsとの株式交換による戦略的連携を形成する合意に達した旨。Foxconnの1株がSPILの2.34株と交換され、FoxconnがSPILの最大株主になる取引の旨。該取引はSPILのライバル、Advanced Semiconductor Engineering(ASE)からの公開買付けをかわす狙い、とアナリストは見ている旨。ASEは最近、SPILの最大25% stakeを買収する計画を発表している旨。

◇鴻海、台湾SPILの筆頭株主に (9月1日付け 日経産業)
→台湾の半導体封止・検査サービス2位企業、SPILが米アップルの生産委託先である鴻海精密工業と株式交換を行い、鴻海がSPILの筆頭株主となることで合意、両社が発表した旨。

Foxconnの方には、Appleとのさらなるビジネス拡大の狙いがあるとの見方である。

◇Foxconn Eying More SiP Business from Apple with New Strategic Partnership with Taiwan's SPIL (8月31日付け Patently Apple)
→台湾の半導体実装メーカー、Advanced Semiconductor Engineering(ASE)はApple Watch, iPhone 6Sそして2016年のiPhone 7についてもAppleから大きな受注を得ているし、AppleのSiPビジネスのある部分はHon-HaiすなわちFoxconnに子会社、ShunSinを通して行っている旨。Foxconnはこのほど株式交換による戦略的連携づくりでSiliconware Precision Industries(SPIL)と合意したばかり、明らかにFoxconnは願わくばそのビジネス拡大を図っている旨。

SPIL側では、1年以内の成果の期待が見られている。

◇SPIL looks to effective results of SiP packaging development with Foxconn (9月2日付け DIGITIMES)
→Siliconware Precision Industries(SPIL)のchairman、Bough Lin氏。SiP(system-in-package)実装技術開発についての同社のFoxconn Electronicsとの戦略的連携は、1年以内に成果をもたらし始めると期待している旨。

さて、ASEの方は引き続きSPILの株式買収の意思を繰り返している。

◇ASE chairman urges Taiwan companies to unite to face challenges from China supply chain (9月3日付け DIGITIMES)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)のchairman、Jason Chang氏。
台湾のメーカーは、中国のIT supply chainの増大が付きつける課題に向き合うために協働すべき旨。Chang氏は、ライバル、Siliconware Precision Industries(SPIL)の5-25%を買収する計画を何度も繰り返し、SPILに向けた公開買い付けを目標の日にち(9月22日)に完了する希望の旨。

ASE、SPILとともに半導体組立&テスト業界を引っ張るAmkorの台湾現地法人の現下の流れの見方である。

◇Amkor positive about consolidation within IC backend sector (9月3日付け DIGITIMES)
→Amkor Taiwanのpresident、Mike Liang氏。IC実装およびtesting分野は引き続き統合に向かう流れ、Amkor Technologyはこのような展開に前向きである旨。ASEが最近発表したSPILのmajor stakeを買収する計画についてのコメントは控える一方、Liang氏はIC backend分野の中での統合は依然流れとしている旨。

【他にも台湾でのM&A激震】

台湾のPC大手、Acerおよびスマートフォン大手、HTCがともに、市場の荒波を受けて以下の通り苦境に置かれている。M&Aの噂、そして期待も入り交じるこのところとなっている。

◇Acer founder says open to takeover amid stock price slide (8月31日付け Reuters)
→苦境の台湾computerメーカー、Acer社のfounder、Stan Shih氏が、同社株価の急落を受けて同社の事業継承先を歓迎する旨。

◇HTC、台湾最大手から転落へ (9月2日付け 日経産業)
→スマートフォン事業で躍進するエイスース(Asus)に対し、台湾スマホ最大手の宏達国際電子(HTC)は低迷が著しく、出荷台数では2015年にも台湾最大手の座を明け渡す可能性がある旨。株価も上場来安値を更新するなど、ブランド価値の毀損が深刻になっている旨。3月発売の旗艦スマホ「HTC One M9」は強みとする高級路線で勝負に出たが、米アップルや韓国サムスン電子の新製品に完敗した旨。

MediaTek傘下のMStarによるIlitek買収計画の台湾IC設計業界への波紋である。

◇Commentary: MediaTek-MStar expansion to pose threat to other IC vendors (9月3日付け DIGITIMES)
→MStar SemiconductorによるILI Technology(Ilitek)の買収計画は台湾のIC設計業界にとって必要な統合プロセスと見なされている一方、2社の合併の実行はNovatek Microelectronics, Himax TechnologiesおよびRealtek Semiconductorなど他のICサプライヤに脅威となる可能性の旨。
MStarは現在MediaTek傘下でLCD monitors, digital TVsおよびset-top boxes(STBs)用コントローラ半導体の設計&生産に特化している一方、IlitekはLCD driverおよびtouchscreenコントローラICsに重点化の旨。

同じくMediaTekが、こちらは合併の噂を否定する事例である。

◇MediaTek, Richtek deny merger rumors (9月4日付け DIGITIMES)
→MediaTekおよびRichtek TechnologyのファブレスICメーカー2社が合併するという憶測を、両社ともに否定の旨。台湾のIC設計業界では、アナログICサプライヤ、RichtekがMediaTekの次の買収ターゲットという憶測が、最近広まっている旨。

こんどは台湾が絡むコラボの関係であるが、まずは、MediaTekとインドの大手handsetプレーヤー、Micromaxとの間で次の通りである。

◇Micromax, MediaTek join forces to drive 4G (9月3日付け EE Times India)

◇India market: MediaTek, Micromax collaborate on mid- to high-end smartphones (9月3日付け DIGITIMES)
→MediaTekが、インドの大手handsetプレーヤー、Micromax Informaticsとの戦略的コラボを強化、4G accessibilityを加速、インドの急成長する市場でのスマートフォン採用促進を図る旨。

次に、上にも出てくるFoxconnが韓国のSK Groupと一層のコラボに向かおうとしている。

◇Foxconn to step up cooperation with SK Group-Foxconn to work closer with SK Group, sources say (9月3日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Foxconn ElectronicsとSK Groupが、FoxconnのChairman、Terry Gou氏とSK GroupのChairman、Chey Tae-Won氏の間の台北での最近の会合を経て、半導体およびテレコムサービスでコラボする旨。このconglomeratesの2社は、FoxconnがSK C&Cに約$345 millionを投資、中国でITサービスを行うFSK Holdingsを設立した2014年7月に一緒になっている旨。

【PC事業再生の期待】

インテルがPC事業売上げを再び活性化すべく総点検を施した結果に成る"Skylake"アーキテクチャーおよび製品を発表している。今後の市場の反応に注目である。

◇Intel Overhauls Chips in Bid to Revive PC Sales-New chips, based on Skylake design, aim to boost performance, reduce power consumption-Intel announces "Skylake" chips, hopes to shake off PC woes (9月1日付け The Wall Street Journal)
→Intelが、14-nmプロセス製造、同社Core半導体に向けた"Skylake"アーキテクチャーを発表、同社PC-半導体事業を再生できると期待の旨。

◇Intel Unveils New Chip Design It Says Will Bring More Than Speed (9月1日付け Bloomberg)
→Intelが"IFA2015" consumer-electronics trade show(9月4-9日:Berlin)にて水曜2日、新しい"Skylake"半導体を披露の旨。

◇Intel Rolls Out Skylake Mobile, Desktop PC Chip Lineup (9月1日付け eWeek)
→該新プロセッサがMicrosoftのWindows 10と合わせて、停滞したグローバルPC市場を再生すると期待の旨。

【SEMICON Taiwan】

台湾でのM&Aなど激震が走るなかでの今年のSEMICON Taiwan(9月2-4日:台北)であるが、迎えて20回目の節目である。ASE-SPILの件も含めて、以下の概要を捉えている。

◇ASE insists bid for stake in Siliconware based on 'good intentions' (9月1日付け Focus Taiwan)
→SEMICON Taiwan semiconductor trade showのpre-show press eventの場にて、Advanced Semiconductor Engineering(ASE)社のChief Operating Officer、Tien Wu氏。ライバル、Siliconware Precision Industries Co.(SPIL)の最大25%を買収する同社の"善意"は、依然的を得ており、できるだけ短い時間内にopen市場でSPIL株式の5-25%を買いたい旨。

◇20th annual SEMICON Taiwan 2015 opens today (9月2日付け ELECTROIQ)
→20回目の節目を迎えるSEMICON Taiwan 2015(9月2-4日:Taipei Nangang Exhibition Center)が本日開幕、台湾の半導体メーカーおよびOutsourced Semiconductor Assembly and Test(OSAT)メーカーが装置および材料に向こう2年で$20 billion超を投資、巨大な台湾のビジネス機会が示される旨。700以上の出展社および43,000人以上の参加者が見込まれる旨。

◇SEMICON Taiwan 2015: Inotera, Applied and HMI positive about semi industry outlook (9月2日付け DIGITIMES)
→SEMICON Taiwan 2015(9月2-4日:Taipei Nangang Exhibition Center)のpre-show press conferenceにて、Inotera Memories, Applied MaterialsおよびHermes Microvision(HMI)がすべて、グローバル半導体業界の展望についてプラスの見方、しかし短期的な市場の流れについては異なっている旨。

【未来技術遺産】

我が国からの世界遺産登録が相次いだが、国立科学博物館が登録する未来技術遺産というものが次の通り発表されている。未来に向けて想起すべき、懐かしい顔ぶれ内容である。

◇AIBOなど、技術遺産25件、国立科学博物館が追加 (9月2日付け 日経)
→国立科学博物館(東京・上野)が1日、未来に引き継ぐのにふさわしい「重要科学技術史資料(愛称・未来技術遺産)」に、以下など新たに25件を登録すると発表した旨。
 ・AIBO …ソニーが1999年に発売した家庭用ロボット
 ・8ビットパソコン …1978年以降にシャープやNEC、日立製作所が発売
 ・レーザーディスクプレーヤー …パイオニアが1979年に業務用を売り出し


≪グローバル雑学王−374≫

緊迫している世界情勢を反映してか、"グローバル"をキーワードとして探し求めて読み進めていく本欄のこんどの出てほやほやの新書は、

『地図で読む「国際関係」入門』
 (眞 淳平 著:ちくまプリマー新書 239) …2015年8月10日 初版第1刷発行

と、「逆さ地図」で読み解いてきた前回と通じ重なるところが多そうではある。ライター・編集者である著者により、我が国を取り巻く国際関係のいろいろな事態の状況やその地理的・歴史的背景、今後のテーマについて、豊富な地図や資料で整理して解説してあり、グローバル経済・市場が大きな転換点を迎えている中、さらに理解を深めたいところである。まずは、まさに今、日々目に触れる我が国を取り巻く不安定な国際状況がまとめてある。


はじめに

・近年、国際情勢・国際関係が大きな転換期
・本書は、現在の国際関係を構成するさまざまな事柄について、基礎情報を提供することを目的

第1章 日本―――不安定な国際関係に対処を迫られる

◆集団的自衛権の行使が閣議決定された
・2014年7月、「集団的自衛権の行使」容認が、閣議決定
・2015年の国会審議が進む中、「武力行使の新三要件」を満たせば、集団的自衛権を行使できる、という政府の解釈も明らかに
 →(1)日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険
  (2)国民を守るために他に適当な手段がない
  (3)必要最小限度の実力行使にとどまる
・日本は、アメリカの主導する世界秩序の構築・維持に対して、協力をより一層強める姿勢に、大きく舵を切りつつある

◆不安定な東アジアの国際関係
・政府が近年、安全保障政策を大きく変えようとしている背景
 →改憲を指向してきた自民党結党以来の立場
 →東アジアにおける不安定な国際関係
・東アジアとその周辺には、波乱要因が無数に存在
・現在、中国の急激な大国化に代表されるパワーバランスの変化が、東アジアで進行
 →「不安定の弧」と呼ばれる世界の紛争多発地帯において、東アジアはその東端部分に位置

◆強大化する中国
・中国のGDPは、2015年1月時点の為替レート換算で、すでに日本の2倍以上の規模
・経済成長を背景に、軍事力の強化に注力
 →最新兵器の開発や配備が急ピッチ
・西太平洋では、中国と周辺諸国などとの間で、特定地域の領有権をめぐる係争がいくつも
・中国の「接近阻止・領域拒否(A2AD:Anti-Access/Area Denial)」戦略
 →自衛隊機や米軍機への中国空軍機の異常接近がその一環

◆不安材料としての北朝鮮
・東アジアの不安定要因として、北朝鮮の動向もその1つ
 →軍事を優先した国家建設を目指す「先軍政治」を掲げ、核兵器の開発を含む軍事力の強化に邁進する北朝鮮の姿勢に、大きな警戒感
・北朝鮮は近年、ピョンヤンなどの大都市部で経済が上向いてきたという報道も
 →一方、国内での経済格差が広がっていて、地方などでは多数の人々が貧困に苦しんでいる、という研究者も

◆揺れる韓国
・韓国は安全保障を、米韓相互防衛条約によって結ばれる米軍に大きく依存
・2014年12月、日米韓3ヶ国での防衛に関する秘密情報の覚書を締結
・安全保障面ではアメリカとの同盟に依存する一方、経済面では中国の存在感が急拡大する状況
・日本との間では、竹島(独島)問題、教科書問題、従軍慰安婦問題を始めとする諸問題

◆北方領土問題を抱えるロシア
・2000年にプーチン政権が登場、石油の価格上昇などもあり、経済成長が始まる
 →ロシアが大国として復活、極東地域でも、強力なアクターとして再び存在感を発揮し始めた
・日本とロシアの間には北方領土問題が存在
 →ウクライナ紛争に関連して欧米諸国から非難を浴びるロシアとどこまで交渉できるのか、交渉の決着点をどこに見い出すのか、解決への道のりには多くの難題

◆日本の安全保障と自衛隊
・日本は、世界有数の兵力をもつ自衛隊、そして在日米軍の存在により自国を防衛
・1950年6月、朝鮮戦争が勃発
 →米軍の多くが朝鮮半島へと派遣、日本は、自国防衛の必要性に迫られるように
 →1950年8月、軽武装の陸上部隊、「警察予備隊」が誕生
・1954年3月、「日米相互防衛協定」を締結
 →同年6月、「自衛隊法」「防衛庁設置法」を制定
 →翌7月、陸海空の3自衛隊、そしてこれを統制する防衛庁を設立
・2013年度末の時点、陸上約14万人、海上約4万2000人、航空約4万3000人の自衛官が、活動に従事

◆国際平和協力活動
・近年自衛隊には、国際社会の平和と安定のために、積極的な役割を担う期待も
・1992年6月、「国際平和協力法」が制定、2015年春までの間に、計14の国連平和維持活動(PKO)

◆変わる自衛権に関する解釈
・日本は自衛権を保有、自衛のための部隊、すなわち自衛隊を保持・運用することは憲法に反していない、という解釈が、日本の中で少しずつ定着
・1950年代末以降、「集団的自衛権」の是非についての議論が、国会で活発化
・前記の通り、政府の方針が、2014年7月の時点で転換

◆日本の安全保障政策の変化
・米軍のプレゼンスが減少した地域では、同盟国や友好国などにその地域の安全保障を一部肩代わりしてもらおうという「オフショア・バランシング」と呼ばれる戦略に
 →集団的自衛権の行使についての是非
・第九条を含む憲法と集団的自衛権との整合性を、どのように考えるべきか
 →近年、日本の安全保障関連の法制度の整備が急速に
 →日本の安全保障政策がどこに向かうべきか、今後も真剣に問い続けなければ

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