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1月として史上最高の世界半導体販売高、目立つ米国の主導性

米SIAより月次世界半導体販売高が発表され、前回の2013年販売高最高に続いて、今回は1月として史上最高を記録という内容である。1月販売高を地域別に改めて見ると、アジア大洋州が56.6%と半分以上を占め、以下、米国が21.3%、欧州11.0%、我が国10.7%となっている。昨年の1月と比べた伸び率では、米国が17.3%増とトップ、我が国だけが減少している。SIAからは、世界を引っ張る米国の革新、なかんずく半導体業界の重要性を政府および議会にアピールする記事が、これも恒例、強烈なメッセージで表わされている。

≪1月の世界半導体販売高≫  

米SIAからの発表内容が、以下の通りである。

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○1月のグローバル半導体業界、史上最高の販売高を記録−約3年ぶりのグローバル販売高前年比増;Americas地域では前年1月比17.3%増 …3月3日付け SIAプレスリリース

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2014年1月の世界半導体販売高が$26.28 billionに達し、2013年1月の$24.15 billionから8.8%の増加となり、業界史上最高の1月販売高であり、約3年ぶりの前年比増加、と発表した。2014年1月のグローバル販売高は、2013年12月の$26.65 billionよりは1.4%下回り、通常の季節的な流れを反映している。地域別では、Americasの販売高は昨年1月に比べて17.3%増加している。月次販売高の数値はすべてWSTSのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。

「グローバル半導体業界は、2013年の売上げ新記録に立って2014年は印象的なスタートとなり、大方はAmericas市場の力強さが引き続き引っ張っている。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、Brian Toohey氏は言う。「1月の販売高は、昨年の1月に比べてほとんどの地域およびほとんどすべての製品カテゴリーにわたって上回っており、2014年のこれから伸びが引き続く前兆となっている。」

地域別には、Americas(+17.3%), Europe(+11.3%), およびAsia Pacific(+8.3%)と前年同月比で販売高が増加したが、Japan(-4.7%)は減少した。前月、2013年12月との比較では、Europeはフラットであったが、Asia Pacific(-0.6%), Japan(-2.3%), およびAmericas(-3.5%)と僅かに減少している。
1月販売高は歴史的に季節的な流れから12月販売高を下回っている。

                         【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Jan 2013
Dec 2013
Jan 2014
前年同月比
前月比
========
Americas
4.77
5.80
5.59
17.3
-3.5
Europe
2.66
2.96
2.96
11.3
0.0
Japan
3.00
2.93
2.86
-4.7
-2.3
Asia Pacific
13.72
14.96
14.87
8.3
-0.6
$24.15 B
$26.65 B
$26.28 B
8.8 %
-1.4 %

--------------------------------------
市場地域
8-10月平均
11- 1月平均
change
Americas
5.71
5.59
-2.1
Europe
3.05
2.96
-3.0
Japan
3.11
2.86
-8.0
Asia Pacific
15.22
14.87
-2.3
$27.09 B
$26.28 B
-3.0 %

--------------------------------------

※1月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/January%202014%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release%20B.pdf
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これを受けた各紙の記事のタイトルが以下の通りであり、1月販売高として史上最高記録が謳われている。

◇January Chip Sales Top $26 Billion-SIA: Chip sales were up 8.8% in Jan. (3月3日付け EE Times)

◇Global semiconductor industry posts highest-ever January sales (3月3日付け ELECTROIQ)

◇Semiconductor sales hit record in January, but pressure remains on Intel (3月3日付け The Oregonian (Portland))
→半導体業界の健全性は、Oregonでは非常に大きな重みがあり、最大のcorporate employerとしてのIntel、および何1000もの追加jobsを生み出す中小半導体メーカーおよびサプライヤの集まりにかかっている旨。

◇Global chip sales rise 8.8% in January, says SIA (3月5日付け DIGITIMES)

◇世界半導体販売、過去最高を更新、1月8.8%増−2兆6800億円 (3月5日付け 日経 電子版)
→米国半導体工業会(SIA)は1月の世界半導体売上高が前年同月比8.8%増の262億8千万ドル(約2兆6800億円)だったと発表、同月としては過去最高を更新、伸びも直近3年では最高の水準だった旨。昨年3月から11カ月連続で前月実績を上回っている旨。米州、アジアを中心に携帯端末向けが急激に伸びた旨。

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表する米SIAからは、この時期、世界を引っ張る革新の重みを政府、議会に訴えるメッセージが出されているが、本年は次の通りである。一貫した姿勢、アピールにいつもながら共感すること多々である。

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○議会が米国の革新を焚きつける今にもっていける3つのステップ …3月4日付け SIA Blog

半導体業界は長らく、米国の革新を引っ張る重要なプレーヤーである。例として、アメリカの半導体メーカーは2012年にR&Dに$32 billionを投資、すべての業界のうち売上げ比率が最大となっている1つであり、また、米国corporate特許取得トップ20の約半分が半導体メーカーであり、首尾一貫して革新に重点化していることを示すものである。

半導体業界が経済成長を引っ張る発見のpipeline維持に努める役割のように、政策立案者は革新への障害を取り除く対策を施す役割をもつべきである。今週のDallas Morning News論説で、Texas Instrumentsのchairman, president and CEOでSIA boardメンバーであるRich Templeton氏が、次の通り議会が敏速に制定すべき3つの法制initiativesを説明している。

"議会は、Trade Promotion Authority(TPA)法案を通過させて、大統領にアメリカ製製品&サービスに対する市場開放をさらに行える最善の契約締結に必要となるauthorityを与えるべきである。

次に、bordersを確保するとともに、世界最善の才能および聡明な知性、特に米国大学が生み出す海外人材に米国メーカーがアクセスできる実効的なimmigration改革を通過させること。

最後に、我が国家のspending問題を解決するとき、国会議員は将来を容赦なく取り扱わないよう注意すべきであるし、リサーチ、インフラおよび教育に向けて適切な資源を供給すべきである。"

これら対策はすべて、ビジネス、academicおよびscientific communitiesのリーダーの圧倒的な支持を得ており、議会でも超党派の支持となっている。
我々の選んだリーダーは、アメリカを革新の最前線に保つために、これらinitiativesを素早く承認へ行動すべきである。
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≪市場実態PickUp≫   

ストライキが行われている2件である。特に、IBMのx86サーバ事業のLenovoへの売却が、従業員の大規模な移転の事態を引き起こしている。

【ストライキ】

◇NXP staff strike for more pay (3月3日付け EE Times Europe)
→現地紙発。NXP Semiconductorsのウェーハfab(Nijmegen, The Netherlands)従業員450人以上が2月25日に、賃金交渉の停滞に抗議、2時間ストライキを行った旨。

◇IBM, Lenovo Deal Sparks Strikes in China (3月6日付け EE Times)
→中国南部のIBM工場で、中国のPC arm, Lenovo Group Ltd.へ従業員を移す同社の計画に抗議して、1,000人以上のworkersがストライキを行っている旨。この移転はLenovoが今年始め発表したIBMのx86サーバ事業を買収する計画によるもの、Lenovoは$2.3 billionで買収している旨。

◇IBM China workers strike over terms in $2.3 billion Lenovo deal (3月6日付け Reuters)

半導体の模造品撲滅に向けて、米国防総省のDARPAと米SIAの取り組みである。DARPAが提案を求めている微細な駆除コンポーネントの考え方は興味深い。

【模造撲滅】

◇New DARPA Program Targets Bootleg Components-DARPA requests proposals to combat counterfeit hardware (3月5日付け EE Times)
→米国防総省のDefense Advanced Research Projects Agency(DARPA)が、模造品および疑わしい電子部品を同定、撲滅を図るよう、システムcomponentsにつけるほとんど顕微鏡でなければ見えないようなcomponentを開発する提案募集を出している旨。

◇SIA Works with U.S. Customs to Combat Counterfeit Semiconductors (3月5日付け SIA Blog)
→SIAのAnti-Counterfeiting Task Force(ACTF)代表が、Los Angelesにて米国Customs and Border Protection(CBP)のofficialsおよびagentsと会合の旨。

インテルがsmart watchのstartupを買収している。同社CEO、Brian Krzanich氏も、2014年の間にwearable electronicsの分野でいくつかの製品発表を行っていく、と5日の記事(Fox Business)に見られている。

【smart watch買収】

◇Basis Goes To Intel For Around $100M-Report: Intel buys wristwatch health tracker maker for $100M+ (3月3日付け TechCrunch)
→Intelが、手首につけるhealth-tracking機器を拡販するBasis Scienceを約$100 millionで買収合意の旨。Intelはwearable electronicsの追及に専念の兆し、Basis買収に当たってはGoogleはじめ他の会社より高く値をつけた旨。

◇Intel Reportedly Buying Smartwatch Startup (3月4日付け EE Times)
→Intelが、wearablesおよびInternet of Things(IoT)に新たに重点化する一環、smartwatchのstartup、Basis(San Francisco)の買収を進めている旨。Basisは、wrist-ベースhealth trackerおよび睡眠サイクルおよび活動を測定するonline personal dashboardを設計している旨。TechCrunchによると、Basisの売却価格は$100 million〜$150 millionの旨。

混雑してきたネットワークに対して、自動的に最適な経路に変更するといった機能など、ソフトウェアによって仮想的なネットワークを作り上げる技術であるsoftware-defined networking(SDN)が、「OpenFlow」と呼ばれるネットワーク標準の登場で注目されている。Open Networking Summit(3月3-5日:Santa Clara Convention Center & HYATT)での以下の動き、見方である。

【SDN】

◇Broadcom, Freescale Boot Up SDN (3月3日付け EE Times)
→Open Networking Summit(3月3-5日:Santa Clara Convention Center & HYATT)にて、BroadcomおよびFreescaleがOpenFlow標準に向けた別々のインタフェースおよびソフトウェアを展開、ともにsoftware-defined networking(SDN)への興味の波の高まりに乗りたいとしている旨。

◇Freescale, Broadcom Offer SDN Solutions for Chips-Chip companies move into SDN technology (3月3日付け eWeek)

◇Broadcom Hopes to Help Openflow Take Off with New Chip Integration-Broadcom is demonstrating the technology with Big Switch Networks-Broadcom spec targets chips in OpenFlow SDN switches (3月4日付け CIO.com/IDG News Service)
→Broadcomが、OpenFlow software-defined networking(SDN)スイッチで実施される同社チップセット向けのOpenFlow-Data Plane Abstractionスペックversion 1.0を披露、該スペックは、スイッチメーカーがOpenFlow 1.3 protocolをサポートする手助けの意味合いの旨。

◇SDN Spawns Shift, Slowdown (3月5日付け EE Times)
→Open Networking Summit(3月3-5日:Santa Clara Convention Center & HYATT)にて、通信業界はsoftware-defined networking(SDN)に移行する初期段階にある、と主唱者の弁、同じ日にアナリストがルータおよびスイッチ販売高の減少を報告、一つには該技術に向けて大手買い手のretoolingがある旨。

十数年前の随分遡る時間軸であるが、米国34州が訴える事態に至っていたDRAM価格の問題が、以下の決着を見ている。

【DRAM価格談合】

◇Federal court approves $311 million settlement-DRAM makers to pay $310M to settle price-fixing case (3月5日付け The Fresno Bee (Calif.) /The Associated Press)
→DRAMsメーカー10数社が、1998年から2002年までのメモリ半導体価格談合の件の決着に向けて、約$310 millionの支払いに合意の旨。34州の司法筋が該訴訟を起こしている旨。Samsung Electronicsが$113 millionを支払う一方、Micron Technologyは$66.7 millionを負う旨。


≪グローバル雑学王−296≫

イスラムはあくまでも一つ、シーア派とスンニー派に分かれようとも、互いをムスリムと認め合っている、と

 『世界は宗教で動いてる』
  (橋爪 大三郎 著:光文社新書) …2013年6月20日 初版1刷発行

より平和のための宗教、イスラムを知らされる後半である。イスラム原理主義、過激派が、世界情勢のなかで否応なく頭にこびりつくところがあるが、イスラムの本質とは何ら関係ないと強調されている。


第三講義 イスラム文明の世界−イスラム教は平和のための宗教

クエスチョン4 カリフとはなにか

◆カリフの意味
・ムハンマドの後継
 →法学者、裁判官の後継 …ウラマー(法学者)という専門的職能
 →ウンマを指導する政治的指導者 …カリフ(ハリーファ)
・イスラムでは世俗のことも宗教と一体、政治的権力は同時に宗教的権威とも

◆イスラムはあくまでも一つ
・カリフは、アブー・バクル→ウマル→ウスマーン→アリーと四代、合議制によって選出
 →すべてのムスリムが認める正統カリフ
・この後、ウマイヤ家によって世襲、十四代にわたるウマイヤ王朝が始まる
・その一方、ムハンマドのいとこにあたるアリーの血統が正しいと考える人びと
 →別のグループ、シーア派
・ムハンマドの娘、ファーティマの婿の系統を正しいと考えるグループ
 →スンニー派
・シーア派とスンニー派には宗教戦争などなく、互いをムスリムと認め合っている
 →イスラムが分裂を決して認めないという基本
 →平和を基本とするイスラムの知恵

クエスチョン5 イスラム法の法源とはなにか

・あたかもアッラーが裁いたかのように、人間が人間の行為を裁くことが、イスラム法学
 →法源が神であれば、人間が裁いても神が裁いたことになる
 →イスラム法の基本は人間が立法してはいけない、ということ

◆法源とはなにか
・イスラム法の法源は全部で10種類、次の4つが重要
 第一:クルアーン
 第二:スンナ …「伝承」。ムハンマドがどういう裁判をしたかという記録。判例相当
    →スンナを集めたものをハディース
 第三:イジュマー …全世界の著名な法学者に手紙を送って返事をもらう。全員一致が原則
 第四:キヤース …明文化されたものがない場合、法学者が論理的な推論によって判断。法学者を拘束するのは、あくまでもムハンマドの判例だけ
・ユダヤ教からきているこうした考え方
 →クルアーンにあたるのがタナハ。そのなかにトーラー(律法)…モーセ五書
 →補足する言い伝え …口伝律法(ミシュナ)
 →ミシュナに対する注釈としてゲマラ
 →ミシュナとゲマラを合わせてタルムード、これを勉強するのがユダヤ法学者の仕事
・イスラム(スンニー派)には四大法学派 →スンナによる違い

クエスチョン6 イスラム銀行とはなにか

◆本当に利子は取らない?
・イスラム銀行での利子のような効果
 →預かったお金を投資したり、為替市場で動かしたりするなど金利的なものを得て、イスラム法で許容される手続きを蓄積
・膨大なオイルマネーを抱え、アルカイダ対策などイスラム銀行に預けるという知恵
 →政治的な理由によって成り立つ無利子銀行

クエスチョン7 イスラム原理主義とはなにか

◆原理主義
・かつて中東地域が西欧の植民地にされたとき、イスラム共同体がズタズタに
・独立後にも、近代化に対する反動
 →イスラム回帰、イスラム復興
・キリスト教徒が名づけたファンダメンタリズム(原理主義)
 →キリスト教の用語
 →聖書を文字通り、どの部分も正しいと読む態度のこと
・聖書は、時代も状況も違うなかで形成された複数の本から成り立つ
 →クルアーンとまったく違う
・ファンダメンタリスト
 →聖書だけを手掛かりにしてそれだけが正しいと思っている、ちょっと困った人たち、というこころ

◆イスラムは原理主義か
・過激な行動とイスラムの本質とは何の関係もない
 →イスラムと原理主義、過激派などというものを、イメージの中で一緒くたにするのはやめよう
・ジハード:聖戦
 →イスラムを守る"努力"という意味
・シーア派とスンニー派、そんなに仲が悪いということはない
 →両派のムスリムは一緒にメッカ巡礼に行く
・人類全体がムスリムになると? →平和が来る
 →イスラムは平和のための宗教

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