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Intel/Micronの新型メモリの正体は?

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IntelとMicronによる新型メモリが何であるか、日米で大きな話題となっている。7月30日にそのニュースを伝えたが、8月14日にはMicronが決算報告を行った。そのテレフォン会見などを通して、この新型メモリの真相に迫ってみる。

繰り返しになるが、この新型メモリ3D Xpointは、NANDよりも1000倍速く、1000倍書き換え可能で、DRAMよりも10倍高集積が可能という優れモノ。

コンピュータシステムでは、プロセッサが未熟な時代はプロセッサアーキテクチャがシステムの能力を決めた。成熟してくるとプロセッサシステムを変えなくても、メモリを高速にするだけでシステムの演算能力は高まる。プロセッサのクロック周波数を上げることは、消費電力を許容できなくなるほど増加するため、もはやできない。その代わりCPUコアを並列動作させるマルチコアによって消費電力を上げずに性能を上げてきた。ただし、ソフトウエアへの負担が大きくなるため、現在はメモリを増やすことで、CPUとのアクセスを増やし実効的な演算速度を上げるようになっている。

ところが現在のコンピュータシステムでは、DRAMとストレージのNANDフラッシュとの間の速度差が1000倍くらいもあるため、その差を埋めるための「ストレージクラスメモリ」が望まれている。この新型メモリはストレージクラスメモリを狙う。

Intel/Micronグループの新型メモリは、クロスポイントアレイ構造を持ち、スイッチ部とメモリセル部が直列に重なっている。このスイッチ部(図1のオレンジ色部分)とセル部(図1のグリーン部分)がどのような構造なのか、両社とも明らかにしていない。ただし、両社が言っていることは、「独自の材料」を使っていること、トランジスタではないこと、である。クロスポイント構造なので、高い電圧で書込み/消去を行い、低い電圧で読み出すことになるだろうと想像できる。


図1 Intel/Micronが開発した新型メモリ3D Xpoint 出典:Intel、Micron Technology

図1 Intel/Micronが開発した新型メモリ3D Xpoint 出典:Intel、Micron Technology


彼らが力を入れたのは、集積化できること、スイッチとメモリセルを持つことであった。そのために「独自の材料」を開発したという。この材料開発と、これまでの20nmリソグラフィ技術、3次元化の3D-NAND技術を駆使して、今回の128Gビット・クロスポイントメモリを開発したようだ。

肝心のメモリセルは、うわさされていたようなReRAMやSTT-MRAMなどではなさそうだ。というのは、さらに将来のメモリ技術として、抵抗型メモリ(ReRAM)とスピントルクメモリ(STT-MRAM)を候補技術に上げていたことがわかったからだ。少なくとも今回はこの二つのメモリではないだろう。

両社は、2016年にSSDに搭載されると見ている。Intelはこのメモリ技術をOptane技術と呼んでいる。

(2015/08/21)

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